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小児期トラウマがもたらす病 ACEの実態と対策ベテラン度:
★☆☆
ドナ・ジャクソン・ナカザワ,
清水由貴子パンローリング 四六判 328頁 2018年2月発売 本体 2,000円 税込 2,200円 国内送料無料です。 この商品は 本日 発送できる予定です。 (発送可能時期について)
ACE=逆境的小児期体験、理解に向けた1冊最新の研究によれば、子どものころに繰り返し予測不能なストレス、喪失、困難に直面すると、大人になってからの健康状態が影響を受けるという。具体的には、自己免疫疾患、線維筋痛症、うつ病などの重篤な病気の一因になりうる。それだけでなく、他人との関わり、恋愛、子育てにおけるパターンも決まってしまうようだ。著者のナカザワ氏は、自身も8歳の時に父親と死別。子育てとジャーナリストとしての仕事を両立しながら、10年以上ものあいだ、何度か死に至るような自己免疫疾患と戦ってきた。40代では、ギランバレー症候群を2度経験。慢性的な病気に悩む女性の力になろうと、サイエンスライターとして、神経科学と免疫システム、人間の心の最も深い部分の働きの関係について書いてきた。 そして2012年、ACE(Adverse Childhood Experiences:逆境的小児期体験)という画期的な公衆衛生調査研究に出あう。ACE研究では、さまざまな子ども時代の逆境と、成人後の身体疾患および精神障害の発症には、明らかに科学的な因果関係があることが証明されている。逆境には、暴言や侮辱、精神的または物理的なネグレクト(育児放棄)、身体的または性的虐待、親のうつ病、精神疾患、アルコールや他の物質への依存などが含まれる。当初は10項目が挙げられていたが、その後の研究によって、他の小児期のトラウマ(親との死別、きょうだいの虐待など)も長期間にわたる影響を及ぼすことが明らかになった。 そうしたナカザワ氏の研究の集大成ともいえるのが本書である。小児期の経験が大人になってどのように影響するのかが、アメリカの複数の家庭の例を挙げながら解説されていく。日本でも逆境的体験を余儀なくされる子どもは多いが、アメリカでは深刻で痛ましい例が多く、研究も進んでいる。今後の日本でのACE研究と対策の道しるべになる1冊と言えるだろう。 なお、『小児期トラウマと闘うツール』(2019年、パンローリング)は、本書の続編にして医療者による実践編ともいえる。 目次はじめにパート1 私たちはどうやっていまの自分になったか 第1章 どんな大人も昔は子どもだった 第2章 異なる逆境が同じ病気を引き起こす 第3章 傷つきやすい人とそうでない人 第4章 逆境の女性脳――自己免疫疾患、うつ病、不安症との関係 第5章 人並みの家族 パート2 小児期逆境後症候群からの回復 第6章 回復への旅 第7章 専門家の手を借りて小児期逆境後症候群から立ち直る 第8章 虐待を受けて育った人の子育て――あなたと子どもを助ける14の方法 終わりに
著者紹介ドナ・ジャクソン・ナカザワ(Donna Jackson Nakazawa)デューク大学卒業。科学ジャーナリスト。ヴァージニア州クリエイティブ・アーツ・センター、ニューハンプシャー州マクドウェル・コロニー、ニューヨーク州ヤドーのレジデンス・フェローを務める。著書に『The Last Best Cure』、『Does Anybody Else Look Like Me?』、賞を受賞した『免疫の反逆 自己免疫疾患はなぜ急増しているか』(ダイヤモンド社)がある。アンドリュー・ウェイル総合医学書シリーズの『消化器病学』に寄稿。ワシントン・ポスト紙、『モア』『グラマー』『レディース・ホーム・ジャーナル』『ワーキング・マザー』『AARPマガジン』誌に記事を執筆するほか、ブログ「サイコロジー・トゥデイ」を書くなど多方面で活躍。家族とともにメリーランド州在住。 訳者紹介清水由貴子(しみず ゆきこ)上智大学外国語学部卒業。翻訳家。おもな訳書に『ジャスト・スタート――起業家に学ぶ予測不能な生き抜き方』(CCCメディアハウス)、『食べる世界地図』(エクスナレッジ)、『世界一のジェラートをつくる 起業をめぐるふたりの冒険物語』(白水社)などがある。 (フェニックスシリーズ68) そのほかのお薦め
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