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Q. 単純ですか?

A.  ええ、追跡するのは8カ国ですから。証券取引所には何千もの銘柄が上場しています。それにエンロン事件に象徴されるような企業会計の不正が何度も明るみに出ていますが、FX市場にはそのようなものはありません。主要8カ国の経済データが捏造されるわけにはいきませんから。はるかに公正です。  そのデータが公表されるタイミングは皆一緒です。使っている情報端末がロイターであろうが、ブルームバーグであろうが、発表される時間が8時30分なら8時30分なのです。一方、株式ではインサイダー情報とは言わないまでも、個人的に企業関係者とコンタクトを持つ人ほど多くの情報を得られるでしょう。これは公正だと思いません。私は、FXほど個人投資家に公平な市場はないと思っています。


Q. 現在はどのような売買手法を用いているのですか?

A.  一言で言うと私は「ニューストレーダー」です。


Q. つまり、ニュースを見てトレードをするということですか?

A.  『FXトレーディング』をお読みいただければ分かるように、多くの部分を割いているのがファンダメンタル分析です。私はファンダメンタル分析を基本にトレードをしています。前回の経済データを分析して、次の経済データを予測するわけです。


Q. 例えば、分析の結果、FRB(米連邦準備理事会)が金利を引き上げると思えば、その前に米ドルを買っておくと?

A.  そうです。公表する前に買っておきます。


Q. 成功例をひとつ教えて下さい。

A.  私たちは豪州(オーストラリア)のインフレは低めと予想していました。豪ドルが強すぎたからです。一方、市場はインフレ圧力が高まると考えていました。そこで「低インフレの発表によって豪ドルは下げる」とみて、売りを仕掛けたわけです。  そして発表された生産者物価指数(PPI)が示していたものは、低めのインフレでした。豪ドルは瞬く間に第一目標値を突破して、1時間で第二目標値を突破したのです。  そこで私たちは一部の建玉だけを利食いました。というのも、翌日には消費者物価指数(CPI)の発表があったからです。一方、市場にはまだ、高いインフレの可能性を予測する向きがありました。  そして実際にCPIが示したのは、さらなる低めのインフレでした。豪ドルはさらに下落して、結局このトレードでは120ピップほどの利益となったのです。


Q. テクニカル分析は使わないのですか?

A.  もちろん使います。テクニカル分析で具体的な仕掛け、損切り(ストップ)水準と利益目標値を設定します。したがって、両方を使っているとも言えますね。ただ、判断の基本となるのはファンダメンタル分析です。


Q. リスクと報酬の比率は?

A.  ストップの水準に応じて通常1対2から1対3です。また通常は複数枚で建玉しており、第一目標値に達したら一部利食いをして、ストップの水準を損切りからトントンのレベルに上げます。


Q. つまりトレイリングストップ(※4)ですね。

A.  そうです。


Q. ストップの位置は?

A.  3〜5日の高値安値を目処にしています。


Q. 建玉期間はどのくらいでしょうか?

A.  通常は3時間です。ただ、大きな動きのとき・・・・・・例えば、第一目標値と第二目標値を一気に突破したような状況では、20時間近く建玉を維持することもあります。ですから「建玉期間は2時間〜1日」のほうが答えに近いですね。


Q. 建玉期間は相場の勢い次第ということですね。

A. そのとおりです。


Q. その勢いはどのようにみるのですか? 値動きの角度でしょうか?

A.  いいえ。市場の驚き具合です。どれだけ、そのデータに市場が驚いたかによります。例えば、カナダの中央銀行が金利について言及したとき市場は非常に動揺しました。だれもカナダの中央銀行がそのようなことをするとは思っていなかったからです。


Q. そのようにニュースに注目してトレードをしているトレーダーは、多いのではないでしょうか?

A.  いいえ。実際はそうでもありません。多くは私の反対側にいます。なぜなら、ニュースが出た「後に」参加してくるからです。つまり、多くの人はデータが発表されるまで待っており、発表後に売買判断をするわけです。私は事前に行動しており、発表後にその人たちと入れ替わって、相場の勢いを取るわけです。  多くのトレーダーはファンダメンタル分析をしません。単にデータに反応するだけなのです。


Q. ファンダメンタル分析にお勧めの本はありますか?

A.  うーん。特に・・・。デイリーFXドットコムでは日々の生のファンダメンタルズを取り上げていますから、それを参考にしてもらいたいですね。


Q. つまり市場に影響を与え得る経済データも変化しているということですか?

A.  そうです。どこに問題があるかによって、米国の金利が影響するときもあれば、失業率が、貿易統計が影響するときもあります。現在、どのニュースに影響力があるか、市場の行方を追跡する必要があります。


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キャシー・リーエン Kathy Lien


FXの小鬼たち


FXトレーディング

ニューヨーク大学(ファイナンス)卒。JPモルガン・チェースではFXトレードとクロスマーケット取引にアソシエイトとして従事、インターバンク市場でのFXスポットとオプションだけでなく、金利デリバティブ、債券、株式、先物など、FX以外の金融商品のトレードにも豊富な経験を持つ。 フォレックス・キャピタル・マーケッツ(FXCM)では、チーフ・カレンシー・ストラテジストとしてテクニカルとファンダメンタルの両面からの分析調査レポート、マーケット解説、投資戦略を執筆。またオンラインサイト「DailyFX.com」の調査・分析責任者として、きわめて広範なリサーチとニュースを無料で提供している。


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