本書は、タイトルこそ「最強のファイナンス理論」と激しいものですが、内容は行動ファイナンス理論への導きというもので、人間が構成する市場は理論的には動かないということを、理論的に説明している、投資初心者にも分かり易い名著です。
投資初心者には馴染みの薄い用語や難しい数式も出てきますが、わかりやすく親しみやすい例えを交え、スラスラと一気に読ませてくれます。(デューク東郷やドラえもんまでもが、例えとして取り上げられています。(笑))
ある程度投資、相場というものが分かってくると、納得のいかない値動きというものが出てきます。ある程度投資、相場というものが分かっていても、納得のいかない値動きが起こると、うろたえ、後から考えるとなぜそのような思考、売買をしてしまったのかということは誰にでもあることではないでしょうか。
「なんじゃこの値動きは!」と日々絶叫されている方には、特にお読みいただきたい一冊です!
著者の真壁氏は、金融工学をはじめ、様々な金融・経済理論に精通していますが、理論だけで実際の市場を軽視しがちな学者とは違い、第一勧業銀行等でのディーリング経験もある方です。
著者からは、全てを受け入れて(全てを否定せずに)相場に向き合うという姿勢が感じられ、伝統的ファイナンス理論(金融工学)を盲信せず、新しい理論(行動ファイナンス)を過信せず、本書は相場に対する冷静な思考法を身につけるために非常にバランスの良い内容となっています。
700円、200ページと、お小遣いで買って、ポケットに入れて持ち歩いて読むにも手軽です。
本書は、読んですぐ相場で勝てるような投資本ではありませんが、少なくとも相場で変な負け方をする確率を減らすことはできる、そんな一冊です。