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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/07/23 11:25, 提供元: フィスコ

フジシールインターナショナル:シュリンクラベルのグローバルニッチトップ銘柄、PBR1.5倍を目指す

*11:25JST フジシールインターナショナル:シュリンクラベルのグローバルニッチトップ銘柄、PBR1.5倍を目指す
フジシールインターナショナル<7864>は、軟包装・ラベルを主力としたパッケージングソリューションのリーディングカンパニーである。同社の事業は主に「シュリンクラベル」「タックラベル」「ソフトパウチ」「機械」の4つに分類され、売上構成比ではラベル関連が過半数を占める。特に「シュリンクラベル」は国内外の飲料・日用品メーカーを主要顧客とし、極めて高い製品シェアを有する。幅広い用途(PETボトル飲料、酒類、乳業、食品、日用品、医薬品など)で使用されるほか、商品情報の表示だけでなく、環境にも配慮した様々な機能をもつラベルを提供している。シュリンクラベルでは国内シェア約60%、アメリカ約40%、欧州約20%、アセアン約40%と欧州以外ではトップシェア、包材・機械両方持っているのは同社のみとなっておりグローバルニッチトップ企業となる。

同社の強みは「強い商品力」「グローバルプレゼンス」「優良な顧客」の3つとなる。ラベル製品と自社開発の装着機器を一体で提供することで、パッケージング工程の効率化と顧客の課題解決を図るなか、他社にはない包括的な価値提供を可能とし、顧客の囲い込みにもつながっている。また、同社は環境対応においても先進的な取組を進めており、容易な水平リサイクルやモノマテリアル設計など、持続可能な製品開発にも注力。こうしたESG視点を取り込んだ製品展開は、欧州やアセアン地域を中心に今後の需要拡大が期待される。

2025年3月期の売上高は212,345百万円(前期比3.5%増)、営業利益は18,844百万円(同41.6%増)と過去最高を更新した。主に既存事業の伸長に加えて、海外子会社の円安による為替影響もあったほか、全地域で増収増益と収益性の改善も寄与した。日本では、全事業で原材料高騰に対しての価格改定を継続実施。生産体制についても効率化、合理化が寄与した。米州では、シュリンクラベルで大手グローバル顧客が牽引、ノースカロライナ工場への投資により3工場体制となり稼働率がアップした。欧州地域では、シュリンクラベル・タックラベルともにローカル顧客への営業強化により新規顧客からの受注が下支えした。アセアンは、シュリンクラベルの生産性向上など全体での収益改善施策により増益を確保できた。海外売上比率は約51%となった。

2026年3月期の売上高は216,000百万円(前期比1.7%増)、営業利益は19,400百万円(同3.0%増)を見込んでいる。米国関税政策による当社業績影響度は現時点では軽微と考えられ見込んでいない。既存4事業の着実な強化、製品マーケット・ターゲットエリアの拡大、次世代に繋がる新たなビジネスモデルの創造の各種施策に取り組むことで、持続的な企業価値の向上に努める。とくに重点を置くのは、海外成長市場での拡販であり、現地通貨ベースでは全地域で増収増益を見込み、持続的な成長を想定している。

パッケージ業界では、環境配慮型パッケージや少量多品種化のほか、自動化ニーズといった需要も増えている。消費者のサステナビリティ意識の高まりを背景に、メーカー各社は脱プラスチックや軽量化への対応を求められており、同社の薄肉ラベルやリサイクル対応製品はまさに時流に即した商材となる。さらに、パウチ製品においては衛生性・利便性から食品・医薬品用途での採用が進み、今後も堅調な需要が見込まれる。

同社は中期経営計画として、成長戦略「FSG.30」を掲げている。2030年度までに、売上高3,500億円以上、営業利益率2桁%、ROE2桁%、PBR1.5倍以上の目標を掲げ、グローバルな収益基盤の強化と資本効率の改善を図っていく方針である。また、目標に向けて2030年度までに1000億円を成長投資に活用していく。特に注力するのが米州におけるシュリンクラベル事業の成長で、強い需要に応えるためノースカロライナ工場への投資や新事業・工場拡張も見据えた工場隣接の用地取得の検討などが行われている。ノースカロライナ工場のDAY2投資が2025年内に完了する予定で、DAY3投資についても今年度中に意思決定を行っていく予定。さらに、ラベルからパウチ、さらにはライナーレスタックラベルといった次世代パッケージへの対応力強化も図られており、イノベーション創出による中長期成長が視野に入る。国内では、詰め替え用の大型パウチの需要が増えており、その傾向は今なお続く。2026年山形新工場稼働による供給体制拡充を見据えた既存ビジネスの成長と基盤構築を図り、ソフトパウチは第2のコア事業へ向けての着実な成長を見据える。

そのほか、伊藤忠ロジスティクス社とのアライアンスによる医薬品検査・包装の一気通貫サービスを開始した医薬包装CMO事業や模倣品・不正転売品防止システムのDeep IS (ディープ・アイズ)など、次世代に繋がる新たなビジネスモデルの創造も行っており、長期的な成長に向けてはこういった事業やサービスの動向にも注目しておきたい。

最後に、株主還元について、連結配当性向の目標を原則として30%とするとともに、DOE(株主資本配当率)の水準、事業環境の変化等を総合的に勘案して1株当たり配当額の安定的かつ継続的な増加を目指している。また、有事に備えた安定的な財務基盤の構築及び機動的な自己株式の取得と処分のため、自己株式の取得についても柔軟に対応している。加えて、直近のROEは8.8%と改善しており、中期経営計画において掲げる「ROE10%以上」という目標水準に近づいている。安定成長とともに資本効率の改善も進んでおり、PBR1.5倍を目指す収益性と還元性を両立するグローバルニッチトップ銘柄として注目しておきたい。



《HM》

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