個人投資家のための「市況株」短期トレード
浜本学泰
パンローリング
A5判 312頁 2018年6月発売
本体 2,000円 税込 2,200円
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著者がファンドマネジャー時代に生み出し、当てまくった
対TOPIX業種指数チャートの動きに乗るだけの、
テクニカルの通用する業種での短期トレード
読者の声
ブルベア大賞 2018-2019特別賞
1)個人投資家は、機関投資家が苦手な分野で勝負する
企業のビジネスモデルや製品、サービスの競争優位性を評価し、経営者の資質を追求し、3年から5年の未来に利益成長を実現できる企業を割安な状態で発掘する。このように、長い時間をかけて、いろいろな観点から企業の業績予想をすることが株式投資では求められます。ですから、基本的には中長期投資が軸になり、機関投資家(厳密には、現場のアナリストやファンドマネジャー)による分析活動は、主にファンダメンタルズ分析となります。
ここで、問題です。個人投資家のレベルで、果たして、機関投資家と同じような分析ができるのでしょうか。結論から言うと、それは不可能です。個人投資家がどんなに頑張っても、機関投資家にはかないません。機関投資家と個人投資家の間には“情報格差”という大きな壁が存在するのです。
では、個人投資家はどうすべきなのでしょうか?
答えは簡単です。機関投資家が苦手な分野で勝負すればいいのです。機関投資家が得意とする業績予想のできない業種で、かつ、ファンダメンタルズ分析ではないやり方を採用すればよいのです。それこそが、市況株の短期でのテクニカルトレードなのです。
東証33業種のうち、13業種ほど(※)が「市況株」と定義づけられています。これらの業種に分類される企業は、外部要因(原油価格の変動など)によって業績が変わるため、ファンダメンタルズ分析の根幹をなす「業績予想」をしようと思っても難しいのです。
「機関投資家と個人投資家の間に情報格差がない」という点は大きなメリットと言えます。
※金融株(銀行、証券、保険、その他金融)と素材株(石油・石炭製品、繊維製品、パルプ・紙、ガラス・土石製品、鉄鋼、非鉄金属、金属製品)、資源株(鉱業、卸売)。なお、括弧内はセクター名
2)テクニカルの通用しやすい市況株
銘柄を選ぶときには、テクニカル分析を使うことになります。このテクニカル分析については「そんなもの幻想に過ぎない」と考えている人も多いことでしょう。
確かに、100%当たるテクニカル分析などは存在しませんし、そもそもファンダメンタルズ分析が主体となって銘柄では、“当たるも八卦、外れるも八卦”の世界に陥ってしまうことはあると思います。
しかし、市況株では、少し事情が違います。ファンダメンタルズの要素が入ってこないため、短期であるならば、テクニカル分析が通用しやすいのです。
3)TOPIXと対TOPIX業種指数チャートの動きに乗るだけ
具体的に、市況株のトレードはどのようにするのでしょうか?
実は、とても簡単です。まずは、TOPIXの方向を確認します(5日移動平均線が上方向か、下方向か)。仮に、TOPIXが上方向だとしたら目線は買いです。
次に、オリジナルの対TOPIX業種指数チャートを見ます。これは、TOPIXと比較して、その業種が強いか、弱いかを表示したものです。
ここで大事なのは、TOPIXが上方向(=買い狙い)ならば、対TOPIX業種指数チャートも上方向の業種を選ぶことです。一言でいえば、TOPIXと対TOPIX業種指数チャートが同じ方向を向いている業種を選べばいいのです。ここで選ばれた業種が「短期的に最も上昇する可能性が高い業種」ということになります。
4)銘柄は、ほぼ限定だから、絞り込みやすい
業種が決まったら、次は銘柄選びです。市況株トレードにおいては、実は、銘柄はほぼ固定されています。
例えば、証券セクターであれば、銘柄は(8604)野村ホールディングスと(8601)大和証券グループ本社だけです。
鉱業セクターであれば、(1605)国際石油開発帝石と(1662)石油資源開発だけです。 鉄鋼セクターであれば、(5401)新日鐵住金、(5411)ジェイエフイーホールディングス、(5406)神戸製鋼所、(5413)日新製鋼、(5423)東京製鐵、(5449)大阪製鐵、(5541)大平洋金属、(5480)日本冶金工業です。
セクターの中から時価総額の大きい順番にチャートをチェックし、上昇基調(抵抗線を超えていたり、まだ上昇余地があるなど)の銘柄を絞り込みます。
決済は、TOPIXと対TOPIX業種指数チャートのどちらかの方向が変わるまでです。
5)素直に動くからやりやすい
TOPIXと対TOPIX業種指数チャートが同じ方向を向いている銘柄は、短期前提ならば、その方向に素直に動きやすいという特徴があります。絶対ではないものの、確率的に見て、「エントリーした途端に大きく逆行してしまった」というような悩みが起こりにくいのです。
当てにいかずに、ただ、「動いた」という事実に乗るだけ。だから、結果として当たりやすくなります。それが市況株の短期トレードの醍醐味です。その有効性を、ぜひ試して、実感してみてください。
著者プロフィール
浜本学泰(はまもと・たかやす)
1973年4月、石川県生まれ。中学生のころに外国為替相場に興味を持ち、大学では外国為替・国際金融を専攻して学ぶ。その後、実践の場を求めて、野村證券、メリルリンチ日本証券を経て、独立系投資顧問会社でファンドマネジャーを務める。業務では外国為替ではなく、日本株、特に中小型成長株に特化して業界経験を積む。投資信託とヘッジファンド運用に従事し、担当資産は2000億円。
2008年9月、直感的にファンドマネジャーを自主退職した日の晩、まさに「リーマンショック」が起こる。退職後は個人投資家となり、株式投資をする傍らで、長年取り組みたかったFXトレードを始める。いきなり月利300%を継続的に出し続け、これまで学んできた投資理論が正しいことを証明する。
2009年より自らの手法をまとめたFXトレードを教え始め、2015 年アーニングアカデミーを設立。すべてのコースに実践トレーニングを取り入れることで「分かる」だけではなく「できるようになる」学校として人気。これまで受講生数は1300名超。多くの勝てるトレーダーを輩出中。
「投資は簡単じゃなきゃできない」「投資は資産形成しながら人格形成できる」というのがモットーで、一般的に難しいと思われている投資をわかりやすく伝えてくれるという定評がある。
アーニングアカデミー代表。アーニングアカデミー株式会社 代表取締役。日本証券アナリスト協会 検定会員。国際公認投資アナリスト。
アーニングアカデミー公式ホームページ
http://earning-academy.com/
目次
まえがき
序章 〜誕生秘話〜
第1章 株価が変動する要因
第1節 価格付けのメカニズム
1)株価がつく仕組みとは
2)注文動向と株価の関係
第2節 株価を動かす2つの要因
1)株価を動かすものとは
2)マーケット要因とは
3)個別銘柄要因とは
4)株価変動のイメージ
第3節 株価変動とフェアバリューの関係
1)フェアバリューの考え方
2)フェアバリューを判断する指標
3)株価変動とフェアバリューの関係
コラム:機関投資家の運用スタンス(ベンチマーク運用)
コラム:株式投資に必要なバリュエーション指標
第2章 テクニカル分析とファンダメンタルズ分析
第1節 価格変動要因の分析方法
1)適正価値の評価
2)ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析
第2節 ファンダメンタルズ分析は個別銘柄の変動要因を調べる手法
1)概要
2)ファンダメンタルズ分析は銘柄選択をするときに便利
第3節 テクニカル分析は変動そのものを調べる手法
1)概要
2)代表的なテクニカル指標である移動平均線とは
第4節 ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の大きな違いと使い方
1)ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の大きな違い
2)ファンダメンタルズとテクニカル分析は一緒に使う
第3章 市況株とは何か
第1節 業績予測のしにくい銘柄群がある
1)株式投資の王道はファンダメンタルズ分析中心の中長期投資
2)プロでも予想しにくい銘柄群=市況株
第2節 なぜ市況株なのか
1)機関投資家とまともに喧嘩しても個人投資家は勝てない
2)なぜ市況株のテクニカルトレードが有効なのか
3)市況株のテクニカルトレード=機関投資家との情報格差をなくす
第3節 市況株はテクニカル重視だから短期勝負に徹する
1)短期だと割り切ってトレードする
2)株式投資の短期とはどのくらいの期間か
第4節 市況株の特徴
1)業績が大きく変動しやすい
2)業績変動要因は銘柄によって異なる
第5節 市況株トレードの大きな流れ
1)買いパターン
2)売りパターン
第4章 市況株に関連する業種紹介
第1節 市況株は3つに大別される
第2節 金融株の特徴
1)銀行セクター
2)証券セクター
3)保険セクター
4)その他金融セクター
第3節 素材株の特徴
1)繊維製品セクター
2)パルプ・紙セクター
3)鉄鋼セクター
4)石油・石炭製品セクター
5)非鉄金属セクター
6)ガラス・土石製品セクター
7)金属製品セクター
第4節 資源株の特徴
1)鉱業セクター
2)卸売セクター
第5章 市況株トレードの業種選択の考え方 〜TOPIX・対TOPIX業種指数チャート・関連市況〜
第1節 業種選択に必要な3つの要素
第2節 TOPIXについて
1)TOPIXチャートの方向性を認識する
2)TOPIXチャートが上昇を示すケース
3)TOPIXチャートが下落を示すケース
4)TOPIXチャートの方向性、上昇・下落可能性をチェック
第3節 対TOPIX業種指数チャートについて
1)対TOPIX業種指数チャートで何が分かるか
2)対TOPIX業種指数チャートのチェックポイント
第4節 サポート要因となる関連市況
1)日本国債10年利回り
2)日経平均株価
3)原油価格
4)石炭価格
5)金価格
6)銅価格
7)アルミニウム価格
8)ニッケル価格
9)鉄鉱石価格
10)鉄スクラップ価格
11)輸入製紙貿易価格
コラム:参考市況リスト
第6章 市況関連銘柄の銘柄選択の考え方
第1節 各セクターの特徴を知りつつ、時価総額の大きなものに注目する
第2節 銀行セクターでの銘柄選択
第3節 証券セクターでの銘柄選択
第4節 保険セクターでの銘柄選択
第5節 その他金融セクターでの銘柄選択
第6節 石油・石炭製品セクターでの銘柄選択
第7節 繊維製品セクターでの銘柄選択
第8節 パルプ・紙セクターでの銘柄選択
第9節 ガラス・土石セクターでの銘柄選択
第10節 鉄鋼セクターでの銘柄選択
第11節 非鉄金属セクターでの銘柄選択
第12節 金属製品セクターでの銘柄選択
第13節 鉱業セクターでの銘柄選択
第14節 卸売セクターでの銘柄選択
第15節 参考市況と連動しやすい銘柄リスト〜逆引きリスト〜
第16節 銘柄リスト一覧表
第7章 市況株短期トレードの流れと実例
第1節 買いか、売りかを判断する
1)空売りができるようにしておくこと
2)考え方はシンプル
第2節 買い銘柄決定までの手順
1)トップダウン方式 基本パターン(TOPIXの方向に合わせる)
2)トップダウン方式の例外パターン
3)ボトムアップ方式の銘柄選択(関連市況から始まるパターン)
第3節 買いの事例 その1
第4節 買いの事例 その2
第5節 買いの事例 その3
第6節 売り銘柄決定までの手順
1)トップダウン方式 基本パターン(TOPIXの方向に合わせる)
2)トップダウン方式の例外パターン
3)ボトムアップ方式の銘柄選択(関連市況から始まるパターン)
第7節 売りの事例 その1
第8節 売りの事例 その2
第9節 売りの事例 その3
第10節 エントリーと出口戦略
1)エントリー
2)ロスカットルール
3)利益確定ルール
4)トレードするときの注意事項
重要コラム 銘柄選択のコツ 〜より動きの良さそうなものを選ぶ〜
コラム:関連市況の動きに合った対TOPIX業種指数の方向が必須
コラム:ダマシに遭いにくくするには
第8章 練習問題
第1節 確認のための練習問題 第1問
第2節 確認のための練習問題 第2問
第3節 確認のための練習問題 第3問
第4節 確認のための練習問題 第4問
巻末付録 できることから始めましょう
〜トップダウン方式基本パターンの“コレ”だけ行動手順〜
あとがき
(現代の錬金術師シリーズ144)
読者のご意見
個人投資家は情報量も少なく限られており、今まで勝ちにくい、買っても最後は負けて終わることも。...もっと見る
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