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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/10/02 16:42, 提供元: フィスコ スカラ Research Memo(2):DX事業、人材事業、TCG事業、インキュベーション事業の4つの事業を展開*16:42JST スカラ Research Memo(2):DX事業、人材事業、TCG事業、インキュベーション事業の4つの事業を展開■事業内容 スカラ<4845>は事業セグメントをDX事業、人材事業、TCG事業、インキュベーション事業の4つに区分して開示している。2025年6月期の事業セグメント別売上構成比は、DX事業が56.4%と過半を占め、次いでTCG事業が27.8%、人材事業が12.4%、インキュベーション事業が3.3%となった。営業利益(Non-GAAP、本社費配賦前)もほぼ同様の構成比で推移したが、インキュベーション事業のみ若干の損失を計上した。なお、従来売上高の1割強を占めていた金融事業は、事業構造改革の一環として日本ペット少額短期保険の全株式を第4四半期に売却したため、非継続事業に分類した。 各事業セグメントを構成する子会社と主な事業内容を見ると、DX事業はSaaS/ASPサービスやシステム受託開発を主に展開するスカラコミュニケーションズ、国策事業※1やふるさと納税事業※2、ヘルスケア事業(フレイル※3対策用システム・アプリの開発)、地域創生事業を展開する(株)エッグ、コールセンターサービスを行う(株)スカラサービスの3社で構成されている。 ※1 中央省庁の補助金関連事業等の事務局への管理システムの提供や運用支援を行っている。 ※2 寄附者情報や返礼品の管理、各種関連書類の作成など自治体職員が正確かつ簡単に行えるシステム。エッグは国内で初めて同システムを開発・提供し、累計860以上の自治体に導入実績を持つ。 ※3 「フレイル」とは、健常な状態と要介護状態(日常生活でサポートが必要な状態)の中間の状態として、日本老年医学会が2014年に提唱した概念。多くの高齢者は健常な状態から、筋力が衰える「サルコペニア」という状態を経て、さらに生活機能が全般に衰える「フレイル」となり、要介護状態に至ると考えられている。 人材事業は、体育会系学生の新卒採用支援サービスを主に展開している(株)アスプラ(旧 (株)アスリートプランニング)と、2024年1月に新設した中途採用支援サービスを提供する(株)GeaREmake(ギアリメイク)の2社で構成される。TCG事業は(株)スカラプレイスが対戦型ゲームのトレーディングカード売買ECサイトを運営している。インキュベーション事業では、同社にて戦略投資事業(M&A支援サービス等)を展開するほか、(株)ソーシャル・エックスで官民共創プラットフォーム「逆プロポ」の企画・運営や社会課題解決を目的とした新規事業開発支援などを行っている。 (1) DX事業 DX事業の売上収益の8割弱を占めるスカラコミュニケーションズは、主に4つの事業を展開している。ストック型ビジネスであるSaaS/ASP事業では、Webや電話による問い合わせ、情報検索、申し込み受付など各種システムを月額課金でリーズナブルに提供し、売上の過半を占める。そのほか、Web・ITシステムの受託開発やシステムエンジニアを顧客企業に派遣するSES事業、企業や自治体との共創により社会に役立つソリューションをアジャイル開発を軸に提供するアライアンス事業、そして、各種ニュース媒体から顧客が指定するテーマにマッチしたビジネス情報を配信するメディアサービス事業等を展開している。アライアンス事業の具体例としては、xID(株)との協業によるデジタルIDを活用した公共施設予約システムや、大塚製薬(株)と共創するヘルスケアプラットフォームサービスなどがある。 (2) 人材事業 人材事業については、アスプラが法人向けサービスとして体育会系を中心とした各種特化型人材の採用支援サービスを提供するほか、個人向けサービスとして体育会系学生向けの総合就職支援サービスや女子学生に特化した就活支援サービスなどを展開している。収益源は、新卒採用向け企業合同説明会の企画・運営(オンライン開催含む)である。同サービスは毎年6月より企業に向けて出展ブースの販売を開始し、12月から翌年3月に開催するスケジュールとなっている。また、中途採用・転職支援サービスの強化を目的に、2024年1月にGeaREmakeを新設し、売上収益の1割程度を占めるまでになっている。 (3) TCG事業 TCG事業では、スカラプレイスが対戦型ゲームのトレーディングカードの買取販売及び、攻略サイトの機能を備えたリユースECサイト「カードショップ -遊々亭-」を運営している。同サイトは、中古カードの値付けで参考指標にされるほどの影響力を持ち、トレーディングカードのEC買取販売では業界トップの地位を確立している。2020年6月期に海外ユーザーからの買取を開始し、2025年6月期には海外ユーザーへの直販サービスも開始した(従来は転送サービスを活用)。2025年6月時点で登録会員数は31.5万人となり、毎月2千人ペースで増加している。 (4) インキュベーション事業 インキュベーション事業は、同社による新規事業投資や自治体と連携した地方創生関連サービス、実務支援型M&A推進サービスのほか、ソーシャル・エックスによる官民共創プラットフォーム「逆プロポ」が含まれる。 「逆プロポ」は、大企業やスタートアップ企業などの民間企業が、社会課題解決型の新規事業を迅速に検証する際に活用するサービスである。従来の公募プロポーザルは、自治体からの公募に対して企業が応じて第三者機関が評価・選定する流れであったが、「逆プロポ」では企業が費用を負担して企画した社会課題解決型のテーマに対し、参加を希望する自治体を公募する流れとなる。これにより、企業はテーマに沿った提案書を提出した複数の自治体を選定し、多くの実証実験を行うことが可能となる。選定された自治体には、公募企業側から「寄付受納」という形で予算が支払われる。ソーシャル・エックスが「逆プロポ」から直接得る収益は少ないが、同プロジェクトで活用するシステムの開発をスカラコミュニケーションズで受注するケースがあるほか、マッチングした自治体からDX支援など新たなプロジェクトを受注する機会も増える。そのため、同社は「逆プロポ」を官民共創プロジェクト拡大のための重要な呼び水として位置付けている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《KM》 記事一覧 |