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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/09/30 14:01, 提供元: フィスコ ファンペップ Research Memo(1):花粉症ワクチンの第1相臨床試験結果は2026年下期の発表を予定*14:01JST ファンペップ Research Memo(1):花粉症ワクチンの第1相臨床試験結果は2026年下期の発表を予定■要約 ファンペップ<4881>は、大阪大学大学院医学系研究科の機能性ペプチドの研究成果を実用化する目的で、2013年に設立されたバイオベンチャーである。独自開発した機能性ペプチドをベースとした抗体誘導ペプチド技術により、高額な抗体医薬品の代替となる医薬品の開発に取り組んでいる。 1. 花粉症ワクチン「FPP004X」は第1相臨床試験の被験者登録完了 2025年3月より、花粉症ワクチンとして開発を進める「FPP004X」の国内第1相臨床試験を開始した。本試験では健康成人を対象とするパート1とスギ花粉症の患者を対象とするパート2で構成されており、93例の被験者に「FPP004X」またはプラセボを反復投与し、主に安全性・忍容性・免疫原性(抗体産生)を評価する。パート1で健康成人を対象とした試験で2回投与までの安全性・忍容性に問題がなかったことから、同年8月よりパート2に移行し、2025年9月7日に93例の被験者の登録を完了した。経過観察を経て、2026年下期に試験データの発表を目指す。良好な結果であれば、オプション契約先の塩野義製薬<4507>とライセンス本契約※を締結する可能性がある。国内だけで数百億円のポテンシャルが期待できるだけに、本試験の結果が注目される。 ※ オプション契約の一時金として3億円獲得する。オプション権を行使した場合、ライセンス契約一時金及び開発・販売の進捗に応じたマイルストーンとして最大178億円、さらに販売額に応じたロイヤリティも得る。 2. 皮膚潰瘍治療薬「SR-0379」の追加第3相臨床試験は2027年に結果発表 皮膚潰瘍(褥瘡、糖尿病性潰瘍、下肢潰瘍)を適応症とする機能性ペプチド「SR-0379」の追加第3相臨床試験が、2024年12月より国内で開始された。予定症例数142例に対し、2025年8月時点で3割強の登録が完了しており、順調に進捗している。主要評価項目は外科的処置(縫合、植皮、局所皮弁)までの日数としている。前回実施した第3相臨床試験で有効性が確認された特定患者(潰瘍サイズで36cm2未満)を対象にしているため、成功確率は高いと弊社では見ている。順調に進めば2027年上期にも結果が判明し、有効性が再現できれば承認申請を行って2028年内の上市を想定している。国内の対象患者数は約100万人であり、高齢化社会の進展に伴い患者数の増加が見込まれる。「SR-0379」を使用することで早期の外科的処置を可能にし、患者のQOL(Quality of life)向上に貢献する治療薬として期待されている。売上ポテンシャルとしては国内で数十億円規模と試算され、ライセンス契約先の塩野義製薬からロイヤリティ収入を得ることになる。 3. その他開発動向 2025年は、少なくとも1品目をパイプラインに追加し、前臨床試験を開始する予定だ。候補としては片頭痛または脂質異常症を対象とした抗体誘導ペプチドとなる。「FPP003」に関しては、国内で強直性脊椎炎を対象とした医師主導の第2相臨床試験が終了した。今後は、オプション契約先の住友ファーマ<4506>が試験結果を見て本ライセンス契約に移行するかどうかを決定する可能性があり、その動向も注目される。また、新たに次世代創薬技術として期待されている特殊ペプチド(非天然アミノ酸を含む環状ペプチド)による創薬研究も開始した。 4. 業績動向 2025年12月期中間期の連結業績は、事業収益で0.05百万円(前年同期は0.5百万円)、営業損失で909百万円(同395百万円の損失)となった。事業収益は化粧品向け等の機能性ペプチドの販売額を計上した。費用面では、「SR-0379」及び「FPP004X」の臨床試験開始により、研究開発費が同499百万円増の725百万円となった。2025年12月期の業績計画は非開示だが、「SR-0379」及び「FPP004X」の臨床試験費用や新規開発化合物の探索研究費を中心に、研究開発費は同859百万円増の1,400百万円を見込む。販管費は同16百万円減の350百万円、費用合計では同1,750百万円を見込んでいる。事業収益は製薬企業からの提携収入等が発生する可能性がある。当面の事業活動資金は手元の現金及び預金2,326百万円(2025年6月末時点)で賄うことになるが、株式市場からの資金調達も引き続き必要になってくると思われる。 ■Key Points ・花粉症ワクチンの第1相臨床試験は順調に進捗、2026年下期に結果発表予定 ・皮膚潰瘍向け治療薬は2028年内の上市を想定し、追加第3相臨床試験を実施中 ・2025年内に片頭痛または脂質異常症を対象とした前臨床試験開始を目指す ・開発効率の高い抗体誘導ペプチドで抗体医薬品を代替し、高成長を目指す (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》 記事一覧 |