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マーケットはなぜ間違えるのか

田中 泰輔著 東洋経済新報社

本書は、金融の世界におけるマーケットの変動を、主に心理学的アプローチから解 説を試みている。マーケット変動の解説に関しては、ほとんどの経済書が効率的市場 仮説をベースとした、いわば学究の書であるのに対して、本書は全く別の観点に立っ てそのからくりを明らかにしようとしていることで他に類を見ない。その意味で、本 書は空虚な理論を振り回すだけの経済書とは一線を隔した、まさに現場における実用 書と言えよう。
それゆえ、実際に売買を体験したことのない人間が読めば違和感を感 じるようなこと、同時に、実践者から見ればいかにもなるほどと思わせるような内容 が多く含まれている。
例えば、「ここで強調すべきは、少なくともこの短期相場において、優れたトレーダーとなるには、高度な分析能力に通じているよりも、感情面の コントロールに長けていることが必要と言うことだ。(P52)」、あるいは「すべての 情報が現在のレートに織り込まれているという信仰は、今でもマーケットに根強い。 (P56)」などである。
私は、もし読者が何らかの形で相場を張る立場にあれば、本書で述べられている概念である、心理学的観点から見たマーケットの動きを理解せ ずして利益をあげるのは難しいかもしれないと思う。なぜなら、マーケットの変動は 経済理論が作り出すものなのではなく、あくまでマーケットの参加者が作り出すもの であり、参加者が生身の人間である以上、そこに存在する心理的バイアスを無視する ことはできないからである。

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