監修者まえがき
本書はジョン・バー・ウイリアムズによる“The Theory of Investment Value”の邦訳である。この書籍は1997年になって復刻出版されたものであるが、初版は大恐慌直後の1938年にハーバード大学出版局から出されており、著者の博士課程での研究成果がベースになっている。本書にはディスカウント・キャッシュフロー・モデルをはじめとして、当時としては革新的な理論が多く解説されており、バリュー投資の教科書として長らく高い評価を得てきた。
さて改めて言うもでもなく、バリュー投資とは証券の本質的な価値に基づいて行われる投資であり、どうすればより安全に理論的な投資を行えるかを追求するものである。したがって、このアプローチは間違いなく投資行動の王道といえ、本来ならば多くの資金がこのスタイルによって運用され、多くの人に理解されているはずである。しかし実際には真の意味でのバリュー投資をまともに行っているところは非常に少ないのが現実で... (全文を読む)
第1章 「投機」と「投資」の違い
1.実質価値と市場価格
実質価値と市場価格は異なるものであり、混同してはならない。これは賢明な投資家であれば誰でも知っていることだ。あらゆる証券の現在の市場価格を見て、どの証券にも同じように魅力を感じる買い手などいない。投資家は、「その代価で最高の取引」を目指しているのだ。最も割安の銘柄を見つけるまで、あらゆる株式や債券を調べる。どれも高すぎて価値を見いだせず、何も買わないこともあるだろう。投資家として買った場合には、それを所得のために保有する。一方、投機家として買った場合には利益のために保有する。しかし投機家は投資家と取引をすることでしか利益を得ることができず(注1)、また投資家は所得を求めて売ることしかできない。結局、価格というのは将来の所得をどのように予測するかによって違うのである(注2)。投資価値はこのような意味を持つため、人によってさまざまな価値判断を下すが、実際の価格に一致するのはひとつだけであり、真の価値を持つのもひとつだけである。 (全文を読む)
(ウィザードブックシリーズ172)
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