最大の産油国サウジの巨大油田が枯渇の危機に瀕しているという観点からサウジアラビアの油田が抱える諸問題を論じる。著者は石油ビジネスをはじめとするエネルギー問題に詳しい米国の投資銀行家であり、本書は原著の出版準備段階から、その内容の点で、サウジアラビアの石油当局から大きな反発と反論を巻き起こした問題作。その後の原油価格高騰の要因のひとつにもなった。
いわゆる「ピークオイル」問題を扱った書籍は多いが、そうした書籍のほとんどが環境ジャーナリストによる石油埋蔵量の統計をベースとしたマクロ的観点から著されたものであるのに対し、本書は、サウジアラビアの既存油田の地質的・技術問題からより実証的・具体的な分析に重点を置いている点が最大の特色といえる。 本訳書では、日本の石油問題の第一人者である石井彰氏（独立行政法人 「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」石油天然ガス調査グループ 首席エコノミスト）の解説を加える。
第二部 豊富なサウジ石油の衰退
第5章 サウジアラムコ どの国よりも多くの石油を生産する企業
第6章 石油はただの生活用品ではない 石油・ガス生産の科学入門
第三部 転換期の巨人たち サウジアラビアの二二の油田を評価する
第7章 油田の王ガワール
第8章 ガワールに次ぐ巨大油田 アブカイク、サファニア、ベリ
第9章 それ以外の中で最高の油田 生産性がさらに低い油田
第10章 新油田探鉱の不調
第11章 天然ガスへの転換
第四部 砂漠のたそがれ
第12章 疑問視されるサウジの石油埋蔵量
第13章 不可避と向き合う かすみゆくサウジアラビア石油産業の未来
第14章 アラムコからの最新ニュースの行間を読む サウジアラビアの油田はすべて弱っている
第15章 アラムコは「ファジー理論」でサウジの石油の未来を管理
第16章 サウジの自信に満ちた主張の、より明確な裏付けを探す
第17章 縮小していくアラブの石油供給に世界はどう対処するか
付録A 方法論
付録B 裏付けとなる技術資料
付録C 一九七四年と一九七九年の上院公聴会
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