トレーダーズショップ
トップかごを見るご注文状況このページのPC版


<< Home / ← File 011 著者インタビュー / File 012 矢口 新 氏

 1 |

 2 |

 3

Q. タペストリー第二理論というのは?

A.   タペストリー第一理論で出てきた石油会社と外為市場を例に挙げると、“この2つが扱っているポジションは違う”ことがわかると思います。

 石油会社が買ったドルに代表されるような実需(買い切り)や長く保有する投資家が多くいる場合、長期間にわたって保有することで相場に長い影響を与えます。つまり、コアの円高圧力といわれるような、非常に長い影響を与えるわけです。

 でも、先ほど経常黒字が累積でも300兆円しかないと話したように、実需の金額には限りがあります。それを超えた分を売買すれば、買戻し売り戻しをします。これは何かというと、外為銀行などが行っている投機と同じです。投機というのは、限られた期間内に大量の資金を使って相場を動かす力なのです。

 投機が目的としているのはキャピタルゲインです。上がると思って買う、上がったら売る、下げれば損切りでやはり売るわけですから、ある期間を取ってみると、ネットの売買はゼロなのです。つまり、相場に縦方向の力、ボラティリティを与えているわけです。実需や投資といった保有が横軸方向の力を与え、投機が縦軸方向の力を与えることを、タペストリー第二理論と呼んでいます。

 つまり、価格はポジションの保有期間によって動くというのが、タペストリー第一理論。相場は、投機と投資とが、縦糸、横糸となって編み上げているタペストリー、つまり飾り絨毯のようなものだというのが、タペストリー第二理論です。


Q. プライスアクション理論とは?

A.  「すべての真実は価格の動きにある。だからこそ、それに反応しなくてはならない」という考えがプライスアクション理論です。

 例えば、アナリストがある企業を調べるとします。彼らは企業を調べることの専門家です。ところが、彼らが調べたファンダメンタルズの良し悪しと株価との関係はあまりないのです。

 また、彼らがよりどころにしているファンダメンタルズの数値はあいまいです。例えば、会計基準が変われば収益が変わるわけです。同じだけの収益を上げていても、会計基準が変わっただけで結果が変わってくる。または、粉飾のように、故意に変えていることもあります。彼らは、そういうことに目をつむってといいますか、国や企業が与えてくれた数値が正しいということを前提として動いているわけです。

 ここで、冷静に「儲かるというのはどういうことか」を考えると、結局は価格の動きになるのです。例えば、100円のものが200円に上がれば儲かるのです。つまり、価格が動いてはじめて損益が確定するわけですから、それならば最初から価格のほうに注目してというか、少なくとも価格のほうに重心を置いておけばいいのではないか、ということなのです。

 もちろん、そうはいっても将来に何が起こるのかわからないので、一応、ファンダメンタルズも見ておくことは必要です。ですが、これはあくまでも予想ですから、思惑通りにいかないのであれば、つまり価格が逆に行けば速やかに反対売買をしましょうということが、プライスアクション理論です。


Q. 値動きについていくというのは、大きく儲けている人に多い行動のような感じがします。実は、ある大物投資家にお話をお伺いしたときも、「難しいことは何もしていません。徹底的に値動きについていくだけです」という話をされていました。儲けている人はすごいことをやっているのかと考えがちですけど、意外と、ごく基本的なことを淡々と繰り返しているのだなと思いましたね。

A.  そういうことをやって収益を上げている人が本物なんだと思います。これまでの投資銀行やヘッジファンドのように、実際のリターンは数パーセントなのに、レバレッジで十倍、二十倍に見せかけていることがありますが、これは本物ではないですよね。力任せに動かしているだけですからね。

 大きな資金を扱えるところは自分で相場を動かせるのではないかと思ってしまうんですね。例えば、小さな川の流れであれば変えられるかもしれませんが、もっと大きな川の流れになると、ひとたまりもなくやられてしまうわけですよ。ですから、逆に言うと、小さな川の流れを探す人もいるわけですけどね。でも、それは一時的には成功しても、長くは続かないんです。そんな小川は見捨てられて乾上がるか、コストを払い続けて維持するかしかなくなります。

相場の奥は深いんです。


 1 |

 2 |

 3

今回インタビューに応じていただいたのは…
矢口 新 先生
Yaguchi Arata

豪州メルボルン大学卒業。野村證券(東京、ニューヨーク、ロンドン)、ソロモン、UBSなどで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスとして活躍。 著書『実践・生き残りのディーリング』は、現役ディーラーの“座右の書”として、高い評価を得ている。現在は株式会社ディーラーズ・ウェブ(金融商品取引業)経営の傍ら、地場証券会社のディーラーとして日本株を運用。まぐまぐ公式メルマガ『マネーのまぐまぐ!』で“矢口新の『トレードセンス養成講座』”も掲載中。

ウェブサイト

Dealer's Web

先生の著書はこちら

オーディオブック
実践 生き残りのディーリング

オーディオブック
矢口新のトレードセンス養成ドリル Lesson1


矢口新のトレードセンス養成ドリル Lesson2


なぜ株価は値上がるのか? 相場のプロが教える「利食いと損切りの極意」


矢口新の相場力アップドリル 株式編


[矢口新の相場力アップドリル 為替編


株を極める! リスク管理・資金運用 プロのノウハウ


マンガ 生き残りの株入門の入門-あなたは投資家? 投機家?

第7回 ご愛顧特別感謝祭 投資戦略フェア2009【A指定席】



<< Home / 《著者インタビュー》一覧 / 矢口 新 氏