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浜口流コア・サテライト株式運用戦略の実践
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第13回 大相場に発展中の商船三井・日本郵船、そして最高益の日本製鉄は

2021.9.21


<著者プロフィール> 浜口準之助(はまぐち・じゅんのすけ)

黄金サイクルと農耕民族型投資戦略 約15年にわたり機関投資家のファンドマネージャーとして株式運用に従事。信託銀行などで主に年金資金の日本株運用を行う。その後約14年にわたり投信運用会社にて投資環境のセミナー講師に携わる傍ら個人投資家として株式運用を行い、「億り人」の仲間入りを果たす。「浜口流コア・サテライト戦略」を提唱し自らも実践している。「醍醐味に満ちたライフワークとして、株式投資に勝るものなし」との基本観から、個人投資家に実践的な株式投資手法の研究を続けている。 社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『黄金サイクルと農耕民族型投資戦略』(パンローリング刊)、ブログ 浜口準之助のテツ・ホテル・グルメ・株式運用 をほぼ毎日更新中、こちらでは旅の話もしている。




浜口です。今回もまた、投資銘柄フォロー・定点観測から始めましょう。

まずは前回の当ブログのアップ日(2021年9月6日)以降の「浜口流コア・サテライト戦略」下記2つの図、上は株価が9月3日時点、下はその2週間後、株価が9月17日時点のデータです。この期間は市場全体が値上がりししたため、5401日本製鉄以外は、全銘柄上昇しています。中でも、今となってはすっかり「全国区銘柄」となった海運株。当ブログで一貫して取り上げている商船三井・日本郵船の株価(以下、両銘柄の株価と記す)上昇は美しく、今回もまた、ここもとの新高値となりました。一方、唯一値下がりの5401日本製鉄は説明が必要ですが、今後の投資対象として楽しみと考えます。これは後段で、詳しく触れます。

コア・サテライト戦略 株式銘柄群

コア・サテライト戦略 株式銘柄群


商船三井 日本郵船

商船三井・日本郵船そして三菱商事とも、上昇要因は前回の当レポートのここで説明したシナリオの通り。同じことを書いてもクドくなりますので、今回はコメントを割愛させていただきます。

それにしても……三菱商事の株価は趨勢的に高く、先週末終値3,641円はここもとの高値であることに加え、2008年5月の史上最高値3,950円まであと300円強ですね。足元のファンダメンタルズの良さに加え、「ウォーレン・バフェット効果」もあるのでしょうか。まあ、喜ばしいことには違いありませんね。

三菱商事
三菱商事 30年月足(チャートギャラリー)

当ブログで披露している投資環境見通し、相場観については、方向性としては変化ありませんが、今後の見通しについて、より強気になっています。具体的には前回は景気敏感バリュー株は時間の問題で底打ち、上昇に転じる見通しとしていましたが、今回はここを、景気敏感バリュー株は総じて既に底打ちし、上昇中である銘柄が多くなったとします。より強気になっているわけですから、ここに掲載している銘柄群については基本、継続保有で問題なしです。

もう一つの投資戦略、「商船三井ロング・日本郵船ショート」について説明します。

2銘柄サヤ

2銘柄サヤ

上のグラフは9月3日時点、下はその2週間後、株価が9月17日時点のデータです。

9月17日時点で商船三井の株価は9,500円、一方で日本郵船は10,350円と、株価の単純比較では850円ほど郵船が高い状況です。
前回と比較して、両銘柄のさやは20円拡大するも、この程度の変化は誤差の範囲内。特段、変化があったわけではないと考えます。

私は現在も引き続き、「商船三井ロング・日本郵船ショート」ポジションは持っていません。
今後、どうするのか。これもここ何回か、ブログでも書いているのと同じですが。

さやの方向次第では、この「商船三井ロング・日本郵船ショート」ポジションを再度仕掛けたいと思っています。
しかし足元では、両銘柄とも強烈な上昇相場の渦中にあります。
さや取りよりも片張りの方が取れそうとの相場観に加え、現状では両銘柄のさやの方向性が見いだせないため、この戦略は様子見としています。

なおグラフは過去3カ月の商船三井と日本郵船の株価を示したものです。
グラフは日経SmartChartPLUSを用いて、概ね、重なるように作っています。 (日経SmartChartPLUS


さて、ここからは今回のメインテーマ、「大相場に発展中の商船三井・日本郵船、そして最高益の日本製鉄は」について考えてみたいと思います。前回のテーマが「いよいよ大相場に発展するのか。商船三井・日本郵船の株価」ですから、引き続き海運株には強気ということです。

商船三井 30年足
商船三井 30年月足(チャートギャラリー)

日本郵船 30年足
日本郵船 30年月足(チャートギャラリー)

これは商船三井・日本郵船の30年月足。
今回の海運株の相場は、2007年の大相場と比較されることが多くなったように感じます。
当時の最高値は商船三井が7月10日の20,400円、日本郵船が7月7日の12,750円。
これが視野に入ってきたということです。

実際、先週末の郵船の株価は10,350円ですから、あと2,400円。 ずいぶんと値上がりしたものです。
ちなみにこの2007年の相場とその天井打ちに関しては、
拙ブログ「郵船と商船三井の株価差の変化の歴史は?」にまとめていますのでご覧ください。

今回の海運株の相場は、いつ天井を打つのか。これを予測するのは大変難しいことです。
ちなみに2007年の相場は2003年に始まっていますので、約4年間、大相場が続いたことになります。
今回もこの再現を期待したいところではありますが、現状、そこまで楽観的になれるものか。
少し弱いかな……材料が。率直に、私はそう考えます。あくまで、「現状」ですが……

海運株は両銘柄とも、今期は増益増配・来期は減益・減配の見通し。
この見通しが今後どう変化していくかがポイントになります。

この辺は、このブログでも継続して紹介させていただいてる
MorganStanley MUFG証券の海運株アナリスト尾坂さんのコメントに注目しています。

尾坂さんの目標株価は現状、商船三井11,300円、日本郵船10,400円。
日本郵船は、既にほぼ目標株価近くに位置している状況です。

ただし氏は、両銘柄は今期3度目の業績上方修正を近々行うとの見方を公言していますので、
近い将来、より高い増益率・より高い目標株価のレポートが出てくると思われ、それに期待したいと思います。
この件については、以下の拙ブログで詳しく説明していますので、こちらも併せてご覧ください。

 新たな目標株価「商船三井11,300円、日本郵船10,400円」レポートが発行されたな(2021年8月24日)
 第10回 商船三井・日本郵船は今後、3回目の業績上方修正があるのか(2021年8月10日)

また尾坂さん以外に、このアナリストお二人のコメントも注目されます。
特にみずほ証券の鈴木さん。商船三井の目標株価が14,000円、日本郵船は12,000円。
氏の配当利回りをもとに目標株価を算出する方法は、私にもしっくりします。

 商船三井と日本郵船の目標株価が10,000円以上!!そんな有力アナリストが、さらに2名登場したけどな(2021年8月29日)

海運株の相場は現在、7合目から8合目あたりといったところでしょうか。
ここにきて顕著に目立つこと。それはこれまで、海運株に見向きもしなかった投資家が入ってきていることです。
私はTwitterでも情報発信しているのですが、Twitterでの私のフォロー者数が日に日に増加しています(みなさんもフォローしてくださいね(笑))。新たな方はみな、海運株の情報が欲しくて私をフォローしている事は明らかです。このような向き、これまでと異なる投資家の新規参入買いが入ってきていることも、ここもとの株価上昇の背景としてあると思います。

逆に言うと、これは相場の最終局面近しのシグナルといえなくもない。
失礼な表現で恐縮ですが、NYの古い相場格言で「大衆は常に間違う」というのがあります
要注意ではありますね。

私はバリュー株の目先天井として、暫定的に来年、つまり2022年の3月をメドに考えています。
来年3月はこの相場の起点、それは新型コロナに伴い暴落し形成した安値の日、
2020年3月23日あたりからほぼ2年にあたります。

ここ数年の景気敏感バリュー株の相場を日柄で考えれば、
2年から3年上昇し、それと同じ日柄、もしくはそれにプラスαした日柄下落する循環を繰り返しています。
これはいわゆる在庫循環の影響を受けていると思われますが、
今回もそれに準じるということであれば、Sell in May……昨今は前倒し、Sell in Aprilの時も……を一応のメドと考えるわけです。

ただし今回は、景気循環的には在庫循環以外に設備投資、建設投資などの循環も上向きとのことですので、もう少し先かもしれませんが……まあ、2022年の3月といっても、現在から半年近くあります。それ以降のことは、もうしばらく先に考えていけばいいんだろな。そう考えます。

さて今回はポスト海運株と言うことで、日本製鉄について考えていきたいと思います。


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