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第22回 安易な外貨投資は大ケガのもと

2008/05/06

12年ぶりに、1ドル=95円にまで円高が進んだ為替相場。外貨投資をはじめる チャンスと考える人も多いようで、外貨預金の口座開設も増えています。

しかし、一般に考えられているほど、外貨投資は簡単ではありません。それど ころか、下手をすると大損する可能性もあることを肝に銘じる必要があります。

  外貨投資を行う理由としては、主に次のようなものが挙げられます。

(積極的理由)
 ・円安による為替差益の獲得
 ・日本と比較して高い金利による利息収入の獲得

(消極的理由)
 ・日本経済の衰退による急激な円安に備えて、購買力維持のための外貨保有

昨年の夏ごろまでは、投資家は外貨投資により、為替差益の獲得や高金利収入 という恩恵を受けてきました。
その後は一転して、主にドル安を原因とした円高や、サブプライム問題対策の ための相次ぐ利下げにより、逆に外貨投資のリスク要因が露呈しています。

外貨投資の特徴として、為替取引が「ゼロサム・ゲーム」であることが挙げら れます。株式投資では、投資先企業が利益を獲得することで企業価値が上昇し、 株主が株価上昇や配当という形でその恩恵を受けることが可能です。

しかし、為替取引は、例えば米ドル・円で考えれば、円高になった場合、ドル を基準に運用している人は為替差益を得ますが、逆に円を基準に運用している 人は為替差損を被ります。そして、為替差益と為替差損を足すと、計算上はプ ラスマイナスが相殺されてトータルの利益はゼロになります。

為替相場それ自体は、株式のように価値を創造することはありません。したが って、外貨投資は、長期的に行えばいつかは円安になり為替差益が得られる、 というものではないことをまず理解することが重要です。

外貨投資をしている個人投資家は、為替差益よりも、むしろ高金利の獲得を目 的としている方が多いようです。

しかしながら、これも現時点での話であり、実際に、アメリカでは相次ぐ利下 げにより高金利通貨とはいえなくなっています。そして、理論上は、高金利の 通貨は、高インフレ率のため通貨価値が下落し、将来的に安くなるのです。さ らに、将来、日本の金利が諸外国に並ぶ水準にまで上昇する可能性もゼロでは ありません。

単純に高金利という理由だけで、外貨投資を行うことは、危険といわざるを得 ません。

外貨投資を行って、円高により為替差損を被ったとき、「長期的に外貨を保有 すれば高い利息収入で為替差損をカバーできる」と考える個人投資家を非常に 多く見かけます。でも、「高い利息収入」がいつまでも得られる保証はないと いうことを、今回のサブプライム問題による相次ぐ利下げにより理解していた だけたのではないでしょうか。

外貨投資を行うにあたり、どのようなことに気をつければよいのか、筆者なり の考えを次回ご紹介したいと思います。


足立武志
公認会計士、税理士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)
株式会社マーケットチェッカー取締役

1975年生まれ 神奈川県出身 一橋大学商学部経営学科卒業。資産運用に精通した公認会計士として、執筆活 動、セミナー講師等を通じ、個人投資家が資産運用で成功するために必要な知識や情報の提供に努めている。

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