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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/12/09 11:03,
提供元: フィスコ
HCH Research Memo(3):エンジニア派遣を起点に、ITコンサル・開発など戦略領域へ事業拡大
*11:03JST HCH Research Memo(3):エンジニア派遣を起点に、ITコンサル・開発など戦略領域へ事業拡大
■事業概要
1. 事業区分
ヒューマンクリエイションホールディングス<7361>は事業区分を、SES(エンジニア派遣)事業、及び戦略領域事業(M&A仲介・コンサル事業、ITコンサル・開発事業、保守運用・BPO事業)としている。『答えを創る次世代の経営課題コンサルティング企業』への進化に向けて、SES事業を起点に、M&Aも駆使しながら成長分野である戦略領域へ事業拡大している。
SESは同社の創業以来の主力事業である。現在はブレーンナレッジシステムズが東京、札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡の合計6拠点において、プロジェクトチーム単位などでエンジニア派遣を展開している。2025年9月期の年間エンジニア数(2025年9月期末時点のグループ在籍エンジニア数×12ヶ月とビジネスパートナーの年間累計数の合計)は8,456名で、同社グループ最大の要員を有するシステムエンジニア・プログラマー集団である。基本戦略として、特定の技術分野(セキュリティ、クラウド、モビリティ等)や顧客の業種・規模等にこだわらず、幅広く全方位的に技術・顧客展開している。2025年9月期の取引先企業数は合計354社(うち上場企業が68社、資本金1億円以上の企業が179社)で、顧客の業種別比率は製造・流通が32.8%、通信・メディアが23.9%、金融サービスが17.9%、公共・医療が14.0%、エネルギー・その他が11.5%となった。豊富な人財リソースを活用してグループ内の事業変革を支えるシステム・プロダクト開発も行い、グループシナジーを強化している。
戦略領域は、主にHCフィナンシャル・アドバイザーがM&A仲介・コンサルを、アセットコンサルティングフォース、ヒューマンベース及びTARAがITコンサル・開発を、セイリング及びコスモピアが保守運用・BPOを展開し、M&A仲介・コンサル・開発・保守運用までをグループ内で完結できるワンストップビジネスモデルを構築している。顧客基盤・案件情報・ナレッジ・人財リソースの連携によりグループシナジーを発揮する体制だ。
HCフィナンシャル・アドバイザーは、中小企業の事業承継や成長戦略支援に特化し、全国規模のネットワークと豊富な案件情報を活かしたM&A仲介を強みとしている。また同年8月にはGrowthix(株)よりM&A仲介事業を譲り受け、ネットワークを拡大した。
アセットコンサルティングフォースはSIの上流工程を担い、顧客企業の経営課題解決コンサルティングや要件定義などを提供している。2025年10月には(株)NTTデータのアソシエイトパートナー(AP)に認定、AWS(Amazon Web Services)よりAWSセレクトティアサービスパートナーに認定された。ヒューマンベースは、企業の基幹業務(財務会計、管理会計、人事労務、購買物流等)の最適化・効率化を支援するBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)コンサルタントとして、主にERP(エンタープライズ・リソース・プランニング=統合基幹業務システム)アプリケーション導入・開発などのソリューションを提供している。TARAは、AIソリューション分野において幅広い業種の大手企業や地方自治体向けに、オリジナル開発された人物検知AIカメラを駆使し、当該機器から得られるデータ分析に基づいた次世代店舗モデル構想設計、データサイエンスによるマーケティング強化、店舗オペレーション高度化・省力化などの経営課題解決コンサルティングを提供している。なお2024年9月にはWebマーケティングコンサルティングの(株)ONE CRUISEと業務提携した。TARAのAIカメラソリューションなどとの連携を推進する。
セイリングはシステム更改、機能拡張・改善、保守・運用などのインフラ整備を行うエンジニア集団である。コスモピアは主に中央省庁や大手BtoC企業向けに、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)分野におけるシステムサポートやサポートデスク運営受託などのサービスを提供している。
戦略分野は高成長、SESは安定成長
2. 事業別売上高の推移
2025年9月期の連結売上高は8,945百万円、事業別売上高は戦略領域が3,642百万円(売上高構成比40.7%)、SESが5,303百万円(同59.3%)となった。連結売上高は2020年9月期の4,565百万円から約2.0倍に拡大した。このうち戦略領域の売上高はM&A効果により2020年9月期の605百万円から約6.0倍の規模となり、売上高構成比も40%台まで上昇した。SESの売上高は2020年9月期の3,959百万円から約1.3倍の規模となった。伸び率が緩やかで売上高構成比も低下傾向だが、派遣人員数は増加基調、契約単価は上昇基調である。トレンドとして戦略領域の高成長が連結売上高の拡大をけん引し、SESは安定成長を継続している。
「ボトムアップ型の変革アプローチ」で深みのあるソリューションを提供
3. 特徴・強み
同社の特徴・強みとしては、創業以来のSESをベースに、システムコンサル及び受託開発・保守運用へ事業領域を拡大したことにより、SIの上流工程から下流工程まで(コンサルから受託開発・保守運用、エンジニア派遣まで)一貫したサービスを提供し、上流工程からでも下流工程からでも顧客の経営課題解決にアプローチできる体制を構築したことが挙げられる。上流工程だけでは実現しがたい顧客の経営課題解決に対して、エンジニア派遣で顧客の「現場」を知ることや、事業子会社各社の強みを活かした「ボトムアップ型の変革アプローチ」で、深みのあるソリューションを提案・価値提供できる。さらに、2025年4月にHCフィナンシャル・アドバイザーがグループインしたことにより、M&A仲介・コンサルを含めたワンストップビジネスモデルを構築した。
SESは安定収益源
4. 収益特性・リスク要因と課題・対策
システム開発・ITサービス業界の事業環境については企業のIT・DX投資が中長期的に高水準に推移すると予想されるものの、一般的な収益特性・リスク要因として、大型案件の反動、個別案件ごとの採算性、プロジェクト進捗遅れによる不採算化などによって業績が変動する可能性がある。また人財難・採用難が受注拡大のネックとなる可能性がある。同社の場合、現状は売上高の約6割を占めるSESが安定収益源となっている。SESに関しては取引先が特定の業種に偏ることなく多岐にわたり、リスク低減が図られている。今後はSESの安定的な成長を図りつつ、より利益率の高い戦略領域への展開を加速させる方針だ。そして人財面では、コンサルタントやプロジェクトマネジャーといった経営課題を抽出して提案できる人財の採用・育成を強化するほか、パートナー企業との連携も強化する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
《HN》
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