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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/10/06 11:07, 提供元: フィスコ サイバーリン Research Memo(7):期初予想を据え置き37.9%の営業増益予想だが、上方修正の可能性も残る*11:07JST サイバーリン Research Memo(7):期初予想を据え置き37.9%の営業増益予想だが、上方修正の可能性も残る■サイバーリンクス<3683>の今後の見通し 1. 2025年12月期の業績見通し 2025年12月期の連結業績は期初予想を据え置き、売上高17,741百万円(前期比11.8%増)、定常収入8,654百万円(同6.5%増)、営業利益1,731百万円(同37.9%増)、経常利益1,734百万円(同36.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,147百万円(同40.8%増)を見込んでいる。 経常利益(前期比4.6億円増)の増減要因では、流通クラウド事業は1.2億円の増益を見込むが、内訳は売上増(サービスの拡大、料金改定、「@rmsV6」導入等)による増益が7.3億円、原価増(主に開発体制強化による人員増や仕入増など)による減益3.6億円、「@rmsV6」リリースに伴うソフトウェア償却費増による減益1.6億円、販管費の増加(営業人員増強等)による減益が0.8億円となっている。官公庁クラウド事業は、自治体基幹システム標準化、文書管理システムなどの拡販により4.4億円の増益を見込んでいる。トラスト事業では、「CloudCerts」の提供拡大などにより0.8億円の増益、モバイルネットワーク事業は、端末販売やインセンティブで前期下期並みを見込むが、前期上期の加算インセンティブの反動などにより0.3億円の減益予想となっている。また全社ベースでは、社内基幹システム刷新や人的資本投資増強による諸費用の増加により1.4億円の減益を見込んでいる。 また以上の予想は期初に計画したものだが、既出のように既に中間期の実績は計画を上回っている。特に、官公庁クラウドとモバイルの通期予想に対する中間期進捗率(実績)が非常に高くなっていることから、通期予想が上方修正される可能性が高いと弊社では見ている。 2. セグメント別見通し (1)流通クラウド事業 セグメント売上高は、主力の「@rmsV6」などのサービス提供拡大や2024年10月からの値上げ効果により5,640百万円(前期比15.0%増)、定常収入は4,378百万円(同9.7%増)を予想している。セグメント利益は、957百万円(同14.2%増)を予想しているが、セグメント利益率は17.0%(前期は17.1%)と足踏みする見込みだ。これは「@rms」のバージョンアップ開発完了に伴うソフトウェア償却費負担増や、開発体制強化のための人員増・賃上げなどの待遇改善による費用の増加によるものだ。ベースの事業は順調に拡大している。 主な施策としては、「@rmsV6」の受注済み案件の導入作業を進めるとともに、さらなる受注獲得を目指す。また、前期にリリースした「AI自動発注」のサービス提供を拡大する。「C2Platform」商談支援サービスでは、日食協が展開する「N-Sikle」での採用を足掛かりに卸売業向けサービス拡大に注力する。これらのサービス開発に伴いソフトウェア償却費は前期比約1.6億円増加の見通しだが、増収で吸収し増益を計画している。ただし、中間期の実績が当初計画を若干だが下回ったことから、期初計画が未達の可能性も残る。 (2)官公庁クラウド事業 セグメント売上高は7,918百万円(同16.1%増)、定常収入は3,478百万円(同0.3%減)、セグメント利益は956百万円(同87.5%増)を予想している。 自治体DX案件を着実に取り込むことで、大幅増収増益を見込んでいる。「自治体基幹業務システムの統一・標準化」に関連した受注済み案件(18団体)の着実な移行作業を進め、増収を目指す。文書管理システム「ActiveCity」では、前期は過去最高の受注団体数・受注額を達成したが、2025年度も既に大型案件獲得をしており、導入をさらに進め、さらなる普及拡大を目指す。また同社が得意とする防災システム関連の大型案件が下期以降進行する見込みだ。一方で、M&Aに伴う償却約2.4億円/年(ソフトウェア償却費約0.7億円/年、のれん償却約1.6億円/年)は続くが、これらを吸収して大幅増益を計画している。 中間期の経常利益は既に697百万円を達成しており通期予想に対する進捗率は72.9%となっている。元々自治体等では、最終四半期(1−3月)に多くの案件が決済される傾向があり、同社にとっては第1四半期に売上高が増加するケースが多い。そのため、同社の業績も上期偏重になる場合が多いが、それを考慮しても現時点の予想はかなり保守的であり、上方修正される可能性が高いと弊社では見ている。 (3)トラスト事業 セグメント売上高は231百万円(前期比184.5%増)、定常収入は145百万円(同131.6%増)、セグメント損益は0百万円(前期は81百万円の損失)を予想している。案件は増加しており、これらを確実に取り込むことで収支均衡を目指すが、中間期の実績が計画比で遅れているため、通期予想を達成するのは容易ではなさそうだ。ただし、損益規模が小さいため全体の業績に与える影響は小さいと思われる。 施策としては、営業力強化に向けた取り組みとして、人員増強し営業体制を強化すると同時に外部リソースも活用する。一方で、官公庁クラウド事業と連携し営業力を活用して自治体向け提案に取り組む。 (4)モバイルネットワーク事業 セグメント売上高は3,952百万円(前期比2.8%減)、定常収入は653百万円(同12.2%増)、セグメント利益は234百万円(同12.6%減)を予想している。 既に中間期で236百万円のセグメント利益を計上しているため、期初の利益予想はかなり控え目であったと言える。今後、キャリアのインセンティブ政策等の変更がなければ、上方修正の可能性は高いと思われる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) 《HN》 記事一覧 |