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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/10/02 11:17, 提供元: フィスコ GameWith Research Memo(7):2026年5月期は黒字化と強固な基盤を確立する見込み(2)*11:17JST GameWith Research Memo(7):2026年5月期は黒字化と強固な基盤を確立する見込み(2)■GameWith<6552>の今後の見通し 2. 中期経営計画 同社は、2025年5月期を初年度、2029年5月期を最終年度とする5ヶ年の中期経営計画において、売上高を2024年5月期の35億円から2029年5月期には倍増の70億円へと大幅拡大を目指している。事業別の詳細な数値目標については開示していないが、定性的な今後の取り組みについては以下のとおりである。 (1) メディア メディアにおいては現状、ほぼ国内依存となっている収益構造からの脱却を目指し、グローバル展開を積極化させる方針だ。これまでも英語版GameWithは展開していたが、タイトルカバレッジが少ないなど課題も多かった。この課題を解決すべく、同社では英語での記事作成が可能な人材へ投資を積極的に行い、タイトルカバレッジを充足させる計画だ。タイトルカバレッジが増加して検索で上位に表示されるようになれば、PV数が急増していくという国内ゲームメディアでの成功再現をねらう。また、同社では海外におけるGameWithの認知度が低く、国外ゲーム企業とのコネクションが少ないという課題を解決するため、デジタルハーツホールディングス子会社のDIGITAL HEARTS Seoul Co., Ltd.とパートナーシップ締結を行い、韓国市場におけるGameWithの認知度向上と取引拡大を目指す。具体的には、DIGITAL HEARTS Seoul Co., Ltd内にGameWithチームを設置し、韓国ゲーム会社に対しての営業サポート及び共同セミナーの実施、メニュー開発、パッケージ販売など、営業業務全般において、それぞれのノウハウや既存の経営資源を活用した提携を推進する。また、人材への投資と同時並行でAI活用への投資も行い、プッシュ型の情報発信の増加も進める。生成AIの普及により、ゲーム攻略の提供方法も今後変化すると見られる。つまり、今までは知りたいと思った情報をユーザーが検索し、Webメディアを通じて情報提供するという受け身の姿勢となっていたが、今後はAIを活用してユーザーのゲーム進捗を解析することが可能となり、ゲームの進捗状況に応じて能動的にリアルタイムで攻略情報を提案することが可能となる。このような変化に伴い、ビジネスモデルの再構築の余地が期待できる。 (2) eスポーツ・エンタメ eスポーツ・エンタメにおいては、政府によるeスポーツの強化支援、五輪採用に向けた検討が進むなど、競技シーンは今後大きく盛り上がる可能性があり、同社は日本を代表するeスポーツチームとして認知度の向上、チームの価値強化、さらなるファンの獲得などを進める方針だ。2023年6月にシンガポールで国際オリンピック委員会主催のオリンピック・eスポーツシリーズが開催されたほか、9月に開催されたアジア競技大会ではeスポーツが正式種目として採用されるなど市場動向が注目されている。同社によれば、2021年に9,868百万円だった国内eスポーツ市場規模は、2023年に14,685百万円、2025年に19,982百万円へと成長する見通しである。世界にはさらに大きな市場があり、同社では国内だけでなく世界で戦うチームとして、世界大会への出場や韓国拠点の設立、アジアリーグへの参加などを実現している。加えて、インフルエンサービジネスの強化のため、ストリーマーを積極的に獲得することでブランディングの強化、さらには将来的な動画配信収益及びグッズ販売などを増加させることで、大会賞金やスポンサー収入以外の安定した収益源の獲得を目指す。大手VTuber事務所でもファンによるグッズ販売からの利益貢献が全社業績に占める割合が高く、同社においてもインフルエンサービジネスを新たな安定した収益源へ育成できるかに注目したい。 (3) 新規事業 新規事業についても、NFTゲーム事業、回線事業ともに成長が期待される。NFTゲーム市場においては、今後、大手ゲーム企業の参入が見込まれ、NFTゲームのクオリティがWeb2ゲームレベルに向上すれば、ゲームプレイ人口も爆発的に増加する可能性を秘めている。今後も様々なNFTゲームが市場に投入されることを考えると、同社においても既存の「EGGRYPTO」における次期タイトル「EGGRYPTO X」において新規ユーザー数拡大やARPU上昇を進めると同時に、新たなNFTタイトルである「AIM NOVA」の投入も2027年5月期以降に計画されている。また、回線事業については、ユーザーの獲得が着実に将来の利益へつながる構図のため、1ユーザー当たりの顧客獲得コスト最小化と、新規契約後の解約率をいかに低減できるかが重要となるだろう。同社は今後、回線事業においてユーザー数を大きく増やすために引き続きプロモーション施策や先行投資を積極的に進める方針だ。短期的な収益環境には向かい風かもしれないが、中期経営計画後半の2027年5月期からは営業利益ベースでも黒字化する見通しである。規律あるプロモーション費用を維持し、早期に獲得したユーザーの黒字化を予定どおり進め、解約率を低位にとどめることができるかに注目したい。 ■株主還元策 財務体質強化及び積極的な事業展開に備えて無配を継続 同社は、企業価値を継続的に拡大し、株主への利益還元を行うことを重要な経営課題と認識している。一方で、財務体質の強化及び積極的な事業展開に備えるための内部留保の充実を優先させるため、現在までのところ無配を継続している。今後は、毎期の業績及び財務状況を考慮しつつ、将来の事業拡大のために必要な内部留保とのバランスを図りながら配当による株主への利益還元を安定的かつ継続的に実施する方針である。ただ、現時点において配当の実施の可能性及びその実施の時期等は未定としている。なお、内部留保資金については、今後予想される経営環境の変化に応じ、また、一層の事業拡大を目指すため、中長期的な投資原資として利用していく予定である。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠) 《KM》 記事一覧 |