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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/09/30 14:33, 提供元: フィスコ きちりHD Research Memo(3):強みは、業態開発力と人材採用・育成力に加え、ITを店舗運営に生かす先進性*14:33JST きちりHD Research Memo(3):強みは、業態開発力と人材採用・育成力に加え、ITを店舗運営に生かす先進性■きちりホールディングス<3082>の事業概要 2. 同社の強み 同社の強みとして、立地条件に合わせて収益性の高い業態を開発する企画開発力、人材の採用力・育成力、先進的なITシステムを店舗運営に積極的に活用する先進性の3点が挙げられる。 (1)業態開発力 同社は主力の「KICHIRI」を2002年に出店以降、現在までにブランド・コンテンツ活用型店舗も含めて30以上の業態を開発している。出店エリアは都市型からモール・郊外型へと展開し、業態も居酒屋からレストラン、カフェ、テイクアウト、グローサラント※と幅広い。店舗コンセプトについても非日常型から日常型と、多彩な業態開発を行っている点が特徴である。 ※ グロッサリーとレストランを合わせた造語で、主にスーパーで売られている食材を調理して、その場で食べられる飲食業態のこと。 商業施設内に出店するレストラン業態では「いしがまやハンバーグ」や「VEGEGO」、ダイニングバー業態では「ajito」「igu&Peace」、グローサラント業態では「Merca」など、収益性の高い業態開発に相次いで成功してきた。コロナ禍以降も、2021年7月に本厚木駅直結の商業施設内にフードホール「FLDK(エフ・エル・ディー・ケー)」や焼肉業態でロードサイド型店舗となる「肉の満牛萬」を開店した。社内で業態開発を行う人材の成長が、多彩な業態開発を可能にしているものと見られる。 とりわけ、「いしがまやハンバーグ」や「VEGEGO」については、商業施設内に出店している飲食店舗のなかでも坪当たり月商が常時上位にランキングされる※。デベロッパーからの評価も高く、新規施設の開発の際には出店を要請されるほどの信用が得られている。 ※ 坪当たり月商は、商業施設店舗の平均に対して「いしがまやハンバーグ」が1.57倍、「VEGEGO」が1.24倍の実績を挙げている。 (2)人材採用力と育成力 同社の強みの1つとして人材採用力と育成力が挙げられる。新人社員の多くは当初店舗に配属されるため、1店舗当たり新人社員1人の配属で、アルバイト数名分の業務を賄うことが可能となる。飲食業界ではアルバイト不足に伴うホールスタッフの人材不足が慢性化し、サービス品質が低下している店舗も少なくないが、同社は新卒社員で賄うことで一定水準以上のサービス品質を維持しており、これが他社との差別化につながっている。 同業他社と比較して同社が順調に新入社員を確保できている背景には、独自の教育制度やキャリアプランに加え、飲食事業だけでなく地方創生事業などの多彩な事業を展開していることが挙げられる。また、アルバイトスタッフ(パートナー)に対しても、学生を対象とした「就職支援制度」や退職者に対する「パートナー卒業式」を毎年開催するなど、関わる人すべてを大切にする「おもてなし」のスピリットが浸透した企業として学生に認知されていることも要因の1つと考えられる。ここ数年は外国人の採用も進めており、正社員の2割強を占めるまでに拡大した。 人材育成力に関しては、「きちりMBA」制度や「立候補制度」など同社独自の制度を導入している。「きちりMBA」の講師は社内スタッフで構成されており、全従業員がオンラインでも受講できる。「理念研修」から「ビジネススキル」「おもてなし」といった現場で必要となるスキルのほか、「マネジメント」や「リーダーシップ」など幹部候補生向けのプログラムも用意されており、社員一人ひとりのスキルアップを図っている。 (3)ITの導入を積極推進 同社は2016年以降、ITベンチャー企業などとの戦略的業務提携を積極的に進めてきた。2018年以降は子会社のApplyNowで開発したDXサービスも取り入れている。具体的な取り組みとして、2016年3月にiPadを活用したSaaS型POSレジシステム「ユビレジ」を展開する(株)ユビレジと資本業務提携し、「ユビレジ」をサービスメニューに加えた。同年9月にはFinTechベンチャーの(株)BEARTAIL(現 (株)TOKIUM)と業務提携し、BEARTAILが提供する「RECEIPT POST(現 TOKIUM経費精算)」※の導入・提供を開始した。また、2023年4月にはAI搭載の店舗情報発信・分析プラットフォームを提供するイクシアス(株)と業務提携し、店舗型事業者向け集客DXツール「STORE PAD(ストアパッド)」の導入・提供を開始した。 ※ スマートフォンで領収書を撮影し、スマートフォンアプリまたはWebブラウザからアップロードするとデータ化され、そのデータの入力・確認をオペレータが代行するサービス。従来と比べて経費精算にかかる手間を大幅に削減できる。 2018年7月には動画プラットフォーム事業を手掛けるピーシーフェーズ(株)と資本業務提携を締結し、動画コンテンツを用いたクラウド人材育成サービス「shouin(しょういん)」の共同開発及び販売を行うことを発表した。また、2019年11月には従業員のクラウドシフト管理サービス「らくしふ」を提供する(株)クロスビットと業務提携し、「らくしふ」の開発・販売で協力している。 2020年10月には、次世代植物肉「ミラクルミート」を開発するDAIZ(株)(現 SprouTx(株))と資本業務提携契約を締結し、「ミラクルミート」を使った商品メニューの開発・販売に取り組んでいる。具体的には、「客席のないレストラン」で提供するメニューの食材として採用し、マーケティングに活用している。将来的には「いしがまやハンバーグ」などの肉料理専門店での提供も視野に入れている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《KM》 記事一覧 |