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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/09/30 14:34, 提供元: フィスコ 日本創発G Research Memo(4):優良な技術・顧客・コンテンツ資産を積み上げるM&A戦略*14:34JST 日本創発G Research Memo(4):優良な技術・顧客・コンテンツ資産を積み上げるM&A戦略■事業概要 3. M&A戦略 日本創発グループ<7814>はM&Aも活用して業容を拡大しているが、規模の拡大だけをM&A戦略の目的としているわけではない。デジタル化の進展など事業環境の変化に迅速に対応し、グループシナジーによって成長分野での高付加価値サービスの提供を推進するため、優良な技術・顧客・コンテンツ資産を積み上げることを目的としている。そして同社はM&Aにより、伝統的な印刷製造技術のみならず、什器等のプロダクトを含む多様なデザイン力、3D-CAD・3D-CGを軸とする映像クリエイティブ力、立体音響、AR・VRを含むIT構築力などの高い専門技術を有し、クリエイティブサービスに係る企画、印刷、コンテンツ・プロダクツ制作、オンラインプロモーション、メディア配信、効果測定、運用改善コンサルティングなど、クリエイティブサービスをトータルでカバーできる「創るチカラ」を強みとするプロフェッショナル・グループというユニークな企業体となっている。 2024年12月期以降にグループ入りした会社のうち、美松堂(旧 共同製本)は創業以来110年余の業歴を通して培った高品質の造本技術を有し、特に厚物製本に強みを持つ企業である。成旺印刷を吸収合併(2024年2月)して営業基盤を取り込み、総合印刷製本会社として再スタートした。さらに、茨城県つくば市にオフセット輪転印刷・製本加工の一貫生産工場を有する旧 美松堂を吸収合併(2025年8月)し、同社グループ内において印刷・製本事業の経営資源を一元化した。望月印刷は業歴60余年の商業印刷を中心とする総合印刷会社である。今後はグループインフラを活用してワンストップサービスの提案を目指す。アスコムは多数のヒット作を世に出し、社会的ムーブメントを創出してきた出版社であり、BtoC領域でのビジネス書や実用書を中心とする書籍出版のほか、BtoB領域での企業マーケティング支援も展開している。 STUDIO ARCは1927年に大阪府堺市で町の写真館として創業し、お宮参り・七五三などの写真や家族写真、成人式・結婚式の前撮り撮影、衣装レンタル・関連商品販売などを行っている。集客力の高い大型ショッピングセンター内の出店を主力として、関西・関東中心に多店舗展開している。Sakae Plusはパッケージ・ラベル・出版物表紙を装飾する箔押し(ホットスタンプ)や浮き出し(エンボス)など、特殊印刷用凸版を社内一貫体制で生産していることが強みである。アイ・ディー・エーは80以上の言語に対応した翻訳サービスを提供し、企業のグローバル展開を支援している。 2025年12月期にグループインした横浜マテリアルはオリジナルのクリスタル記念品を製造・販売している。法人向け周年記念や社内表彰、個人向けお祝い記念品やペットメモリアルなどクリスタル記念品の老舗ブランドである。DNTIは最先端のデジタル技術を活用し、企業のDXやモダナイゼーション(シンプル化とDXの最適融合)を支援している。フジプラス(子会社のフジプラス・ワン及びトライワーク彦根を含む)は印刷・販売促進支援などを展開している。関西と東京を拠点として、クリエイティブから印刷プロダクト、さらにデジタルコンテンツやマーケティング分野も加えた総合力で幅広いサービスを提供している。シルキー・アクトはクリアファイルなどPET・PP素材を中心とした製品を製造する印刷会社で、イベントやライブ向けのグッズ提案にも注力している。自社一貫生産体制や大手広告代理店等からの直接受注などを強みとしている。トラストは卓上カレンダーやノベルティの企画・製造を展開し、すべての製品が特許・実用新案を取得するなど独自の商品開発力に強みを持っている。スタジオアウトリガーはIPコンテンツに関するソリューションを展開している。バークインスタイルが子会社化したウエストマネージメントは2015年9月に創業し、国内在住・海外招聘の外国人モデルに特化したモデルマネジメント事業を展開している。 なお同社は、2021年12月期に兵庫県西宮市で最大規模を誇る(株)小西印刷所を子会社化、2022年12月期に大阪市に本社を置くジャパンブロードキャストソリューションズ(株)を子会社化、奈良県を中心に事業展開する大光宣伝を子会社化、2023年12月期に中部エリアを地盤とする飯島製本(株)を子会社化、2024年12月期に大阪府を地盤とするSakae Plus及びアイ・ディー・エーを子会社化、2025年12月期に大阪府を地盤とするフジプラスを子会社化、名古屋市に本社を置くトラストを子会社化するなど、首都圏以外におけるM&Aも積極化している。特に重点エリアを特定しているわけではないが、結果的に関東・中部・関西の各エリア内においてシナジー創出を高める体制が構築されつつある。 EBITDA減少の予想 4. 主要経営指標 同社はM&Aを活用しているため、のれん償却や金融費用などを考慮し、経営指標としてEBITDAを重視している。なお従来は経常利益ベースEBITDA(=経常利益+減価償却費+のれん償却額+金融費用)を重要指標としていたが、事業規模が拡大した持分法適用子会社の連結子会社化を進めたことに伴い、2024年12月期より営業利益ベースEBITDA(=営業利益+減価償却費+のれん償却額)に変更した。EBITDAは営業利益ベース、経常利益ベースとも2024年12月期まで拡大基調だったが、2025年12月期は中間期で減少、通期も減少予想としている。人件費の増加などにより営業利益、経常利益とも減益だったため、EBITDAマージンが低下した。 事業環境の変化に迅速に対応 5. リスク要因と課題・対策 同社が属するクリエイティブサービス業界において収益に影響を与える一般的なリスク要因としては、景気低迷による企業の販促活動投資抑制、デジタル化進展に伴う商業印刷物の減少、競合激化による受注条件の悪化、技術革新への対応遅れ、情報セキュリティ管理・システム障害、人材確保・育成、法的規制などがある。 こうしたリスク要因への対策として同社は、デジタル化の進展など事業環境の変化に迅速に対応し、事業資産の配分を適切に変更させることで競合優位性を維持している。成長分野においてグループシナジーによる高付加価値サービスの提供を推進するため、M&Aも活用して優良な技術・顧客・コンテンツ資産を積み上げながら、ITメディア セールスプロモーション分野やプロダクツ分野への業容拡大を推進するとともに、ニーズの変化に対応するため商材ポートフォリオ、人材ポートフォリオ、事業ポートフォリオの最適化を柔軟に進めている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展) 《HN》 記事一覧 |