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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/09/30 13:03, 提供元: フィスコ アンジェス Research Memo(3):HGF遺伝子治療用製品は原薬メーカーと新契約を締結(1)*13:03JST アンジェス Research Memo(3):HGF遺伝子治療用製品は原薬メーカーと新契約を締結(1)■アンジェス<4563>の主要開発パイプラインの動向 同社の主要開発パイプラインには、HGF遺伝子治療用製品、NF-κBデコイオリゴDNAや、提携先のVasomuneと共同開発中のTie2受容体アゴニストがある。 1. HGF遺伝子治療用製品 HGF遺伝子治療用製品は、血管新生作用を活用して、症状が進行した慢性動脈閉塞症向け治療薬として開発が進められてきた。慢性動脈閉塞症は、血管が閉塞することによって血流が止まることで組織が潰瘍・壊疽を起こし、最終的に下肢切断を余儀なくされることもある重篤な疾患である。現在の治療法としてはカテーテル治療や血管バイパス手術などが行われているが、手術ができないケースも多く、新たな治療法の開発が望まれている。 HGF遺伝子治療用製品は、血管が詰まっている部位周辺に複数回注射投与することによって新たな血管を作り出し、血流を回復させることで潰瘍の改善を図るものである。国内では2019年3月に「標準的な薬物治療の効果が不十分で血行再建術の施行が困難な慢性動脈閉塞症における潰瘍の改善」を効能、効果または性能として、条件及び期限付き承認を取得し、同年9月より「コラテジェン(R)筋注用4mg」※として提携先の田辺三菱製薬を通じて販売を開始した。製造販売後承認条件評価を実施して2023年5月に本承認の申請を行ったが、国内第3相臨床試験の成績を再現できなかったことや、米国の後期第2相臨床試験の結果が良好であったことを踏まえて、戦略的観点から2024年6月に申請を一旦取り下げ、国内での販売を終了した。 ※ 用法は、虚血部位に対して筋肉内投与を4週間間隔で2回行い(4mg/回)、症状が残存する場合には4週間後に3回目の投与もできる(薬価は約61万円/1瓶(4mg))。 国内では重度の患者を対象に開発を進めたのに対して、米国では2019年6月に改定された包括的高度慢性下肢虚血に関するグローバル治療指針※や治験指導医師の提案を踏まえて、下肢切断リスクの低いステージ1または2の患者を対象に臨床試験を実施した。治験指導医師の、重症下肢虚血の患者はがんと同様に早期に治療を開始することが重要である、との仮説による試験デザインとした。 ※ グローバル治療指針(Global Vascular Guidelines:GVG):包括的高度慢性下肢虚血(CLTI:Chronic limb-threatening ischemia)の初期段階から適切な治療マネジメントを提供することで患者のQOLの向上を図ることを推奨している。当ガイドラインでは臨床ステージを4段階(clinical stage1〜4)に分け、それぞれのステージにおける治療方針が示されており、米国での後期第2相臨床試験は下肢切断リスクの低いclinical stage1と2を対象とした。このステージの患者には、まず潰瘍の治療を考慮することがガイドラインで推奨されている。 米国の後期第2相臨床試験では、主要評価項目として「治癒までの期間」と「投与後6ヶ月時点で治癒した潰瘍の割合」を設定し、HGF遺伝子治療用製品またはプラセボを4週間間隔で4回投与するプラセボ対照無作為化二重盲検比較試験を実施した。被験者を4mg/回、8mg/回、プラセボの3群に分類し、12ヶ月の観察期間を設けてデータ収集を行った(被験者数は途中脱落者も想定して全75例を組み入れ)。2024年11月に開催された米国心臓病学会にて治験指導医師からトップラインデータが発表されており、「治癒までの期間」がプラセボ群に対して、本剤は大幅に短縮できることが確認された。また、「投与後6ヶ月時点で治癒した潰瘍の割合」のほか、「同12ヶ月時点で治癒した潰瘍の割合」及び「同12ヶ月時点の潰瘍再発率」においてもプラセボ群に対する本剤の有効性が確認された。これらの結果は、HGF遺伝子治療用製品が慢性下肢虚血の早期ステージにおいて有効な治療法であることを示唆しており、治験指導医師も今回の結果を受けて、「HGF遺伝子治療用製品が既存治療法の有望な代替手段となる可能性がある」と結論付けている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》 記事一覧 |