携帯版 |
![]() |
![]() |
|
フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/09/30 13:01, 提供元: フィスコ アンジェス Research Memo(1):HGF遺伝子治療用製品の開発方針決定、最短で2027年に製造販売承認も*13:01JST アンジェス Research Memo(1):HGF遺伝子治療用製品の開発方針決定、最短で2027年に製造販売承認も■要約 アンジェス<4563>は、1999年に設立された大阪大学発のバイオベンチャーで、ビジョンとして「遺伝子医薬のグローバルリーダーとして、未だ有効な治療法が存在しない疾患に革新をもたらし、世界中の人々のQOL(生活の質)向上に貢献」することを掲げている。2020年に先進ゲノム編集技術の開発を行うEmendoBio Inc.(以下、Emendo)を子会社化し、2021年には国内で希少遺伝性疾患向け拡大新生児スクリーニング検査を行う衛生検査所「アンジェスクリニカルリサーチラボラトリー(以下、ACRL)」を開設、検査受託サービスを開始した。 1. HGF遺伝子治療用製品の開発方針 2025年8月に同社は、米国で軽度から中等度の包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)を対象に開発を進めているHGF遺伝子治療用製品について、臨床試験を完了とし、生物製剤認可申請(BLA)に向けた準備を進める方針を決定した。併せて、原薬供給先であるBoehringer Ingelheim Biopharmaceuticals GmbH(以下、ベーリンガー)と同製品の上市を視野に入れた、新たな製造体制構築のための受託開発・製造契約を正式に締結した。今後、製造体制の構築と米国食品医薬品局(以下、FDA)の査察を経て製造販売の承認申請を行うことになる。申請・承認時期は最短でも2027年となる見通しだ。販売パートナー契約で交渉の一助となる学術誌への論文掲載に関しては、2025年秋ごろを見込んでおり、その後に大手製薬企業との販売パートナー交渉を進める。同社では調査会社から同疾患の米国内の対象患者数が約50万人と報告を受けており、売上ポテンシャルとして1千億円超の規模が期待できると弊社では見ており、今後の動向が注目される。 2. その他パイプラインの状況 慢性椎間板性腰痛症を対象としたNF-κBデコイオリゴDNAの国内第2相臨床試験は、2025年内の被験者登録完了と2027年前半の試験結果発表を目指している。しかし、被験者登録完了時期については2026年前半にずれ込む可能性がある。カナダのVasomune Therapeutics, Inc.(以下、Vasomune)と共同開発を進めるARDS治療薬「AV-001」は、北米での前期第2相臨床試験が間もなく終了し、年内にもトップラインデータが発表できる見通しとなっている。また、新たに血液透析患者の脳損傷予防を目指す医師主導治験をカナダ心臓・脳卒中財団の助成を受けて開始することが決定した。子会社のEmendoは、スウェーデンのAnocca AB(以下、Anocca)との間で2024年に締結したOMNIヌクレアーゼ「OMNI-A4」に関する非独占的使用権契約の対象範囲を拡大する契約締結を2025年9月に発表した。Anoccaは難治性固形がんを適応対象としたTCR-T細胞療法の開発を進めており、「OMNI-A4」の性能を高く評価し、今後の製品開発に活用していくことになる。今回の決定によりEmendoは追加の契約一時金を受け取るとともに、同技術を採用した開発パイプラインが増えることで将来的にマイルストーン収入が増加する可能性がある。 3. 業績動向 2025年12月期中間期の業績は、事業収益が414百万円(前年同期比67百万円増)、営業損失が2,400百万円(同2,707百万円減)となった。事業収益は、前年同期に計上した契約一時金や製品売上高がなくなったものの、ACRLの検査手数料収入の伸長により増収となった。費用面では、前年同期に計上したのれん償却額1,668百万円がなくなったほか、前期に事業構造改革を実施したEmendo関連の研究開発費や販管費が減少し、営業損失の縮小要因となった。2025年12月期の事業収益は1,350百万円(前期比706百万円増)、営業損失は5,800百万円(同3,309百万円減)と期初計画を据え置いた。事業収益は若干未達となる可能性があるものの、営業損失は計画よりも縮小する可能性が高い。なお、2025年6月末の現金及び預金残高は2,908百万円となっており、当面はHGF遺伝子治療用製品の上市を最優先に費用を抑制しつつ、株式市場で事業活動資金を調達する方針だ。 ■Key Points ・HGF遺伝子治療用製品は原薬メーカーと新契約を締結、米国で2027年の販売承認取得を目指す ・「AV-001」は2025年内に臨床試験結果を発表、新たな適応症で医師主導治験が決定 ・OMNI技術の高評価を受けAnoccaとのライセンス契約適用範囲の拡大を決定 ・2025年12月期の営業損失は計画よりもやや縮小する可能性 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》 記事一覧 |