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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/07/30 14:16, 提供元: フィスコ 東リ:床材・内装材総合メーカー、大規模設備投資で生産性向上、PBR0.6倍台かつ配当利回り5.4%*14:16JST 東リ:床材・内装材総合メーカー、大規模設備投資で生産性向上、PBR0.6倍台かつ配当利回り5.4%東リ<7971>は、ビニル系床材やカーペット、壁装材などのインテリア商品を製造・販売する老舗企業である。1919年の創業以来、国内外の建築物の内装に用いられる高品質な製品群を展開しており、現在では床材・内装材の総合メーカーとして地位を築いている。事業セグメントは「プロダクト事業」「インテリア卸事業及び工事事業」(2026年3月期に報告セグメントを変更)に大別され、主力のプロダクト事業は「ビニル系床材」「カーペット」「カーテン」「壁装材」の4分野からなり、戸建住宅・マンション・オフィス・病院・学校・宿泊施設など、幅広い建物に商品を提供。それぞれのライフスタイルに合わせたさまざまな機能やデザインを企画・開発し、製造から販売・物流にいたるまで一貫して行い、常に顧客ニーズに寄り添った事業を展開している。また、インテリア卸及び工事事業では、同社商品を中心として、インテリア関連商品を全国各地の販売拠点から顧客へ提供している。2025年3月期の製品別売上構成比は、ビニル系床材が32%、カーペット21%、接着剤及び副資材3%。壁装材5%、ウィンドウトリートメント10%、インテリア卸事業14%、工事事業15%を占める構成である。 同社の類似企業にはサンゲツ、リリカラ、SUMINOE、タキロンシーアイ、田島ルーフィングなどが挙げられるが、同社の最大の特徴は「自社一貫製造」にある。製品の設計・開発から製造・物流・施工・アフターサービスまでをグループで担う体制を敷いており、他社が外部委託で調達する中、品質・納期・価格対応力において差別化を図っている。また、コア技術となる樹脂加工技術(配合、成形、表面加工、設備設計、試験評価)を日々磨き上げ、高付加価値商品や環境配慮型商品、独自のリサイクルシステムなどのコア事業の進化と事業領域の拡大に繋げている。そのほか、タイルカーペットにおいては業界トップシェアを誇る。特にここ数年は「3大設備投資」と称されるタイルカーペットリサイクルプラントやナイロン紡糸設備、広化東リフロア新ラインの導入により、生産効率と原価低減の両立が進みつつある。 2025年3月期の売上高は105,709百万円(前期比3.2%増)と増収を確保した一方、営業利益は4,376百万円(同12.1%減)と減益で着地した。原材料費や物流費、償却費、人件費などのコスト増が影響したものの、高付加価値製品を中心に販促活動に注力。収益面では新製品効果や一部製品の価格改定(2024年12月)による採算改善、そして内製化による生産性向上が下支えした。とくにリニューアル需要に対応した「クラシアルタイル」や意匠性の高い「NS800ファイン・インレイド」といった新商品は市場からの評価も高く、製品戦略の成果が表れている。 今期2026年3月期は、売上高108,000百万円(同2.2%増)、営業利益4,000百万円(同8.6%減)を見込む。新中期経営計画「SHINKA Plus ONE 2.0」初年度となるなか、新製品を中心とする販促活動を推進してインテリア事業のシェアアップによる売上拡大を目指す。利益面では、大型設備投資による製造原価低減や上代価格改定による収益改善を図るものの、一時的な減価償却費の上昇や大型の新製品改廃に伴う販売促進費、人的資本への投資など、成長戦略の実行に伴う費用の増加を見込んでいる。 市場環境については、新築着工の減少傾向が続く一方、リニューアル市場は引き続き堅調である。今後はさらなるリニューアル比率の高まりが予想される。とりわけ、オフィスの働き方改革や宿泊施設のインバウンド回復が顕著で、同社はこれら顧客層において提案力と製品力の両面で優位性を発揮している。大手デベロッパーやゼネコンとのタイルカーペットリサイクルも進行していくようだ。 中期経営計画「SHINKA Plus ONE 2.0」の初年度にあたる本年度は、事業ポートフォリオを「インテリア事業」「グローバル事業」「建材・その他事業」の3領域に再編し、それぞれの成長ドライバーを明確化した。インテリア事業では、広化東リフロア3号ラインの販売数量拡大によるコストダウン効果最大化やタイルカーペットリサイクルプラント・カーペット用ナイロン紡糸設備への投資のほか、リサイクル活動やさらなる内製化を進めていく。また、本中計期間でグローバル製品の製造体制を確立し、グローバル売上高拡大させていく。さらに、リサイクル戦略への移行が焦点となっており、今後は設備からのキャッシュ創出が本格化する見込みである。定量的には、2028年3月期売上高には1130億円以上、営業利益50億円以上、ROE8.0%以上を掲げている。 株主還元については、新中期計画期間中、配当性向50%またはDOE(自己資本配当率)3.5%を目安とし、年間配当下限19円を掲げている。株主資本の最適化に向けて政策保有株式の売却並びに自己株式の取得を弾力的に実施し、総還元性向は当中期3ヶ年平均で70%以上を目指している。PBR0.6倍台かつ配当利回り5.4%と、バリュエーション面での割安感が際立つ中、中計に沿った底堅い業績成長に期待。株価の上昇トレンドは中長期的に継続しそうだ。 《HM》 記事一覧 |