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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/07/29 12:42, 提供元: フィスコ コスモエネHD:環境変化を見極めながらNew領域への取り組みも継続、PBR1倍割れかつ配当利回り5%超え(1)*12:42JST コスモエネHD:環境変化を見極めながらNew領域への取り組みも継続、PBR1倍割れかつ配当利回り5%超え(1)コスモエネルギーホールディングス<5021>は、主力の石油精製販売事業を中心に、石油開発事業、石油化学事業、再生可能エネルギー事業といった4つのセグメントで構成されている。原油の開発から石油製品・石油化学製品の精製販売、再生可能エネルギー事業などコスモエネルギーグループは幅広い事業を通してエネルギーの供給を行っている。 石油精製販売事業では、大都市圏に存在する3製油所体制にて安全操業・安定供給を実施している。坂出製油所の閉鎖(2013年度)、キグナス石油への燃料油供給開始(2019年度)により、同社は販売に対して生産が少ない「ショートポジション」を確立。製油所高稼働の維持により、石油事業を中心とした稼ぐ力が格段に向上している。2024年度実績で原油処理能力40.0万バレル/日(国内シェア12.4%)となっており、国内の石油製品販売数量が2018年度以降CAGR2.4%で減少する中で、同社の販売数量はCAGR3.6%となっている。 石油開発事業では、UAE建国前からの50年以上の安定生産を基盤としたアブダビとの信頼関係をベースに、低リスク・低コスト開発を実現している。アブダビ石油は2012年の権益延長(30年)と共に、既存3油田と同規模のヘイル鉱区を取得した。2019年度以降、想定よりもヘイル油田の油層圧力が低下したため生産を一部制限していたが、水攻法による油層圧力回復に成功し、2024年12月末から本格的に増産を開始。2024年度の原油生産は3.9万バレル/日となっている。 石油化学事業では、エチレン・ベンゼン・ミックスキシレンなどの基礎化学品に加え、メチルエチルケトンなどの化成品、フォトレジスト用樹脂など機能化学品を製造・販売している。首都圏近接のコンビナート立地と国内最大規模のエチレン生産能力を基盤としたコスト競争力を有する中で、京葉地区でエチレン生産最適化のため生産設備の集約を決定。稼働率向上と固定費削減で基礎化学品の収益最大化を追求している。また、塗料・接着剤の原料となるMEK(メチルエチルケトン)17万トン/年と世界トップクラスのMEK生産能力を有しており、半導体の製造工程で使用するフォトレジスト用樹脂においては丸善石油化学が世界トップクラスのシェアを誇る。フォトレジスト用樹脂は開発型受注生産かつ生産難易度が高いため代替商品がなく参入障壁が高いことが強みとなっている。 再生可能エネルギー事業では、風力発電事業(1997年創業)のパイオニアであるエコ・パワー社(現コスモエコパワー)を2010年にグループ化。開発、建設、運営、メンテナンスをグループ内で実施する事で高いレベルの利用可能率(90%以上)を実現している。 その他、グリーン電力分野では、堺市立全学校・上下水道施設に新たに再エネ100%電力を供給開始するなど、コスモでんきビジネスグリーンの導入施設が3,500施設超に拡大している。そのほか、日本初の国産SAF量産化に成功している。 コスモエネルギーグループの特徴としては、石油精製販売事業は製油所の固定費が重く、製油所の稼働率を如何に高められるかがポイントとなる。同社は上述の石油精製販売事業において製油所を閉鎖、競合他社よりも早く供給量を絞り、稼働率を重視して事業展開を行ってきた。実績として2024年度のトッパー稼働率は88.4%(定期整備を除いたSDベースでは96.3%)と高水準を維持している。 石油開発事業では、中東との強固な関係と自社操業であることを活かした高い競争力を有している。 石油化学事業では、丸善石油化学における生産体制の最適化による基礎化学品の競争力強化、韓国・HCP社の株式売却など、不採算事業の整理を通じた資源の再配分も進めており、経営の機動性が際立つ。 また、製油所の稼働最大化や販売網の拡充、石油開発のコスト削減策を通じた収益力の向上、さらにはSAF(持続可能な航空燃料)や蓄電ビジネスを含む新規領域への取り組みにより、既存事業の深化と新分野の開拓を並行して進めている。 そのほか、精製販売事業におけるDXの積極的な導入と、風力発電・蓄電・SAFといったカーボンニュートラル対応の実行力が挙げられる。 「コスモエネHD:環境変化を見極めながらNew領域への取り組みも継続、PBR1倍割れかつ配当利回り5%超え(2)」へ続く 《HM》 記事一覧 |