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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/07/25 11:04,
提供元: フィスコ
クラボウ Research Memo(4):2025年3月期は半導体製造関連などが順調に伸び、計画を上回る大幅増益
*11:04JST クラボウ Research Memo(4):2025年3月期は半導体製造関連などが順調に伸び、計画を上回る大幅増益
■クラボウ<3106>の決算概要
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比0.4%減の150,660百万円、営業利益が同12.3%増の10,311百万円、経常利益が同15.6%増の11,784百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同33.8%増の9,014百万円と微減収ながら各段階利益で計画を上回る大幅増益となった。また、親会社株主に帰属する当期純利益は政策保有株式の売却益の影響もあり、過去最高益を2期連続で更新した。
売上高は、半導体製造装置向け高機能樹脂製品や太陽電池向け機能フィルムが好調であった「化成品事業」が大きく伸長した一方、カジュアル向けが不振であった「繊維事業」の落ち込みや「環境メカトロニクス事業」における工作機械事業の譲渡※による影響もあり、わずかに減収となった。ただし、「環境メカトロニクス事業」における工作機械事業の譲渡によるマイナスは想定内であり、エレクトロニクス事業での半導体製造装置向け液体成分濃度計やエンジニアリング事業での環境関連ビジネスは好調を維持している。また、「食品・サービス事業」及び「不動産事業」についても堅調に推移した。
※ 2024年1月に実施した倉敷機械の株式譲渡に伴うもの。
一方、利益面では、「化成品事業」における高付加価値商品の販売拡大や価格改定の効果に加え、独自技術製品の伸びや海外子会社の損益改善に伴う「繊維事業」の黒字化により、計画を上回る大幅増益となり、営業利益率も6.8%(前期は6.1%)に改善した。また、政策保有株式の売却益(約17億円)を特別利益に計上する一方、安城工場の閉鎖(繊維事業)などの事業構造改善費用(約8億円)や減損損失(約27億円)を特別損失に計上した。
財政状態に大きな変動はなく、自己株式取得に伴う現金及び預金の減少等により資産合計は前期末比1.2%減の190,529百万円とわずかに縮小した。一方、自己資本は配当金支払や自己株式取得によるマイナス要因を内部留保の積み増しが上回り、同2.5%増の119,805百万円に増加し、自己資本比率も62.9%(前期末は60.6%)に上昇した。
各事業の業績は以下のとおりである。
(1) 化成品事業
売上高は前期比7.6%増の66,002百万円、セグメント利益は同26.9%増の5,030百万円と増収増益となった。1) 機能樹脂製品は、半導体製造装置向け高機能樹脂製品や太陽電池向け機能フィルムが好調だった。2) 軟質ウレタンは、自動車内装材向けが中国子会社で低調だったものの、国内及びブラジル子会社は好調に推移するとともに、原料価格や労務費の価格転換も順調に進んだ。3) 住宅用建材は、断熱材が低調も、集合住宅向けプレキャストコンクリート製品の受注が伸びた。4) 不織布は、自動車フィルター向けの販売が回復した。利益面でも、機能樹脂製品を中心とする高付加価値商品の伸びや価格改定の効果により大幅な増益となった。
(2) 繊維事業
売上高は前期比5.0%減の48,532百万円、セグメント利益は75百万円(前期は257百万円の損失)と減収ながら黒字転換した。1) 糸は、高機能製品「NaTech」の販売やタイ子会社でのデニム向けの販売が好調であった。2) テキスタイルは、中東向け素材が堅調だったものの、カジュアル衣料向け素材の販売が減少した。3) 暑熱環境下におけるリスク低減の管理システム「Smartfit(スマートフィット)」の販売は増加したものの、カジュアル縫製品は低調であった。利益面では、海外子会社の損益改善(販売数量の確保や業務効率の向上、為替の影響など複合的な要因)や独自技術商品の伸びなどにより黒字転換を実現した。
(3) 環境メカトロニクス事業
売上高は前期比14.1%減の21,943百万円、セグメント利益は同6.5%減の3,341百万円と、工作機械事業の譲渡による影響やウエハー洗浄装置の販売台数減などにより減収減益となった。ただし、1) エレクトロニクスでは、半導体製造装置向け液体成分濃度計や鉄鋼業界向け膜厚計などが好調であった。2) エンジニリングは、半導体業界向け薬液供給装置が低調も、排ガス処理設備が順調に推移したほか、子会社での大型プラント案件も業績に寄与した。3) バイメディカルについては撹拌脱泡装置が堅調に推移した。
(4) 食品・サービス事業
売上高は前期比9.3%増の10,458百万円、セグメント利益は同13.0%増の724百万円と増収増益となった。1) 食品部門は、成型スープが低調であったものの、即席麺具材などが伸びた。2) ホテル関連についても、好調な国内旅行やインバウンド需要の取り込みが業績に寄与した。
(5) 不動産事業
売上高は前期比1.8%減の3,723百万円、セグメント利益は同3.8%減の2,243百万円となった。売上高はほぼ前期並みを確保したものの、租税課金の増加などにより減益となった。ただ、セグメント利益率は60.3%(前期は61.5%)と高い水準を確保しており、引き続き安定収益源となった。
2. 2025年3月期の総括
2025年3月期を総括すると、注力する半導体製造関連などの伸びにより計画を上回る大幅増益を実現したところは、中期経営計画最終年度の締めくくりとして評価できる。また、事業構造改革(国内生産拠点の閉鎖など)や政策保有株式の売却、自己株式の取得などを通じて、事業ポートフォリオのみならず、バランスシート改革を進めたところも、資本収益性の改善に向けて注目すべき成果と言える。新中期経営計画のもう1つの目玉となるライフサイエンス・テクノロジー領域については、各技術のシナジー創出を可能とする体制構築を進めながら、具体的な取り組み事例(調剤作業の自動化等)も出始めるなど、今後に向けた取り組みが進展した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
《HN》
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