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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/06/13 11:04, 提供元: フィスコ フェイスNW Research Memo(4):2025年3月期は売上高・各利益で過去最高を更新。利益率も大幅改善*11:04JST フェイスNW Research Memo(4):2025年3月期は売上高・各利益で過去最高を更新。利益率も大幅改善■業績動向 1. 2025年3月期の業績概要 フェイスネットワーク<3489>の2025年3月期の業績は、売上高が29,915百万円(前期比34.2%増)、営業利益が4,519百万円(同116.2%増)、経常利益が4,106百万円(同130.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が2,769百万円(同193.6%増)となった。 売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のすべてで過去最高を更新した。販売は、金融機関等との連携強化により紹介顧客を中心に好調に推移し、加えて従来から取り組んできた物件価値向上施策が奏功したことにより、収益面での大幅な向上が実現した。売上総利益率も改善が顕著であり、前期比4.8ポイント増の24.3%に上昇した。これはWell-Being(ウェルビーイング)を意識した体験価値の導入や空間デザインの工夫といった物件価値の向上を図る具体的な取り組みの成果である。また、不動産業界の特性として第4四半期に売上及び利益が集中する傾向にあるなかで、同社もこの傾向に沿った業績推移となった。資材価格や人件費のコスト増に対しては、引き続きワンストップ体制による効率化やボリュームディスカウント・コストコントロールを進めており、物件価値の向上による価格転嫁を通じて対応しているほか、入居者や投資家にとっての体験価値や保有ステータスの向上により、利回りだけに依らない選ばれる商品づくりを重視している。販売における顧客構成は、件数ベースで見るとファンド向けが2割、残る8割が個人投資家・資産管理会社・事業法人である。売上ベースでも、ファンド比率は17%とおおむね2割弱に留まる。 セグメント別に見ると、不動産投資支援事業では、不動産商品を21件、建築商品を7件販売している。竣工物件の平均販売単価は1,221百万円であり、同事業の高単価商品販売が引き続き行われていることが窺える。施工能力の強化を目的に取得した(株)岩本組に関しては、足元では他社案件を終え、同社物件の施工に専念している状況である。これにより外注費用の流出が抑えられ、品質管理や人材交流の面でもグループとしての一体化が進んでいる。不動産マネジメント事業においては、管理戸数の増加が売上高及びセグメント利益の堅調な推移を支える要因となっている。2025年3月末時点における管理戸数は2,806戸/221棟となっており、着実な管理物件の積み上げが継続されている。 「GranDuo」シリーズでは環境性能への対応として、3物件において建築物省エネルギー性能表示制度であるBELSの認証を取得しており、そのうちの1物件はZEH-M Orientedにも認定されている。これまでの経験から、認証取得に必要なスペックやコスト配分についてのノウハウが蓄積されており、今後も各種認証制度に対応した物件の増加を進める方針だ。同社は物件ごとに設計思想が異なるが、様々なケーススタディの蓄積が今後の効率化に資すると弊社では見ている。また、デザイン分野においては「GranDuo」シリーズの5物件が「2024年度グッドデザイン賞」を受賞した。さらに、高級賃貸レジデンスブランド「THE GRANDUO」が新たにローンチされ、同ブランドではコンセプトや世界観、リーシング情報を伝えるブランドサイトも公開されている。加えて、地域貢献及び若者の夢の実現を支援する活動として「世田谷ドリームプロジェクト」が展開されており、アート分野における「まちからアート」、ミュージック分野における「夢音楽コンテスト」、スポーツ分野における「夢ダンスコンテスト」がそれぞれ開催された。 2025年3月期は売上高と各段階利益のすべてで過去最高を更新しており、足元での仕入・開発状況も順調に推移している。物件の大型化や価値向上に向けた各種取り組みも奏功しており、2026年3月期以降のさらなる成長に期待が持てる。また、同社は主に富裕層をターゲットにした不動産開発を行っているが、顧客層の多くは「見たことがない」「唯一無二の」商品を望む傾向が強い。そのため、高級賃貸レジデンス「THE GRANDUO」シリーズは、意匠や設計の面で他社にない独自性を追求した異次元の高級賃貸レジデンスであり、物件価値の向上に大きく寄与すると弊社では見ている。 2. 財務状況 2025年3月期末の資産合計は、前期末比3,426百万円増の30,036百万円となった。開発用地の仕入推進により仕掛販売用不動産が4,094百万円増加した一方で、販売用不動産は好調な販売の進展により2,863百万円減少した。これに伴い、現金及び預金は3,538百万円増加した。また、自社保有用の建物・土地の取得や子会社株式の引き受けが影響し、建物・土地が462百万円増加した。投資有価証券については68百万円の減損が発生し、のれんは償却により111百万円減少している。負債合計は同1,093百万円増の20,271百万円となった。借入金返済により1年内返済長期借入金が1,957百万円減少したほか、前受金が647百万円減少した一方で、未成工事受入金が458百万円、未払法人税等が1,073百万円増加した。また、用地仕入に伴い長期借入金が2,165百万円増加している。純資産合計は同2,333百万円増の9,765百万円となった。これらの結果、自己資本比率は32.5%(前期末は27.9%)となった。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司) 《HN》 記事一覧 |