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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/06/02 13:33, 提供元: フィスコ SI Research Memo(3):「時間を与えるソフトウェアを創り続ける」独立系ソフトウェア開発会社(2)*13:33JST SI Research Memo(3):「時間を与えるソフトウェアを創り続ける」独立系ソフトウェア開発会社(2)■システムインテグレータ<3826>の事業概要 2. Object Browser事業 Object Browser事業では、データベース開発・設計支援ツール「SI Object Browser」「SI Object Browser ER」(以下、「Object Browser」シリーズ)や、統合型プロジェクト管理ツール「OBPM Neo」を展開しており、いずれもライセンス販売またはSaaS型で提供している。 売上構成比は「Object Browser」シリーズが約3割、「OBPM Neo」が約7割である。「Object Browser」シリーズは1997年の発売以来、21,000社、51万ライセンスの導入実績がある。Oracle製品を筆頭に主要データベースのほぼすべてに対応していることから業界ではデファクトスタンダードと認知されているため販売費用もほとんどかからず、売上総利益率は80%超と高収益製品となっている。競合製品として無料ソフトが出ているが、機能面で差があるため直接的な競合関係にはなっていない。従来はパッケージ販売(ライセンス販売+保守サービス)で展開していたが、2021年2月よりSaaS型での販売※も開始している。売上高のうち30%超は保守サポートなどのストック収入で占められており、売上高は比較的安定して推移している。 ※ 契約期間は1年、2年、3年の年間契約(保守料含む)。バージョンアップは無償。for Oracleのみ。 一方、「OBPM Neo」※1は開発プロジェクトの進捗状況を統合管理(スケジュール・コスト・要員・品質・採算などの管理)するツールである。不採算プロジェクト発生の未然抑止に加え、開発部門の生産性維持・向上の支援を主な目的としている。2008年にオンプレミス版「OBPM」を販売し、2021年3月にSaaS版の「OBPM Neo」にリニューアルした。国内で唯一、PMBOK※2に準拠していたことから中堅規模のIT企業を中心に導入が進み、2025年2月末時点の累計導入実績は約270社となり、年間10〜20社ペースで新規顧客を獲得している。大手IT企業はプロジェクト管理ツールを内製化しているが、最近では「OBPM Neo」の業界認知度が高まり、部門内で導入を検討する企業が増えているようだ。中小企業では多くはExcelなどの市販ソフトや無料ソフトを使用している。なお、既存顧客のうち30%超がオンプレミス版を継続利用しているが、SaaS版の機能を拡充しながら段階的に移行を進めている。売上総利益率は50%程度の水準と見られる。 ※1 月額利用料(税抜)は10ライセンスで10.5万円、20ライセンスで15.75万円、30ライセンスで18.9万円、40ライセンスで23.1万円、50ライセンスで26.25万円。50ライセンス超は個別見積もりとなる。契約期間は1年。各種システムと連携するためのオプションサービスもある。 ※2 PMBOK(Project Management Body of Knowledge)とは、プロジェクトマネジメントに関するノウハウや手法を体系立ててまとめたもの。1987年にアメリカの非営利団体PMIが「A Guide to the Project Management Body of Knowledge」というガイドブックで発表してから徐々に知られるようになり、現在はプロジェクトマネジメントの世界標準として世界各国に浸透している。 3. AI事業 AI事業においては、2018年10月にディープラーニングを活用した外観検査システム「AISIA-AD(アイシアエーディ)」をリリースした。製造ラインの外観検査工程をディープラーニング技術によって自動化することで、大幅な省力化を実現するシステムである。「AISIA-AD」は、Microsoft Azure上の学習環境を活用して、異常・正常を判別するAIモデルを構築する仕組みである。実際の検査では、製造ラインに流れる検査対象物をカメラで撮影し、エッジコンピュータによりリアルタイムに判定し、異常品と判断したものを仕分けする。検査対象物や要求精度が顧客によって異なるため、個々の案件ごとにAIモデルを開発し、PoC(概念実証)※を実施しながら最終仕様を確定する流れとなっている。 ※ PoC(Proof of Concept)とは、新しいプロジェクトが実現可能かどうか、効果や効用、技術的な観点から検証する工程を指す。「AISIA-AD」では、ラボもしくは顧客の製造現場にカメラ等の必要機材を設置して実証実験を行い、実現可能性を確認する。 PoC実施の初期費用は約400万円で、実際の製造ラインに導入する際には「AISIA-AD」のライセンス費用480万円と開発費用(要件定義〜導入支援、教育)1,000万円、ハードウェア機器約400万円が必要となる。PoCの検証期間は2〜3ヶ月、開発導入期間で4〜6ヶ月を要する。現時点では検査精度の向上が課題となっており当初想定よりも収益化までに時間を要している状況である。 4. その他 その他には、2018年1月に提供を開始したプログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」が含まれる。収益化に向けてここ数年取り組んできたが、成長の鈍化が続いたことから2025年2月末に事業を譲渡した。譲渡先は、同社の判定サービスに問題の提供を通じて運用に関与していたAtCoder(株)である。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》 記事一覧 |