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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/05/29 13:03, 提供元: フィスコ ガーデン Research Memo(3):主力は「壱角家」と「山下本気うどん」(1)*13:03JST ガーデン Research Memo(3):主力は「壱角家」と「山下本気うどん」(1)■ガーデン<274A>の事業概要 1. 事業内容 同社は飲食事業と不動産事業を展開している。飲食事業では、ラーメン事業、レストラン事業、ステーキ事業、寿司事業など様々な飲食店舗の運営、及び保有するブランドに関わるフランチャイズ事業を行っている。同社が運営する飲食店舗の特徴は、ラーメンやうどん、丼といった1,000〜1,500円程度の比較的低価格な「日常食業態」から、居酒屋やバル、寿司など客単価が2,000円を超える「機会食業態」まで、幅広いジャンルのブランドを有しているところにある。全業態で黒字化しているが、「壱角家」と「山下本気うどん」が高収益の主力ブランドに育っており、この2本柱をドライバーに成長を図っている。なお、2025年2月期末時点で、店舗数は195店(直営店舗161店、フランチャイズ店舗32店、業務委託店舗※2店)となっている。また、同社は不動産事業も展開しているが、ほとんどが店舗開発や店舗開発に伴うリーシングなど同社飲食事業向けの業務で、その他事業に含まれている。 ※ 同社従業員が独立制度を利用して、同社ブランドの既存店舗の運営・管理を行う形態。既存店を運営するため開店時から一定の客数が見込めるうえ、開店費用やフランチャイズ費用などがかからない。 (1) ラーメン事業 ラーメン業界は、インバウンド需要もあって売上高は漸増傾向だが、個人店など小資本の店舗を中心に店舗数が漸減傾向となっており、大手チェーンへの集約が進んでいる。こうした業界で同社は、横浜家系ラーメン「壱角家」、博多とんこつラーメン「一竜」、「だるまのめ」、背脂醤油とんこつ「てらッちょ。」など、幅広いジャンルのラーメン店を運営している。なかでも「壱角家」が主力ブランドで、都心ターミナル駅を地盤に10〜40代男性客を中心にチェーン展開、家系ラーメン特有の濃厚でクリーミーなスープと、スープが絡みやすい特注の中太麺のラーメンを提供している。また、「壱角家」では自社で持つラーメンジャンルを活用してメニューを増やしているため、家系以外の味も楽しめるという特徴があり、強い業態と言われている家系のなかでも特に差別化された業態となっている。調達は、家系についてはギフトの工場で一括して仕込んだ麺とスープを仕入れており、家系以外は同社仕様の材料を厳選した仕入先などから仕入れている。このため、店舗調理はセットアップするだけでよく、軽装備でローコストな仕組みとなっている。一方、卓上に多種類の調味料を用意することで、顧客自身が様々に味付けを変えることができる。 接客に関しては、長年の経験とM&Aによって積み上げられた独自のマニュアルに加え、QSCA(Q:クオリティ、S:サービス、C:クレンリネス、A:アトモスフィア)を徹底して実施しているため、経験の浅いアルバイトや外国人でもブレのない安定した味と気持ちの良いサービスを提供できる。店舗開発に関しては、駅前立地の路面店を中心に開発してきたが、認知度の向上に伴って引き合いが強まってきた商業施設内のフードコートへの出店も増やしている。駅前立地の客層は若年男性が中心だったが、フードコートはファミリー層の来店が多いため、価格やメニューをアレンジすることでファミリー層の支持を得たようだ。投資に関しては、居抜き店舗を活用するなど初期投資を低く抑えていることに加え、オペレーションコストが低く店舗収益率が高いことから、投資回収期間は1年半〜2年と比較的短い。フードコートへの出店は内装やフロアコストがほとんどかからないため、さらに投資額が低く、投資回収期間の短縮が可能となっている。 (2) レストラン事業 レストラン事業では、創作さぬきうどんの「山下本気うどん」とハワイアンレストランを運営している。このうち同社2本目の柱として期待されているのが「山下本気うどん」だ。本場香川の老舗製粉工場でPBのうどん粉を製造して取り寄せ、店内で製麺したのち一晩熟成して提供、出汁は昆布と鰹をベースにこだわりの醤油で仕立てている。このため味への評価は高く、好立地への出店や内外装のリニューアル、映えるメニューの開発など業態としてブラッシュアップを重ねてきた。この結果、高収益化とブランド構築に成功し、加えてアフターコロナのランチ需要回復とインバウンド需要の拡大もあり、市場規模も店舗数も増加傾向にあるうどん業界のなかで人気商品となった。このため、2021年10月に商標を獲得して以降、本格的に多店舗展開を開始、成長ドライバーとしての位置付けを明確にした。 「山下本気うどん」では、落ち着いた和の雰囲気のなかで、老舗名店を踏襲した定番の味を提供している。一方、メニュー数で10%強(売上高では3分の1程度)を占める、見栄えの楽しさも意識した期間・季節限定のキラー商品に特徴がある。例えば、期間限定メニュー「白い明太チーズクリームうどん」は、食べやすい味付けとインパクトのある見た目で女性客を中心に好評を博し、SNSで情報が拡散されたり度々テレビなどのメディアに取り上げられたりするほどである。ほかにも「白いカルボナーラうどん」や、直近では(株)ファンケルと期間限定でコラボレートした「白い明太FANケールうどん」など、積極的にメニュー開発を行っている。こうした人気が好循環となり客が客を呼び、キラー商品から定番化されるメニューも増えている。キラー商品は特に来店目的性が高いため、ビルを1棟借りした場合の2階以上でも十分収益が出る業態となっている(1階は「壱角家」)。投資回収期間が当初から1年半程度と短いため多店舗展開に適した業態と言え、首都圏などの駅近好物件や商業施設のフードコートへの新規出店を進めるとともに、フランチャイズ方式による全国展開も目指す。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《HN》 記事一覧 |