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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/05/28 13:05, 提供元: フィスコ BS11 Research Memo(5):「Value4」を推進中、コンテンツ価値向上や周辺事業強化に注力(1)*13:05JST BS11 Research Memo(5):「Value4」を推進中、コンテンツ価値向上や周辺事業強化に注力(1)■日本BS放送<9414>の業績の動向 3. 2025年8月期中間期における主要トピックス 同社は、中長期戦略の中で重点施策を制定している。戦略実行に向けた「6つの力」として「実行力」「変化対応力」「改革推進力」「戦略構築力」「マーケティング力」「企画力」を定義している。これら6つの力を強化・実践するため2025年8月期は「Value4」として、(1) コンテンツ価値の向上、(2) 「稼ぐ力」の再構築、(3) 放送周辺事業の強化と発展、(4) 企業価値向上のための戦略的投資の4つの施策を制定し、推進している。 (1) コンテンツ価値の向上 1) レギュラー番組の充実 報道、紀行番組、スポーツ、エンタメといった幅広いジャンルにおいて自社制作番組をレギュラー放送している。2025年上期に当たる2024年9月から2025年2月にかけては、「BSイレブン競馬中継SATURDAY」において新アシスタントMCにフリーアナウンサーの森千晴氏を起用したほか、MCと調教師の対談を番組の公式チャンネルで配信する等、初心者からベテランファンまでを惹き付ける番組づくりを行った。また、演歌や歌謡曲好きの視聴者に人気の「鶴瓶のええ歌やなぁ」ではゲスト出演者を拡充し、過去の名曲に関する秘話を語ってもらう等により内容を深めた。偉人たちの敗北や失敗から教訓を学ぶという番組制作方針が人気の「偉人・敗北からの教訓」では、本編の面白さだけでなく番組収録後のこぼれ噺を同社の公式YouTubeで配信する等、コンテンツに対する興味をさらに高める番組づくりを行った。同社が強みを持つアニメ関連番組では、2024年10月の番組改編において新作を中心に42作品を企画し、年末年始には「五等分の花嫁」のTVスペシャルアニメや、「アニメロサマーライブ2024-Stargazer- powered by Anison Days」のTV独占放送のほか、「KO世紀ビースト三獣士」のOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)、劇場版「キン肉マン」3作品の一挙放送等を手掛けた。 2) 特別番組の強化 独立放送局の強みを生かし、2025年8月期も多様なジャンルの特別番組を制作・放送し、他局や自治体との連携を強化した。音楽番組としては、故 八代亜紀さんの生前の人気番組である「八代亜紀いい歌いい話」で放送した楽曲のうち、視聴者からのリクエストが多かったものを振り返る番組のほか、2024年12月に「TOKYO FM少年合唱団 クリスマスコンサート2024 〜天使の歌声降るクリスマス〜」、また新春特別番組として昭和を彩った大スターたちの貴重な映像を紹介する「新春2時間スペシャル!昭和100年 スター列伝 お宝映像一挙公開!」を放送した。(株)京都放送との共同制作番組としては、俳優の志田未来さんが旅人となって冬の京都の魅力を紹介する「冬の京都2025〜受け継がれる伝統と技〜」を、自治体との協業としては、宮城県や和歌山県みなべ町・田辺市との共同制作による番組を放送した。その他、BS初放送を含む、国内外の人気ドラマコンテンツを拡充して放送した。 (2) 「稼ぐ力」の再構築 視聴者ニーズをベースにクライアントの嗜好を加味したうえで、今や鉄板とも言えるアジア系を中心に幅広くドラマコンテンツを強化し、放送と配信により提供している。2024年9月から2025年2月には、中国時代劇で人気キャストが再共演した大河ロマンス史劇「星漢燦爛<せいかんさんらん>」のほか、愛と友情のアクション時代劇「江湖英雄伝〜HEROES〜」とポピュラーな歴史ドラマを展開した。韓国からは、豊富なコンテンツを有する(株)U-NEXT HOLDINGSとの協業により、U-NEXTで配信中の人気の韓国ドラマを厳選し、家族のヒューマンドラマ「韓流セレクション Supported by U-NEXTアンクル〜僕の最高のおじさん〜」や、スリリングなエンタテインメント「復讐の渦〜因縁の父娘(おやこ)〜」などストーリージャンルも豊富に提供した。底堅い人気を誇るアガサ・クリスティー原作の「名探偵ポワロ」をはじめとした刑事ドラマを中心にヨーロッパミステリーも手掛けることで、幅広い視聴者層のニーズに対応できるコンテンツを揃えた。さらに、国内の時代劇や犯罪・捜査ドラマに加え、2025年5月からは家族らが初めて伝記的物語の撮影を許可した作品「テレサ・テン 歌姫を愛した人々」の放送を開始する等、引き続き強化する考えである。なお、放送したドラマコンテンツ等は、一部を除き「TVer」やオリジナル配信サイト「BS11+」にて配信中と、視聴者を逃さないリテンション施策も講じている。 (3) 放送周辺事業の強化と発展 放送周辺事業の強化策として、配信事業の収益拡大やオリジナルコンテンツ制作、イベント事業を推進している。配信事業の収益強化策としては、オリジナル配信プラットフォームである「BS11+」においてレギュラー番組を中心に番組放送終了後の見逃し配信やアーカイブ配信を実施したこと等により、2025年2月末時点の会員数は前年同月末比で103.0%増を記録した。BS11公式YouTubeチャンネルもチャンネル登録者が同35.0%増と大きく成長し、民放無料BS放送局で1位の登録者数をキープしており、収益増に寄与した。「TVer」では報道・ドラマ番組の配信が好評だ。配信オリジナルコンテンツ制作については、東京メトロポリタンテレビジョン(株)との共同制作によるWebドラマの第1弾として「東京水没!?」を配信した。同番組は企画を公募して制作した番組で、一定の視聴者から反響を得ており、今後も同様の取り組みにより視聴者層の拡大が期待される。また人材育成の一環として入社2年目の若手社員による企画に基づいて配信コンテンツ化した「三戸なつめのブラリ神田明神」を配信している。イベント事業推進については、若手人気演歌歌手らによる歌謡ショー「我ら演歌第7世代!」を開催したほか、文化放送との協業により「ワールドダイスターRADIO☆わらじ」の番組イベント第3弾を開催した。同社は保有するIP(知的財産)を活用してマルチ展開することで2025年8月期に放送周辺事業を2020年8月期比約2.5倍の953百万円へと拡大することを計画し、成長を加速させる考えだ。 (4) 企業価値向上のための戦略的投資 企業価値向上策として、新たな領域への投資機会の追求と、コラボレーション施策を推進している。新たな領域としては、各分野におけるイベント事業の企画と実施、通販事業の強化が対象となる。イベント事業については、オリジナルイベントかつコラボレーション施策の一例として、2025年2月に「BS11のアイドル祭 Vol.1-バレンタインSP-」を協業先であるエフエム東京のTOKYO FMホールで開催した。通販事業としては自社運営の通販サイトである「BS11SHOP」において「産直通販」と番組関連グッズの販売を展開している。コラボレーション施策としては、前述のエフエム東京との協業による音楽イベントの開催や、デジタル音声サービス「AuDee(オーディー)」における「報道ライブ インサイドOUT」の音声配信を実施中だ。他局とのコラボレーション企画としては、2025年3月から4月にかけて、全国17の放送局とともに「桜前線2025 全国キャスターリレー! 〜自慢したい桜スポット〜」のほか、京都放送との共同制作番組として、「京都夜桜生中継2025 桜と名宝を訪ねて」を3月に放送した。またU-NEXTとも継続してスポーツ番組やドラマコンテンツ等の提供を受けている。さらに親会社であるビックカメラとの協業として、店舗で販売中の商品を紹介して通信販売するオリジナル番組を制作・放送しており、連携を強めて新たな施策を計画中である。 (執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) 《HN》 記事一覧 |