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投資家のための投資信託入門

ジェラルド・アペル/長尾慎太郎/井田京子 パンローリング

アセットアロケーション、分散、コストの重要性の理解とその実践のために

 私自身、実は投資信託に対するイメージはあまりよくない。というのは、 主にアクティブ運用する株式投信についてのことである。販売手数料、信託 報酬、信託財産留保額など、コストが高く、投資家のためというよりは、売 る側、販売サイドのための商品というイメージが強いためである。実際、私 自身はこうした投資信託の売買はここ10年以上まったく行っていない。

 が、MMFやREITも投資信託であり、実はその商品は幅広い。

 本書は適切なアセットアロケーション(資産配分)を実現するためにどの ように投資信託を活用し、またそのスイッチングなどをどのように行えばい いかについて解説している。

 たびたび強調されているのは分散投資の重要性で、これは株式投資におけ る分散投資とともに異なったアセットクラスへの投資についても投資信託は 有効な投資対象となりうることが述べられている。

 特定のアセットクラス、あるいは特定の個別銘柄に集中投資をし、それが 当たればリターンは大きなものになる。逆に分散投資はそれを適切に行うこ とによりリスクを低減し、リターンを安定させることができる。長期の資産 運用としてはやはり後者の視点が重要であろう。また、投資信託は多くの場 合、その商品性からして分散効果効果が高いものである。

 同時にコストの面も重視しなければならないことを強調している。この部 分については共感するところが大きかった。基本的に低コストな商品を選択 する方が有利であることは言うまでもない。

 投資のタイミングやスイッチングについても、具体的な指標等を示しなが ら解説している。この部分の実践はなかなか難しいのではないかと感じた。

 実は私自身、資産運用における最大の関心事は適切なアセットアロケーシ ョンをどう構築すればいいのかという点になっている。長い目で見れば「騰 がる銘柄探し」よりも、この適切なアセットアロケーションによる分散投資 が安定したリターンをもたらすと考えているためであり、この発想は本書の 基本的なテーマとも重なるものだと思う。

 但し、日本株や中国株などについては投資信託ではなくなるべく個別の銘 柄や商品を自分で選択して運用するようにしている。その方がコストが安い ということもあるし、自分自身が判断を行って売買する分、自己責任も必然 的に強く認識することになるからである。

 しかし、なじみのないマーケットや商品については、投資信託はやはり有 力な選択肢となるだろう。最近購入した商品で言えば、インドのインデック ス投信や金ETFなどがこれにあたる。

本書を読んで、投資信託の意味やその活用方法についてあらためて考えるこ とができた。

 但し、本書はやはり翻訳物としての隔靴掻痒感は強い。解説されているの は米国市場の解説が中心となっており、紹介されている投資信託も米国のも のである。これらの解説が参考とならないということはないし商品も購入で きないわけではないが、やはり日本の投資家は円ベースを基本に、低コスト で運用できる商品を中心にアセットアロケーションを構築することが重要で あると考える。

 本書は単なる投資信託紹介本ではなく、長期投資における重要な視点やそ の中での投資信託の有効な活用方法について解説している点で優れた内容と なっている。  同時に、日本の個人投資家が本書の視点を活用するためには、これを日本 市場にあてはめて咀嚼しなおす必要もあると感じた。

(ふしみん 40代 公務員)


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