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カリスマ・ファンド・マネージャーの投資極意

逆張り、徹底した個別企業のリサーチ、その一貫性

 本書はイギリスの有名なファンドマネージャーのボルトンについて、その投資方法 や投資スタンス、運用していたファンドのパフォーマンスなどについて解説したもの である。

 自分自身でコメントしている章もあることが特徴となっている(表紙に写真が載っ てますが、トム・ハンクスに似ているような・・)。

 全体として非常に真面目な内容で、その投資スタンスには学ぶべきところは多いと 感じられた。但し、個々の企業への具体的な投資について詳細に語られているわけで はない。

 「市場を上回る運用をしたければ市場に固執するべきではない。」

 「他の人と違うことをしなければならない。」

 「逆張りタイプの株式を中心に平均以上のリスクをとって運用」

 「理想的なのは、今うまくいっていなくても、良い方向に向かいそうな企業です。 人気がなくて割安であるが、近い将来投資家の注目を浴びる可能性がある株式を探し ます。」

 上記のような言葉がボルトンの基本的な運用スタンスを端的に示している。さて、 今の日経平均が7000円とか8000円というような状況、この世界的な株式市場 の動向について、ボルトンはどう考えているのだろうか?。チャンスなのか危機なの か。多分、両方?。

 バフェットが、わけのわからんIT企業などに投資しないことはよく知られている が、本書を読むとボルトンの運用にも一貫性のある運用哲学が感じられる。比較的短 期で銘柄を入れ替える(売買することもある)ように思われるボルトンの投資方法は バフェットと異なるところもあるが、この一貫性により、短期的には市場以下のパ フォーマンスとなることがあっても、ほとんどの年で市場平均を上回り、傑出した運 用成績をたたき出すことに成功しているように思えた。

 全体としては、本書はやや堅い印象があった。最後にボルトンが選んだ好きな音楽 などが載っているのはちょっと面白かったが、本編の内容はやや真面目すぎるように 感じた。こうした方向に徹するのであれば、個々の企業への投資のアプローチについ て、具体的な売買も含めた形でより詳細に実例を示してほしかったと思う。

 ボルトンの運用が傑出した成績となっているのは、その背後に徹底した個別企業へ のリサーチとそれに対する判断があってのことである。一般の個人投資家が簡単に真 似できるようなものではない(同様の感想はピーター・リンチの著作でも強く感じ た)ということも肝に銘じておきたいところである。

 また、「逆張り」といっても、それは単に株価が大きく下落している銘柄を買うの ではなく、企業の本質的な価値とか可能性から見て安い銘柄を買うという意味であ り、そうした意味ではバリュー投資の範疇に入る投資方法と理解するのがよいだろ う。

 本書の真面目さを評価。哲学については学べるが、すぐに自分の売買に生かすこと は難しいとも感じた。

 書名については、もう少しスマートで洒落たものにならなかったのかと思う(個人 的に「カリスマ」という言葉が好きではないので)。

(ふしみん・40代・公務員)


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