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相場師奇聞

鍋島高明 河出書房新社

「相場師奇聞」は、総勢32名の古今東西の相場師のエピソードが詰まった1冊です。本書にて紹介される相場師には、本間宗久、紀文、紀伊国屋文左衛門から、J・P・モルガン、ジョセフ・ケネディ、ジェシー・リバモアといった外国人や、金子直吉、高倉藤平、松沢与七、山種種二、是川銀蔵などなど、それぞれの時代の個性的な相場師が豊富な写真と一緒に紹介されています。

相場や株式市場に携わる人には、相場の歴史がどのようなもので、人はどのように行動してきたのか、という疑問に、相場師たちの生涯を追うことで十分に答えられるものでしょう。

本書の特徴は、簡潔で読みやすいことに尽きます。事実の羅列だけで終わり、結局、どんな人だったのかわからないということがなく、各章ごとの相場師ひとりひとりのエピソードが終わるにつれ、「アレ?もう終わり?」といった読み足りなさを感じてしまうのではないでしょうか?

ともかく、本書1冊で、32人もの相場師の逸話が紹介されているので、この人は面白そうだと、自分に近い相場師を見つけることができるのではないでしょうか?

32人の相場師の生涯を眺めた読後感としては、「順風満帆には、まず、いかない」というありふれた教訓です。相場師のほとんどがスッテンテンになりつつも、不屈の闘志で立ち向かう様は、読んで励まされるというよりは、損をするのが当たり前の感触に浸るようになります。

それほど、多くの相場師が素寒貧になる様が描かれています。タフな相場師の姿に「よーやるなぁ」と思い、再起をかけるときの知恵に、またもや「よーやるなぁ」と思ってしまいました。相場や株式市場の浮き沈みの激しさを見るにつれ、このようなものを相手にして勝ち抜くことの難しさの認識ができるかと思います。

最後に、本書は人名索引や出典・参考文献索引が充実しています。本書にて紹介される相場師について、もっとよく知りたいときに、とても重宝するでしょう。相場師の文献集としても手元にあれば便利です。 こういった面からも、本書は相場師の入門書の側面があると思います。

(くらげ 20代 会社経営 「初心者投資」管理人)


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