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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2026/03/13 13:00,
提供元: フィスコ
住友大阪セメント:セメント事業の収益力回復を定着させ、通期増収増益を目指す
*13:00JST 住友大阪セメント:セメント事業の収益力回復を定着させ、通期増収増益を目指す
住友大阪セメント<5232>は、セメント事業を中核としつつ、鉱産品、建材、光電子、新材料など多角的な事業を展開する総合素材メーカーである。同社は「地球環境に配慮し、たゆまない技術開発と多様な事業活動を通じて、豊かな社会の維持・発展に貢献する企業グループ」を企業理念に掲げ、循環型社会・脱炭素社会実現に向けた環境解決企業への変革を目指している。
現在、2023-25 年度中期経営計画において「既存事業収益改善と成長基盤構築」を戦略骨子とし、セメント事業の収益力回復、半導体製造装置向けを中心とした高機能品事業(静電チャック等)の拡大、豪州事業展開、脱炭素分野の新規事業開発に注力している。2035 年に向けた長期ビジョン「SOC Vision2035」では、事業ポートフォリオをセメント事業 50%・セメント事業以外 50% へ変革し、売上高 4,000 億円、営業利益 400 億円以上、ROE10% 以上を目標に掲げる。特に高機能品事業を新たな事業の柱として育成し、「徹底した差別化・独自スタイルによるチャレンジャーとしての存在感」と「時代の要請に応えられる環境解決企業」の実現を目指している。
2025年度第3四半期累計(2025年4-12月)は、売上高164,346百万円(前年同期比1.1%減)、営業利益8,534百万円(同29.0%増)、経常利益9,340百万円(同36.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益6,250百万円(同6.4%減)となった。セメント事業の営業利益は2,735百万円と前年同期比約6倍の大幅増益となり、収益改善が進んでいる。
増益の主要因は、コストアップに対応した国内販売価格の値上げ実施である。同社は2025年度期初から1トン当たり2,000円の値上げを打ち出し、年度を通じて交渉を進めた結果、ほぼ全ての顧客から応諾を得た。値上げ効果は四半期を経るごとに拡大しており、フル寄与は2026年度からの見込みである。なお、過去2年間で既に合計5,000円の値上げを実施済みであり、今回の2,000円は追加値上げである。石炭価格低下や廃プラスチック等の産業廃棄物を熱エネルギー源として活用するリサイクル合理化(10億円の効果)も利益に貢献した。一方、国内セメント需要は慢性的な人手不足や建設コストの上昇、働き方改革による首都圏を中心とした週休二日制の定着、時間外労働規制の影響により減少傾向が続いており、2025年度は3,100万トンを下回る見通しである。
通期業績予想は中間期発表時から据え置き、売上高225,200百万円(前期比2.6%増)、営業利益14,000百万円(同49.7%増)、経常利益13,600百万円(同45.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益10,000百万円(同11.0%増)を見込む。セメント事業の営業利益は通期で大幅改善を予想している。リスク要因として建材事業の天候影響による販売減、為替の円安進行(同社は円高メリット)があるが、石炭価格が想定より安く調達できており、為替影響と相殺される見込みである。
2023-25年度中期経営計画は、売上高265,000百万円、営業利益21,400百万円、ROE8.0%以上、ROIC5.0%以上を目標としていたが、トップライン・営業利益ともに未達の見込みである。国内セメント需要が想定以上に大幅減少したこと、成長事業と位置付けていた半導体製造装置分野でも需要要因により目標未達となったことが主因として挙げられる。
一方、3ヵ年で約950億円の投資を実施し、うち半分が維持更新、300億円が成長基盤、100億円超がカーボンニュートラル投資である。設備の老朽化が進んでおり、維持更新投資が大きくならざるを得ない状況であるが、事業ポートフォリオ変革に向けた取り組みを進めている。
次期中計の方向性について、同社は「2035年ビジョンで掲げた事業ポートフォリオ変革(セメント50%・セメント以外50%)の方針は変えない」としている。セメント事業は成長分野ではないがエッセンシャルな素材であり、適正価格維持により収益を確保できる体制を構築する。成長に関しては、豪州をはじめとする海外成長市場への展開と、半導体製造装置用部品など顧客から高評価を得ている製品の拡大により、セメント以外のポートフォリオを高めていく戦略である。また、2035年までの約5,000億円投資計画は継続し、カーボンニュートラル投資約1,000億円、成長投資約2,000億円、維持更新約2,000億円を予定している。こうした取り組みにより、既存の基盤事業で収益体質を強化し、トップライン成長は海外事業や半導体製造装置部品等でスケールを高めていく方針を示している。一方、株主還元については総還元性向50%以上を念頭に、安定的な配当を継続する方針である。同社の今後の展開に注目したい。
《IS》
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