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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/07/24 12:03, 提供元: フィスコ NECキャピ Research Memo(3):ICT機器と金融ソリューションを融合させたサービスを提供*12:03JST NECキャピ Research Memo(3):ICT機器と金融ソリューションを融合させたサービスを提供■事業概要 NECキャピタルソリューション<8793>は、リースから企業向け融資、債権流動化に加えファンド組成やエクイティ出資まで幅広い金融ソリューションを提供する。NEC製品の販売金融機能を担うために創立された経緯から、NECと連携しながら成長してきた。リース事業における業種別契約実行高(2025年3月期実績ベース)の約62%を占める官公庁・自治体向けを例に挙げると、NECをはじめとしたベンダーがICTを活用したソリューションを提供し、業務効率化や公共サービスの質の向上に寄与。同社はそれらのソリューションを、官公庁・自治体の単年度予算に合う契約形態で金融面からサポートしてきた。国内に約30ヶ所の拠点を構え、全国約1,800の自治体に指名参加申請登録を行うなど、日本全国の官公庁や自治体に取引実績を持ち、官公庁・自治体は同社の強固な顧客基盤となっている。長年にわたる取引経験から、官公庁や自治体の仕事の進め方や特性などのノウハウを蓄積し、それらを強みとしてPFI・PPP(公共サービスの提供に民間が参画する手法)事業にも生かしている。またNECとともに成長してきた経緯からICT機器の取扱にも強みを持ち、2025年3月期のリース事業の機種別契約実行高では、ICT機器が約84%を占めている。ICT機器の導入から管理運用までをサービス料の支払いで提供する「PITマネージドサービス」等、長年のICT取扱経験を生かしたICT機器と金融ソリューションを融合させたサービスを提供するなど、顧客の様々な要望に応える態勢を整えている。なお、営業利益(2025年3月期実績ベース)による構成比は、リース事業43.8%、ファイナンス事業28.9%、インベストメント事業22.0%、その他の事業5.2%となる。 (1) リース事業 情報通信機器、事務用機器、産業・土木・建設機械等の賃貸(リース・レンタル)及び割賦販売業務等。リースに関連する物品売買、満了・中途解約に伴う物件売却及びリース機器の保守サービス等も行う。 (2) ファイナンス事業 金銭の貸付業務、ファクタリング業務及び営業目的の収益を得るために所有する有価証券の投資業務等を行う。プロジェクト向けでは、特別目的会社(SPC)への資金の貸付けに加え、SPCへの出資という形で資金提供する。 (3) インベストメント事業 有価証券の売却益の収受を目的とするベンチャー企業向け投資等。子会社であるリサ・パートナーズが企業投資、債権投資、不動産、ファイナンス及びアドバイザリー業務等の各ビジネスを展開する。 (4) その他の事業 エネルギー・ヘルスケア領域における事業。官公庁・自治体の顧客基盤を背景に、PFI・PPP事業を推進しており、主に事業に最適なストラクチャーの構築や、低利な資金調達の支援、官公庁・自治体への提案書の作成等を行う形でプロジェクトに参画している。 ■強み NECとの強固な関係性。今後はSBIグループとの共創も視野に 「NECとの強固な関係性」「ICTに関する豊富な知見」「幅広い金融ソリューション」の3つの強みを融合させたサービスを提供している。同社はNEC製品の販売金融機能を担う目的で設立され、NECと連携しながら成長してきた経緯から、NECの重要パートナーとして新たな業務提携契約の下、事業推進している。同社の顧客基盤の約6割は官公庁・自治体にあるが、これはNECとともに成長してきた経緯からであり、同社の特徴の1つとなっている。また、リース契約実行高の8割以上(2025年3月期実績:機種別契約実行高)をICT機器が占めているように、ICTに関する豊富な知見を有している。そのため、リースにとどまらず、ICT機器の調達・導入、運用管理までを含めた幅広いノウハウを生かしたサービスを展開してきた。技術革新の速いICT機器は、ほかの設備に比べ最新機種への更新頻度が高く、LCM(ライフサイクルマネジメント)に対応したサービスのニーズは高まっている。その他、ICT機器のキッティング(パソコンなどの導入時に実施するセットアップ作業)やリース満了後のICT関連機器を販売するキャピテック&リブートテクノロジーサービス(株)を傘下に持ち、ICT製品に関する周辺事業にワンストップで対応している(前述の「PITマネージドサービス」)。 さらに、幅広い金融ソリューションを提供していることも同社の強みの1つである。メーカー・販売会社が顧客の支払い方法等を含めた形で製品販売を行う手法であるベンダーファイナンス等、メーカー・販売会社の立場に立ったファイナンスプログラムの提供を行っている。その他、金融サービス会社としてサービスメニューを増強しており、企業向け融資、債権流動化に加えファンド組成やエクイティ出資等に取り組む。また、投融資とアドバイザリーのプロフェッショナルであるリサ・パートナーズは、資金面で支援する「投融資」と、金融・不動産等の専門的見地から助言する「アドバイザリー」の両面からソリューションを提供。地域金融機関とのネットワークを有するリサ・パートナーズと官公庁・自治体や事業法人を主力とする同社は異なる顧客基盤を有することから、事業領域の拡大による成長が可能と弊社では考えている。 同社では2012年からベンチャー企業を投資対象とするベンチャーファンド事業にも取り組んでいる。2012年にテクノロジーに強みを持つベンチャー企業を投資対象とする「イノベーティブ・ベンチャー投資事業有限責任組合」を設立し、2016年、2018年には社会課題解決型のベンチャー企業を投資対象とする「価値共創ベンチャー有限責任事業組合」、「価値共創ベンチャー2号有限責任事業組合」を設立。これまで複数のIPOやM&AによるEXIT(案件売却)が実現した。また、ベンチャー投資によって知見や実績を着実に蓄積するなかで、2022年2月に設立したNVC1号ファンドでは、社会課題の解決に主眼を置いたソリューション・サービス領域、先端技術領域に資する材料・デバイス等のテクノロジー領域に加え、デジタルトランスフォーメーション(DX)や気候変動への対応等に資する新領域のスタートアップにも注力している。なお、詳細は後述するが、2024年7月、SBI新生銀行及び昭和リースと3社間で業務提携の基本合意を締結、2024年10月に筆頭株主がSBI新生銀行となった。同行や昭和リースとの取り組みはもちろんのこと、将来的にはSBIグループとの共創も強みとなる可能性がありそうだ。 (執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) 《HN》 記事一覧 |