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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/07/23 13:02, 提供元: フィスコ

Pウォーター Research Memo(2):: 顧客獲得力を強みに宅配水No.1。金本新社長が成長を狙う

*13:02JST Pウォーター Research Memo(2):: 顧客獲得力を強みに宅配水No.1。金本新社長が成長を狙う
■プレミアムウォーターホールディングス<2588>の会社概要

1. 会社概要と沿革
同社は、ウォーターサーバーを設置した家庭や事業所に自社製造のミネラルウォーターを届ける宅配水業界の大手企業である。同社は、天然水製造が強みのウォーターダイレクトと営業力が強みのエフエルシーが経営統合して誕生した。ブランドを「プレミアムウォーター」に統一して再スタートを切って以降、強力な営業組織と販売ノウハウを武器に急成長する。保有顧客数173万件(2025年3月末時点)は宅配水業界で首位となっている。オーガニックな成長に加え、2023年3月期にはラストワンマイル<9252>と資本・業務提携、2024年3月期には(株)DREAMBEER、INEST<7111>と資本・業務提携、2025年3月期にはビックカメラグループのビックライフソリューションからウォーターサーバー事業を承継するなど、M&A等によるグループの拡大も加速している。代表取締役社長は、2025年3月期に金本彰彦氏にバトンタッチ、次なる成長に向けたギアチェンジを行っている。金本氏は、エフエルシー創業期に加わりプロモーション営業力で国内トップクラスに引き上げた実績を持つ。


認知度が高まり市場環境も良好で、シェア拡大に期待

2. 成長する宅配水市場と市場シェア
宅配水とは、サーバーとセットで供給されるミネラルウォーターで家庭や事業所などに宅配されるものを指す。2000年以降に普及が進み、東日本大震災などの影響も追い風となり2012年頃までに急成長を遂げた。その後成長が鈍化した時期もあるが2015年以降成長軌道が回復し、2023年の市場規模は172,200百万円、2018年から2023年の年平均成長率は3.93%である。近年の動向としては、2020年にコロナ禍の影響で在宅時間の増加に伴い宅配水の需要が増加したこと、2022年に業界各社が値上げを実施したことに起因して市場規模が拡大した。2023年以降は浄水型ウォーターサーバーの統計調査が開始され、一定の割合で需要があり、成長していることが確認された。ウォーターサーバー市場の成長要因としては、「日本の良質な天然水が定期的に自宅まで配達される※」「冷温水が簡単に利用できる」「災害に備えた備蓄水としての役割※」といった利便性や安全性等が挙げられる。宅配水市場の成長を支えてきたのが同社の成長力であり、同社によると、業界での同社のシェアは顧客数ベースで32%であり、2位以下を引き離す存在である。天然水型では、全国規模で効率的な製造・物流ができる唯一のプレーヤーであり、浄水型でもトップを走っている。

※ 天然水ウォーターサーバーを利用する場合にのみ当てはまる。

日本では、長年「水道水がそのまま飲める国」としての認識が定着していたが、近年ではその前提が揺らぎつつある。一例として、水道水への有機フッ素化合物(PFAS)汚染問題がある。2024年6月放送のNHKクローズアップ現代「追跡“PFAS汚染”汚染源は?健康リスクは?」により、認知が高まった。水道水への懸念が高まると水質が保証される天然水型サーバーや有害物質を除去できる浄水型サーバーには追い風となる。日本のウォーターサーバー普及率は今後も上昇すると考えられ、人口減少社会にあっても、長期的には市場が大きく拡大するポテンシャルがあるといえる。

宅配水業界は、ガス会社系、水宅配専業系、レンタル・クリーン・オフィスサービス系、飲料メーカー系など経営母体によって分けられる。参入企業は多いものの継続的に顧客数を伸ばせる企業は数少ない。営業力のみならず、商品力、製造力、物流力などを兼ね備えなければ顧客を増やし維持し続けることが難しいためである。同社は宅配水業界において保有顧客数を純増させる力により業界大手の存在になった。

3. 浄水型ウォーターサーバーの普及状況
近年、浄水型ウォーターサーバーも普及しており、顧客にとっての選択肢は増えた。2024年の市場規模は161億円、顧客数は102万人(世帯)と報告されている。浄水型ウォーターサーバー普及要因としては、「相対的に価格が安い」、「自分のペースで利用したい」、「水道水に不安がある」などが挙げられる。この方式は水道水を高機能フィルターで浄化して利用するものであり、製造・配送が必要ないため、高級家電に近い存在である。天然水型同様に、ウォーターサーバー自体の機能も評価されており「冷温水が簡単に利用できる」など利便性やデザイン性で普及している面もある。同社は天然水型のトップ企業としてのポジションではあるが、浄水型にも注力し、多様な機種を取り揃えている。特に、天然水型のサービスを価格要因などで離脱を考えている顧客に対して選択肢を提案ができる点で有効であり、解約抑止や他社流出抑止の点で重要な役割を担っている。直近では、同社の新規顧客獲得の4分の1は浄水型であり、1顧客当たりの販売単価は約7割となるものの、収益性では天然水型と比較して遜色ないという。浄水型の売上構成比が高くなることによる経営へのインパクトとしては、売上高の伸びは鈍くなるものの、利益率はむしろ上がることになろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)


《HN》

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