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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/06/10 11:05, 提供元: フィスコ 加藤製作所 Research Memo(5):2025年3月期は特別損失計上により当期純損失を計上*11:05JST 加藤製作所 Research Memo(5):2025年3月期は特別損失計上により当期純損失を計上■加藤製作所<6390>の業績動向 1. 2025年3月期連結業績の概要 2025年3月期の連結業績は売上高が前期比7.9%減の52,932百万円、営業利益が同45.4%減の903百万円、経常利益が同45.6%減の1,401百万円、親会社株主に帰属する当期純損益が6,033百万円の損失(前期は4,235百万円の利益)となった。売上高は国内大型ラフテレーンクレーン新型車の市場投入遅れ、前期の東南アジア向け建設用クレーン大口案件の反動、米国・欧州の油圧ショベル等需要後退などにより減収となった。営業利益と経常利益は減収や原材料価格高騰による影響、棚卸資産評価損計上などにより減益となった。また特別損失(中国事業の子会社整理損)が生じたため親会社株主に帰属する当期純損失を計上した。 売上総利益は前期比18.3%減少し、売上総利益率は同2.1ポイント低下して16.2%となった。販管費は同13.2%減少し、販管費率は同0.9ポイント低下して14.5%となった。この結果、営業利益率は同1.2ポイント低下して1.7%となった。営業利益(前期比750百万円減少)の増減分析は、主に海外市場での販売台数減少により1,199百万円減少、在庫適正化に向けた棚卸資産評価損計上で456百万円減少、新機種試作費用の増加により110百万円減少、売価・原価・製品構成・その他の変動により124百万円減少、アフター部品の販売減少により106百万円減少、為替の円安効果により74百万円増加、販管費の減少により413百万円増加、貸倒引当金繰入額の減少により757百万円増加した。なお営業外収益・費用では貸倒引当金戻入額107百万円、一部サプライヤーからの受取補償金464百万円を計上した。一方で、為替差益が同666百万円減少(前期は684百万円、当期は18百万円)した。また特別利益では固定資産売却益が同1,254百万円減少(前期は1,417百万円、当期は163百万円)し、特別損失では中国事業の子会社整理損7,103百万円を計上した。 国内売上高は前期並み、中国は増収で営業損失縮小 2. セグメント別・品目別の動向 報告セグメント別の業績(セグメント間内部売上高、全社費用等調整前)では、日本は売上高が前期比8.9%減の46,653百万円で営業利益が同69.3%減の621百万円、中国は売上高が同19.1%増の2,737百万円で営業損益が63百万円の損失(前期は1,210百万円の損失)、欧州は売上高が同15.2%減の4,787百万円で営業損益が11百万円の損失(同71百万円の利益)となった。日本は大型ラフテレーンクレーン新型車の市場投入遅れ、前期の東南アジア向け建設用クレーン大口案件の反動、米国向け油圧ショベル輸出の減少、棚卸資産評価損計上などを要因に減益となったが、売上面は建設用クレーン、油圧ショベル等とも堅調に推移して前期比微減で着地した。中国は期中に解散・清算を決議した現地子会社の在庫製品販売に注力して増収となり、営業損失も縮小した。欧州は全般的に建設需要が鈍化した。 品目別売上高を見ると、建設用クレーンは前期比2.1%減の33,508百万円(国内が同0.4%減の29,564百万円、海外が同13.5%減の3,944百万円)、油圧ショベル等が同17.7%減の18,359百万円(国内が同2.3%減の7,620百万円、海外が同26.0%減の10,738百万円)となった。建設用クレーン、油圧ショベル等とも国内は微減だが、海外が低調だった。海外の仕向け地別売上高を見ると、アジアが同1.8%増の5,718百万円、中近東が同78.2%減の288百万円、欧州が同4.0%減の4,703百万円、オセアニアが同29.5%減の445百万円、アフリカが同51.0%増の243百万円、北・中南米が同48.7%減の3,334百万円となった。アジアは中国現地子会社の在庫製品販売に注力し増収となったが、欧州、北・中南米は建設需要鈍化が影響し減収となった。なお、海外売上高合計は同23.0%減の14,734百万円で、海外売上比率は同5.5ポイント低下して27.8%となった。 財務の健全性を維持 3. 財務の状況 財務面で見ると、2025年3月期末の資産合計は前期末比2,582百万円減少して102,747百万円となった。主に棚卸資産が同9,750百万円増加、破産更生債権等が同4,291百万円増加した一方で、現金及び預金が同7,802百万円減少、売掛金が8,009百万円減少した。負債合計は同4,364百万円増加して58,144百万円となった。電子記録債権が同2,014百万円減少した一方で、有利子負債残高(長短借入金及び社債の合計)が同8,092百万円増加して43,778百万円となった。純資産合計は同6,947百万円減少して44,603百万円となった。特別損失計上によって利益剰余金が同6,973百万円減少した。この結果、自己資本比率は同4.5ポイント低下して43.4%となった。中国子会社2社の解散及び清算決議に伴う特別損失計上という一過性要因で利益剰余金が減少し、自己資本比率も低下したが特に懸念材料となる水準ではなく、一方では中国事業の売上債権減少によって資本効率改善を進めている。中期的にはさらなる財務基盤の強化が望まれるものの、現状では特に懸念材料はなく、財務面の健全性を維持していると弊社は考えている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) 《HN》 記事一覧 |