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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/06/10 11:04, 提供元: フィスコ 加藤製作所 Research Memo(4):営業損益改善基調、事業環境悪化の中国子会社2社は解散及び清算予定*11:04JST 加藤製作所 Research Memo(4):営業損益改善基調、事業環境悪化の中国子会社2社は解散及び清算予定■加藤製作所<6390>の事業概要 3. セグメント別・品目別推移 報告セグメントは地域別(2024年3月期より変更)に日本、中国、欧州、その他としている。過去5期(2021年3月期〜2025年3月期)の推移を見ると一過性要因も影響して営業損益が変動する形となっている。2021年3月期は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響により経済活動が縮小したため売上高が減少し、営業損益も悪化した。2022年3月期はコロナ禍の影響が和らいで売上高が回復傾向となったが、構造改革の一環として計上した一過性の損失(営業利益段階で長期滞留在庫評価減の計上、加藤(中国)工程机械有限公司における貸倒引当金の計上、特別損失で希望退職金の計上、常陸那珂工場の減損損失の計上、タイ工場の解散及び清算に伴う減損損失の計上)により大幅な損失を計上した。2023年3月期はサプライチェーン混乱の影響で減収となったものの、構造改革の効果や収益性を重視した販売戦略などにより営業損益が大幅に改善(黒字化)した。2024年3月期は一部主要部品供給制約の影響や中国での需要回復遅れなどにより売上高が横ばいにとどまったものの、売価・原価改善などの構造改革効果により営業増益となった。2025年3月期は国内での大型ラフテレーンクレーン新型車の販売時期先送り、前期の東南アジア向け大型案件の反動、米国市場の需要低迷などにより減収・営業減益となった。 品目別売上高及び海外仕向け地別売上高の過去5期(2021年3月期〜2025年3月期)の推移を見ると、2021年3月期はコロナ禍の影響により、品目別では建設用クレーン、油圧ショベル等とも減少、海外仕向け地別では中国を中心とするアジアが大幅に減少した。2022年3月期は北米・欧州向けが回復傾向となった。2023年3月期はサプライチェーン混乱の影響や中国における油圧ショベルの需要減少などにより大幅減収となった。2024年3月期は一部主要部品供給制約の影響などにより売上高が横ばいにとどまった。2025年3月期は、中国子会社2社の解散及び清算決議や北米の需要低迷により海外の油圧ショベル等が大幅減少した。なお品目別の売上高構成比は建設用クレーンが6割前後で油圧ショベル等が3.5〜4割、海外向けの売上高構成比は3割前後で推移している。 なお中国事業については、不動産不況を起因としたインフラ投資鈍化・建設機械需要減少や、中国地場メーカーとの販売競争激化などにより厳しい事業環境が継続しているため、2024年6月に加藤中駿(厦門)建機有限公司の解散及び清算を決議、同年7月に加藤(中国)工程机械有限公司の解散及び清算を決議した。一方で、中国に代わる新たな主要市場としてインド及びその周辺国を含めた商圏を拡大する方針を打ち出し、同年1月にインド事業準備室を新設した。現在は、インド最大手のクレーン製造・販売企業であるACEとインド国内での合弁会社設立に向けた協議を進めている。また欧州事業の立て直しに向けて、2025年5月にイタリアの子会社KATO IMERへの出資比率を引き上げた。 外部要因により業績が大きく変動するため、収益性を重視する戦略を推進 4. リスク要因・収益特性と課題・対策 建設機械業界の一般的なリスク要因としては景気変動の影響、為替影響、競争激化、サプライチェーン混乱、製品不具合に伴う賠償責任、環境規制や技術革新への対応遅れなどがある。市場競合については、最も市場規模の大きい油圧ショベルはコマツ<6301>、日立建機<6305>といった大手競合メーカーが多く、競争の激しさが知られているが、その他の建設機械(建設用クレーン、高所作業車、ブルドーザ、道路舗装機械など)については、それぞれ得意分野を持つメーカーが高い市場シェアを獲得するなど、ある程度のすみ分けができている。同社の市場におけるポジションとしては、建設用クレーンではタダノ<6395>とともに大手、油圧ショベルでは中堅という位置付けである。なお建設機械業界の業績は、需要変動・為替変動など外部要因の影響で大きく変動する傾向が見られ、また季節要因として第2四半期(4〜9月)と第4四半期(1〜3月)に売上高が偏重する傾向が強いが、同社は売上拡大よりも収益性を重視する戦略を打ち出している。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) 《HN》 記事一覧 |