ジェフ・ヤス Jeff Yass
オプショントレーダー、サスケハンナ投資グループ
新マーケットの魔術師』のなかで「相手の取引技術や知識によって自在に見方を変えるオプションの戦略家」として紹介されている。ヤス氏が設立者の一人であるサスケハンナ投資グループでは、新人トレーダーの教育にポーカーを導入しており、社内トーナメントも実施する。


ギャンブルトレーダー

「わが社では、オプションのトレーダーを訓練するとき、実際にポーカーの戦略を使うんです。オプション取引と、ポーカー・ゲームは非常に関連性が深い。ポーカーに対する正しいアプローチを教えることができれば、本当の意味でのオプション取引も教えることができると思います」(『新マーケットの魔術師』411ページ)

(ジャック・シュワッガー)
 あなたはポーカー好きで、ポーカーの多くの戦略をオプションに応用されていますね。最初にポーカーに興味を持ったのはいつですか?

(ジェフ・ヤス)
 大学のときにポーカーを始めました。友人と私はとても真剣にポーカーをしていました。ポーカーは最終的には運のゲームではなく、かなりの技術と、複雑さをもったゲームだと知りました。私たちはゲームに数学的なアプローチを取りました。

 高い技術水準が与えられたとすると、どのくらいの確率で勝利者になれるのでしょう?

 平均して、私が勝つのは55%ぐらいです。

 負けたとき、気にしますか?

 全然。私のプレーが正しいとしても、ゲームの波を抑えることはできないのです。負けたことで自分を疑うことは、ほとんどありませんね。短期的には、勝ち負けは技術ではなくて運ですから。

 ポーカーの主な戦略は、持ち札の組み合わせとその勝ち目を記憶することなのでしょうか?

 いいえ、記憶することはあまり大きな要素ではありません。確率を理解して、どの持ち札のときにプレーして、どの持ち札のときにしないのかを判断することは重要です。基本的なことですね。本当に偉大なポーカーのプレーヤーは、適切な賭け方の戦略を理解しています。相手が掛け金を上げたとき、どんな情報を得るべきなのか。自分で掛け金を上げたとき、どんな情報を発信することになるのか。掛金を上げなかったときはどうか。 わが社では、オプションのトレーダーを訓練するとき、実際にポーカーの戦略を使うんです。オプション取引とポーカーゲームは非常に関連性が深い、と考えているからです。ポーカーに対する正しいアプローチを教えることができれば、本当の意味でオプション取引も教えることができると思います。

(『新マーケットの魔術師』より)