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未来予測レポート 自動車産業2011-2025

田中栄
日経BP
A4判 267頁 未来年表 CD-ROM 2010年12月発売
本体 200,000円  税込 220,000円  国内送料無料です。
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新興国のモータリゼーションで自動車産業は一変する

昨年、中国が新車販売台数で世界ナンバーワンになったことが大きなニュースとして報じられた。金融危機の影響で米国の新車販売台数が1000万台を割り込む一方で、中国は一気に1300万台を超え、前年比で4割近く増加したのである。

それでも中国の自動車普及率は、先進国に比べればまだまだ低い。経済成長と歩調を合わせるように、これからも販売台数は伸び続けるだろう。成長著しいインドがこれに続く。もし、この2カ国(約25億人)で欧米の約半分、すなわち100人当たり30台程度まで普及するとすれば、単純計算で7.5億台(先進国なみの60台になると15億台)の自動車が販売されるということになる。耐久年数を7〜8年とすれば、年間で約1億台は必要になるということだ。

先進国の人口は、全部合わせても10億人に過ぎない。その先進国が6000万台の自動車生産台数のほとんどを消費してきたのである。その構図が崩れ、その2.5倍の人口を抱える中国とインドで本格的なモータリゼーションが起これば、その上乗せ分だけで1億台以上の需要が生まれてくるのである。

それは自動車メーカーにとって朗報かもしれない。だが、それだけの変化にいまの自動車で対応できるのだろうか。懸念はいくつもある。ガソリンは足りるのか、大気汚染が一層深刻になるのでは、CO2排出の問題はどうか・・・。そう考えていけば、エンジン車から電気自動車への移行は、必然といえるだろう。ただ現実には、「インドや中国でそんなに急激に電気自動車が普及するはずはない」との意見が少なくない。けれども、このような既得権者による希望的観測はいつも裏切られてきた。携帯電話の例もある。つい10年前までは先進国の占有物ともいうべきものだったが、2010年7月現在、その契約者数は50億人を超えたと報じられている。ユニークユーザー数は約40億人と推計されており、今や世界の半数以上が携帯電話を持っていることになる。

もちろん携帯電話と自動車は違うものであり、単純に同列で比較することはできない。ただ、ここで考えなければならないのは、急速な技術進歩と企業間競争の結果、価格が劇的に下がり、それが飛躍的な普及につながったという流れである。その過程で部品の集積化が進み構造は単純化し、端末に関してはいくつかの基幹部品さえ入手できれば、新興国が自ら生産することも容易になった。これは、これから自動車分野で起ころうとしていることと変わりない。

「サスティナビリティ」という新しい流れの中で、社会全体が「クリーン・オール電化」に向かうのは必然である。そのような新しい社会に対応するために、自動車の主役が「石油/エンジン」から「電気/モーター」に変わるのは必然だ。この1点をもってしても、自動車メーカーがこれから大胆な方向転換を迫られることになるのは明らかである。

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