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未来予測レポート エレクトロニクス産業2011-2025

田中栄
日経BP
A4判 267頁 未来年表 CD-ROM 2010年12月発売
本体 200,000円  税込 220,000円  国内送料無料です。
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敵は中国やインドではない

自由化・グローバル化という流れの中で金融ネットワークや情報ネットワークの整備が進み、どの地域であっても同じような環境でビジネスが展開できるようになった。そこにデジタル化、ネットワーク化といった大きな変化が重なり、世界の基本構造を変えようとしている。それがどのような結果をもたらし、どのような未来を招来しようとするのか。それをどこまで正しくイメージできるかが、激動の渦中に置かれる企業にとって、極めて重要な経営課題になった。

まず注目しなければならないのは、世界勢力の変化である。「経済のフラット化」によって新興国の経済成長が一斉に始まり、広がる一方だった経済格差が今度は逆方向に回り始めた。技術、資金、情報という「ものづくり」に必要な要素がすべて揃ったことで、新興国は先進国に頼らず自力で工業製品を生産できるようになったのである。その仕事は単純な組み立て作業や部品生産から始まり、今やパソコンや携帯電話、自動車、太陽電池など幅広い分野へと広がっている。中国のレノボ社による米IBM社のパーソナル・コンピューター事業の買収、台湾のアスーステック コンピューター社による自社ブランドでの海外進出、インドのタタ・グループによる自動車分野への参入などは、まさにそれを象徴する出来事だろう。

ただ、新興国のものづくりは基本的に「単品」であり、「マニュアル」や「オペレーション」で作れる製品である。だから、結局はコスト勝負になる。製造装置はどこで買っても価格に大差はない。あとは土地や人件費が安く、市場に近いところが有利になる。そこに、日本メーカーの未来は見いだせない。

競合相手が欧米企業だったころと同じように、価格競争で新興国に挑むのは「自殺行為」に等しい。かつて日本が欧米企業を追い込んだように、間違いなく中国やインドに苦渋をなめさせられることになるだろう。

日本がいま、挑むべきは新興国ではない。「コト」を武器とする欧州、「モノ+サービス」で覇権を広げる米国なのである。

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