
本書は、お金に関して、多くの人がつい犯してしまう誤りを減らすことを目的としている。
その誤りには、些細な間違いから大失敗まであるが、あらゆる誤りを減らしてほしい。
あなたが何千、何万もの正しいことのできる傑出した人物だとしても、本書に書いた幾つかの間違いを犯してしまえば、あなたのポートフォリオは破壊され、大切なお金を失い、貧相な老後が待ち受けている。
多くの投資家がしょっちゅう犯している凡ミスを回避する方法を学べば、より豊かで、ストレスの少ない人生が送れ、心配のない老後が待ち受けている。
ヒトの直感に反することになるかもしれないが、誤りやミスを避けることは、得点を重ねたり、テンバカー銘柄を当てるよりもはるかに重要である。
本書は、多くの人々が犯すお金にまつわる間違いを避けるのに役に立つシンプルな考え方や幾つかの道具とモデルを示している。それらを学んで実行するだけで、98%の普通の投資家よりもずっと先を行くことができる。
また、誤りを減らせば、やがて、あなたのお金が増えていく。
われわれみんなは必ず間違いを犯す。みなさんが誤りを減らし、もし誤りを犯したとしても、その代償を小さくする手助けをするのが本書の第一の目的である。
「本書は、投資においてなすべきことと、なすべきでないことの貴重なガイドだ」――レイ・ダリオ(ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者)
「ウォール街やメディアが発するさまざまなナンセンスな投資アドバイスに対する価値あるガイドブックであり、有効なことが証明された投資戦略の実践的な入門書である」――スコット・ギャロウェイ(『漂流アメリカ』[パンローリング]、『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』などの著者兼NYUスターン・スクール教授)
「この世に多くある損をする方法をどうすれば避けることができるのかについて、リソルツはそれらを面白おかしく初心者にも分かるように伝えている」――リチャード・セイラー(行動経済学者でノーベル賞受賞者)
第1部 誤った考え
第1章 お粗末なアドバイス
第2章 メディアの狂気
第3章 詭弁――誤ったアイデアの研究
第2部 誤った数字
第4章 経済の数字が分からない
第5章 市場の騒乱
第6章 株式ショック
第3部 誤った行動
第7章 回避可能な誤り
第8章 感情的な意思決定
第9章 認知障害
第4部 優れたアドバイス
結論
謝辞
注
本書は、リソルツ・ウエルス・マネジメントの共同創業者にしてCIO(最高投資責任者)で、ブルームバーグ・ラジオの番組の司会も務めるバリー・リソルツの著した『How Not to Invest : The Ideas, Numbers, and Behaviors That Destroy Wealth-and How to Avoid Them』の邦訳である。これは、投資の世界において、私たちがいかに「してはならないこと」に無駄な時間やエネルギーを費やし、自らを苦境に立たせているかという厳しい現実を冷静に示している。
日本を代表するクオンツの一人であった私の上司は、かつてこう語っていた。「投資なんてけっして難しいものではなく、理に従い、当たり前のことを普通に淡々とやっていれば自然に結果が出るのに、ほとんどの人はわざわざ奇をてらったことをやって自滅していく。まことに奇妙なことだ」と。
確かにそのとおりだと私も思う。講談「受難の村正」において、師匠正宗の言に従い川底に突き立てた村正の刃に、上流から流れてきた藁屑が触れた瞬間、何の力みもなくそれが自然に二つに切れる描写がある。投資もまたそうあるべきであろう。
忘れがちだが、現代の金融解説のほとんどは専門家の言葉を引用するプロのジャーナリストが行ってきた。専門家たちには、たくさんの聴衆を前に、長時間にわたり規制や編集を受けずに話をする機会はほとんどない。
リソルツは最初にそれを行った人物の一人である。彼は私が高校生だったころから投資に関するブログを書いていたことを指摘すれば、互いに時の流れを感じるだろう。彼のビッグ・ピクチャー・ブログは何年も時代の先を行き、次の二つの理由から現在の金融ニュースの読み解き方をひっくり返した。
典型的な投資本は「ハウツー」に終始する。それらは何十もの章を通じて、経済的に成功するために学ぶ必要がある、あらゆることを教えようとする。この一〇〇の戦略を実行せよ、そうすればお金持ちになれるぞ、と。
この方法論は現実世界ではうまくいかない。たとえすべてを正しく行っても、幾つかの誤りを犯せば、それまでの苦労がすべて台無しになる。
次の真実は直感に反するものだ。誤りを回避することは勝つことよりも重要である。この素晴らしい見識は、チャーリー・エリスが一九七五年に「ザ・ルーザーズ・ゲーム(The Loser's Game)」というタイトルでファイナンシャル・アナリスト・ジャーナルに発表した。投資はテニスのようなもので、ほとんどの人々が凡ミスで負けるとエリスは述べた。「敗者のゲーム」に勝つ方法は単純に失敗を減らすことである。誤りを減らし、相手に自滅させればよい。一〇年後、エリスはこのテーマを著書『敗者のゲーム』(日本経済新聞社)に昇華させた。
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