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ティム・リー/ジェイミー・リー/ケビン・コールディロン/長岡半太郎/山下恵美子 キャリートレードの興隆 金融危機と株価暴落を引き起こす「犯人」が分かった!

キャリートレードの興隆 金融危機と株価暴落を引き起こす「犯人」が分かった!

ティム・リー, ジェイミー・リー, ケビン・コールディロン, 長岡半太郎, 山下恵美子
パンローリング
A5判 270頁 2022年2月発売
本体 2,800円  税込 3,080円  国内送料無料です。
この商品は 明日 発送できる予定です。 (発送可能時期について)
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読者の声

ケインジアンとマネタリストへの挑戦状!
中央銀行の罪

「キャリートレードはスティームローラーの前で5セント硬貨を拾うようなもの。踏みつぶされたくない者は本書を読むべし」――エドワード・チャンセラー(『新訳 バブルの歴史』の著者)

次なる市場暴落から身を守るための画期的な入門書!

この25年間、金融市場は大きく上昇しては暴落するを繰り返してきた。それはなぜなのだろうか。アメリカの株式市場が常に経済成長を上回っているのはなぜなのだろうか。企業が何かに取りつかれたように自社株買いをしているのはなぜなのだろうか。なぜトレーダーは中央銀行の発言を神の言葉のように信じ込んでしまうのだろうか。

これらの問いに対する答えは、世界中の投資家が熱狂的に受け入れてきた広く普及するトレンドのなかに見いだすことができる。そのトレンドとは、低金利でお金を借りて、安定していると思われる市場で高利回りの商品に投資することである。つまり、答えはすべて「キャリーの台頭」で説明がつくのだ。次なる金融危機からあなた自身を守ることができるように、いろいろな事象を結びつけて、事の全容を明らかにしていくのが本書の目指す画期的なところである。

本書で著者は今日の市場の仕組みと、金融危機はなぜ起こるのかを深く掘り下げることで、読者に市場に対するまったく新しい考え方を提供し、投資戦略を見直す機会を与えてくれる。市場の大暴落は景気後退が原因ではなく、むしろその逆で、「市場の大暴落が景気後退を生み出すのだ」と著者は力説する。さらに、著者はキャリー、ボラティリティの売り、レバレッジ、流動性、収益性はすべて同じ現象に収束すると述べている。長期にわたるキャリートレードのプラスのリターンが市場のボラティリティ構造と関係があるのはなぜなのか、そして中央銀行の政策がこれらのリターンを増長させてきたのはなぜなのかについても言及する。また、キャリーの台頭が社会的・政治的病理に直接結びつくのはなぜなのかについても解説する。

「金融市場と経済を決定づける力に関しては従来の考え方には誤りがある」と著者は言う。「したがって、こうした理解では次にやってくる金融危機や経済危機、そしてその影響を読み解くことはできない」と。

本書は何十年にもわたって経済学者たちを惑わせてきた謎に終止符を打つものである。本書は市場のメカニズムをより明確にし、キャリーの台頭によって私たちの知る金融システムが一変した世界で常に時代の先を行くために必要なすべてのものを提供してくれるものだ。


著者紹介

ティム・リー(Tim Lee)
独立した経済コンサルタントであるパイ・エコノミクスの創設者で、ヘッジファンドから伝統的なアセットマネジメント会社までさまざまな金融機関に情報を提供してきた。香港やロンドンのGTマネジメントやインベスコなどのグローバルアセットマネジメント会社に勤務した。高く評価された『Economics for Professional Investors』の著者で、彼のコメントや分析はメディアで幅広く取り上げられてきた。ケンブリッジ大学モードリンカレッジ卒業。

ジェイミー・リー(Jamie Lee)
投資のグルとして知られるジェレミー・グランサムの下で環境調査とボラティリティトレードの研究に取り組んでいる。ボストンやロンドンのアセットマネジメント会社でエコノミストやアナリストとして勤務した経験を持つ。ダートマス大学で数学と英語の学士を修得。

ケビン・コールディロン(Kevin Coldiron)
カリフォルニア大学バークレー校のハース・ビジネス・スクールで金融工学の講師を務める。その前はサンフランシスコを拠点とする定量的ヘッジファンドのアルゲート・コールディロン・インベスターズ(ACI)を共同設立。ロンドンのバークレーズ・グローバル・インベスターズで専務取締役として勤務した。ロンドン・ビジネス・スクールでMBAを修得。


本書への賛辞

「極めて重要で、ほかには類を見ない書だ。FRBが市場に介入し金融市場の信用の流れを維持する政策(モラルハザード)に打って出たとき、われわれの経済に何が起こったのか、そして今日の市場が典型的なバブルとどう違うのか、について著者は一種独特な見解を示している。彼らが提起する疑問は、投資家のみならず、社会全体にとって非常に重要だ」――ジェレミー・グランサム(GMO[グローバルアセットマネジメント会社]の共同創設者)

「本書は金融サイクルと景気循環を分析するうえで、ケインズ経済学的アプローチとマネタリスト的アプローチの両方に挑戦状を突き付けるものだ。明晰な議論とそれを裏付ける統計データとによって、著者は、流動性を生み出し、資産価値を膨張させる『キャリーバブル』と、流動性を枯渇させ資産価値を下げる『キャリークラッシュ』の直後に行われる中央銀行による損失の社会化(損失は社会全体が背負うべき)を結びつけるには、景気循環を抜本的に分析し直す必要があると説く。『キャリー』が実質的にすべての市場に普及した結果、世界の貨幣制度は進化したが、『キャリー』に敵対的な新たな貨幣制度が導入されなければ、世界の貨幣制度はデフレとハイパーインフレとの間で揺れるきわどい状況に立たされるであろう。本書は中央銀行、投資家、学者、政治家にとっても必読の書である」――ジョン・グリーンウッド(インベスコのチーフエコノミスト)

「今日の金融マトリックスの内側を見たいとは思わないか。なぜわれわれはキャピタリストの本懐からこれほど遠ざかってしまったのか。そして、その結果として当然の報いを受けなければならないわけを理解したいとは思わないか。本書は、奇怪な現実がポピュリズムという力によって暴露されるシステムの真実に目覚めさせてくれるものだ」――ヘンリー・マクシー(アセットマネジメント会社・ラッファーのCIO)


目次

監修者まえがき
序文と謝辞
第1章 序論――キャリーの性質
第2章 通貨のキャリートレードと世界経済におけるその役割
第3章 キャリー、レバレッジ、クレジット(信用)
第4章 キャリーの規模とその投資戦略としての収益性
第5章 キャリーのエージェント
第6章 キャリーレジームの基本的な性質
第7章 キャリーレジームが金融界に及ぼす悪影響
第8章 キャリー、金融バブル、ビジネスサイクル
第9章 ボラティリティ構造におけるキャリーを理解する
第10章 キャリーレジームは存在しなければならないものなのか
第11章 キャリーとは力なり
第12章 グローバル化するキャリー
第13章 消失点を超えて

監修者まえがき

本書は、ティム・リー、ジェイミー・リー、ケビン・コールディロンによる“The Rise of Carry : The Dangerous Consequences of Volatility Suppression and the New Financial Order of Decaying Growth and Recurring Crisis”の邦訳である。著者らは、キャリートレード(≒広義のボラティリティの売り)の広範な蔓延がもたらす新しい金融秩序の構造とその潜在的な危険性を解説している。これは、使用可能な各種資源に限界があることが認識され、実体経済の成長に陰りが見えている現在の世界において、金融市場で起こっているある種不可思議な現象を理解するための優れた視点を私たちに与えている。

ここで特筆すべきは、原書が出版されたのは2019年で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がもたらした世界的な危機が発生する前であるにもかかわらず、危機後に金融システムが辿った軌跡がまさに本書で論じられたとおりであったということである。そして、その予測の正確さは、その示唆する結末が万人にとってけっして幸せなものではないだけに、読む者に空恐ろしい気持ちすら起こさせる。

本文中にも詳しく書かれているように、今日のキャリーレジームを支える背景には各国中央銀行の存在がある。彼らは政府から独立した存在として、各々の通貨の健全性や経済の安定・成長に対して責任を負っており、したがって本来その政策は金融システムのレジリエンス(回復力)確保に寄与するものでなくてはならないはずであった。 しかし現実には、ブラックマンデーやリーマンショックといった重大なインシデントが起こるたびに、経済的な破滅から世界を守る目的で中央銀行がとった政策そのものが、返ってより多くのリスクテイクを誘引して金融システムを脆弱にし、次なる危機を招いてきた。このままでは、際限なく拡大するキャリーレジームが内包するリスクを実体経済が支え切れなくなる時がいつか必ず来ることになる。(続きを読む)


第1章 序論――キャリーの性質

この25年間にわたって、株式市場が大きく上昇しては大暴落するのを繰り返してきた。それは、なぜなのだろうか。アメリカの株式市場が、アメリカ経済がよく見てもけっして良いとは言えないにもかかわらず、2007〜2009年のリーマンショック以降、飛躍的に上昇して4倍にもなったのはなぜなのだろうか。企業が実物投資をすることなく、執拗に自社株買いを続けているのはなぜなのだろうか。プロの株式市場投資家やトレーダーが、中央銀行の発する言葉を一字一句、神の言葉のように信じ込んでいるのはなぜなのだろうか。テクノロジーの発展によって世界のどこにでも住め、どこででも働ける時代に、人々が依然としてロンドンやニューヨークといった人口過剰の大都市に住みたがるのはなぜなのだろうか。ポピュリストの政治勢力の台頭をどのように説明すればよいのだろうか。 (続きを読む)
(ウィザードブックシリーズ325)

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