あなたの資産は「こう守りなさい！こう殖やしなさい！」

「銀行が破綻したら――預金は？　ローンなどの借金は？　マンション管理費は？」……ペイオフ解禁を控え、預金者から預金保険機構への問い合わせが急増しているようです。2001年4月から12月までの問い合わせ件数は１万1000件だったそうですが、前年同期比で、その３倍にも達しているといいます。ペイオフに対する預金者の不安や、どう対応すればいいのか困っている姿が想像できます。

では、ペイオフとは何なのか。ペイオフの何が、預金者を悩ませるのか。それは、ペイオフ解禁で自分の貴重な財産が泡と消えるかも知れないからです。しかし、誤解していけないのは、金融機関が破綻した場合、直ちにペイオフが発動されるわけではない、ということです。金融機関が破綻した場合、いままでは、預金は国が全額保護していました。しかし、4月以降は、1000万円とその利息は最低限補償するが、それを超える部分についてはカットされることになるのです。

ペイオフ解禁に備えて、政府や金融機関はいろいろ対応策を練っています。では、私たち預金者はどうなのでしょう。先の預金保険機構への問い合わせでもわかるように、ペイオフについて十分な知識を持っている人は意外にも少ないようです。そのことを裏付ける数字があります。

2001年9月、日銀広報中央委員会がペイオフに関して行った調査によれば、「聞いたことがない」が29.7％、「聞いたことはあるが内容は知らない」が37.1％となっています。ＮＨＫも同じような調査を行っていますが、ペイオフを知っている人は60％、その対応をしている人は、わずか10％です。これは深刻な状況といわざるを得ません。金融機関が破綻しなければ、どんなに預金していても大丈夫です。ペイオフも関係ありませんし、資産をどうするか悩む必要もありません。しかし、1990年以降、大手銀行を含め金融機関の倒産は少なくありません。かつて信じられていた「金融機関は潰れない」という神話は、すでに崩壊しています。

このような状況を目の当たりにして、預金者はただ黙って手をこまねいているわけにはいきません。預金防衛策を徹底的に研究して、ペイオフに備えなければならないのです。たとえば、預金者は金融機関を厳しい目で選択したり、１つの金融機関に資産を集中させず分散する、あるいは信用のない金融機関から他の金融機関へ資産を移し替えるなど、何らかの手段を講じる必要があります。つまり、「ペイオフなんか怖くない」といえるくらいの十分な知識を身につけておくことが求められているのです。

本書は、ペイオフの仕組みやその内容について解説すると共に、金融機関の選択の仕方、ペイオフ解禁後の新しい資産運用の方法などについて述べています。ペイオフ解禁後は、自分の財産は自分で守るという、自己責任の原則が強く要請されます。本書が、ペイオフ解禁後の資産を守ると共に、積極的に資産を殖やすことに少しでも役立てば幸いです。

※本書では「銀行」は預金保険機構加盟金融機関をいい、「預金」とは銀行預金のほか、 個人向け金融債、元本補償付き金銭信託（ビッグなど）を含んでいます。

（以上、本文より抜粋）

<目次>

ＰＡＲＴ１　ペイオフ解禁であなたの資産はどうなるか
ＰＡＲＴ２　ペイオフでも安心できる銀行の見分け方
ＰＡＲＴ３　資金の運用方法を見直す
（ローリスク編）……ステップ（1）
ＰＡＲＴ４　資金の運用方法を見直す
（ハイリスク編）……ステップ（2）
ＰＡＲＴ５　ペイオフ解禁後の資産運用を見直す
ＰＡＲＴ６　それでも銀行が破綻したらどうする！？

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