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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2020/05/25 15:22, 提供元: フィスコ

米中どちらに軍配?WHO総会で習近平スピーチ、トランプ警告書簡(1)【中国問題グローバル研究所】

*15:22JST 米中どちらに軍配?WHO総会で習近平スピーチ、トランプ警告書簡(1)【中国問題グローバル研究所】
【中国問題グローバル研究所】は、中国の国際関係や経済などの現状、今後の動向について研究するグローバルシンクタンク。中国研究の第一人者である筑波大学名誉教授の遠藤 誉所長を中心として、トランプ政権の ”Committee on the Present Danger: China” の創設メンバーであるアーサー・ウォルドロン教授、北京郵電大学の孫 啓明教授、アナリストのフレイザー・ハウイー氏などが研究員として在籍している。関係各国から研究員を募り、中国問題を調査分析してひとつのプラットフォームを形成。考察をオンライン上のホームページ「中国問題グローバル研究所」(※1)にて配信している。

◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している遠藤 誉所長の考察を2回に渡ってお届けする。

―――

18日、WHO総会オンライン会議で習近平がスピーチしWHOの調査を承諾し、2年間で20億ドル拠出するとしたのに対して、トランプはWHOが30日以内に中国寄りを改善しなければ拠出金を停止し脱退する可能性を示唆した。

◆習近平のスピーチのために関係国首脳に声掛け
これまでWHO総会に関係国首脳がスピーチをするという例はあまり見られない。

しかし今年は習近平のスピーチを可能ならしめるために、敢えて関係国首脳にビデオメッセージの形で開会の挨拶を冒頭に盛り込んだとしか解釈できない。

開会の辞を述べたのは順番に以下の首脳たちである。

スイス大統領:シモネッタ・ソマルーガ
国連事務総長:アントニオ・グテーレス
中華人民共和国国家主席:習近平
フランス大統領:エマニュエル・マクロン
韓国大統領:文在寅
ドイツ首相:アンゲラ・メルケル
バルバドス首相:ミア・モトリー
南アフリカ共和国大統領:ラマポーザ
WHO事務局長:テドロス・アダノム
この顔ぶれを見て、何を推測することができるだろうか。

先ず、「おやっ?」と思うのは、これまでは各国首脳がこのように揃って開会の挨拶をするなどということはなかったということだ。

なのに、なぜ今年はかくも多くの大国を含めた関係国首脳が開会の挨拶をしたのだろうか?

常識的には二つのことが考えられる。

一つは戦後初めての大規模なパンデミックが起きていること。

二つ目は、まだそのパンデミックが収まっていないために、各国首脳が開催地まで足を運ばなくても、ビデオメッセージを送れば済むからだということだ。

これは弁解しやすい理由になるだろう。

◆実はトランプ大統領は断るだろうことが計算されていた
しかし、納得いかないのは世界最大の大国でWHOへの拠出金も最大であるアメリカのトランプ大統領の冒頭あいさつがないことである。

中国の数千年にわたる戦略を心得ている者なら、「ピン!」と来るはずだ。

手順としては、先ず中国のWHO関係者がテドロス事務局長(あるいはその部下)に以下のように持ち掛ける。

習近平がWHOでスピーチできるチャンスを作って欲しい。なぜならアメリカは習近平とテドロスが全人類に被害をもたらしたと攻撃しているので、二人で対抗していこう。
そのためには、先ずトランプにビデオメッセージを送って欲しいという依頼状を出すことだ。トランプはあれだけWHOを攻撃しているので、必ず断ってくるだろう。
それを見込んで、習近平を含む西側諸国の首脳や発展途上国の首脳などに依頼状を出す。国連のグテーレス事務総長にも依頼して、非常に平等に声がけしている形を創り上げる。
そこでスイスのジュネーブで開催されるのだから、1番目にスイス大統領がスピーチをするのは自然だ。次に国連事務総長。その次に習近平なら誰も文句が言えず、しかも関連各国としては「トップ」で話をしたことになりインパクトがある。
中国ならば、これくらいの戦略は練る。

テドロス側には、こういった中国流の頭が働くとは思いにくい。

トランプは、まずこの段階から中国の戦略に嵌(は)められたと見ることができる。

その証拠にアメリカのニュースサイト「アクシオス(axios)」は“Scoop: Xi accepts, while Trump rejects, invite to address WHO”(スクープ: WHOのスピーチ招待、習は承諾し、トランプは拒絶した)(※2)というスクープ報道をしている。

トランプは拒否せずに、むしろ受けて立って、堂々とWHO批判をしたり、習近平の責任を追及すればよかったと、個人的には思う。しかしトランプの性格から言って、必ず拒否するだろうと計算できたのが中国5000年の歴史がもたらす百戦錬磨の「戦略」の要だと言っていいだろう。

◆習近平は2年間で20億ドル拠出と発表:キーワードは「人類運命共同体」
習近平はスピーチで「中国は責任ある態度で一貫してWHOや各国と適時情報共有した。

途上国の感染対策に今後2年間で20億ドル。ワクチンの開発に成功すれば国際公共財にする」という趣旨のことを言っている。

アメリカはこれまで年間4億5千万ドルをWHOに拠出し、その額は全体の約15%に及ぶ。中国など僅か0.2%に過ぎず比較の対象ではなかった。それでも採決で有利な方向に持って行けたのはWHO参加国の中の発展途上国などに開発資金援助をしているからだ。特に一帯一路を動かし始めてからの「金による抱き込み」は露骨になっている。

だからこそ今般の習近平スピーチの最大のキーワードは「人類運命共同体」だ。これに注目しなくてはならない。

この言葉はトランプがグローバル経済に背を向け、「アメリカ・ファースト」を言い始めてから、その対立軸としての中国を際立たせるために生み出した外交スローガンである。

(本論はYahooニュース個人からの転載である)

「米中どちらに軍配?WHO総会で習近平スピーチ、トランプ警告書簡(2)【中国問題グローバル研究所】」へ続く

写真:picture alliance /アフロ

※1:https://grici.or.jp/
※2:https://www.axios.com/trump-xi-world-health-organization-china-coronavirus-79b39227-e9af-4b89-ad3b-42aa2ae55c1b.html?utm_campaign=organic&utm_medium=socialshare&utm_source=twitter


《SI》

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