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浜口流コア・サテライト株式運用戦略の実践
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第40回 空売りを一部手仕舞い/全体相場はコツンとくるのか

2022.10.24


<著者プロフィール> 浜口準之助(はまぐち・じゅんのすけ)

黄金サイクルと農耕民族型投資戦略 約15年にわたり機関投資家のファンドマネージャーとして株式運用に従事。信託銀行などで主に年金資金の日本株運用を行う。その後約14年にわたり投信運用会社にて投資環境のセミナー講師に携わる傍ら個人投資家として株式運用を行い、「億り人」の仲間入りを果たす。「浜口流コア・サテライト戦略」を提唱し自らも実践している。「醍醐味に満ちたライフワークとして、株式投資に勝るものなし」との基本観から、個人投資家に実践的な株式投資手法の研究を続けている。 社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『黄金サイクルと農耕民族型投資戦略』(パンローリング刊)、ブログ 浜口準之助のテツ・ホテル・グルメ・株式運用 をほぼ毎日更新中、こちらでは旅の話もしている。




 浜口です。まずは今回も2週間ごとの定点観測を。前回の当ブログのアップ日(2022年10月11日)以降の「浜口流コア・サテライト戦略」銘柄について、上は株価が10月6日時点、下はその2週間後、株価が10月21日時点のデータです。この二週間の断面で見れば、高配当利回り銘柄は下落、海運株は上昇、経済再開銘柄はまちまちであったことが見て取れます。

コア・サテライト戦略 株式銘柄群
10月6日時点

コア・サテライト戦略 株式銘柄群
10月21日時点

 ここ2週間で私が行った売買について。既に空売りしている9101日本郵船と9104商船三井、そしてこの表にはありませんが8035東京エレクトロンについて、ここもと、空売り玉をほぼ半分、手仕舞いしています。後述します。

 日本株の相場観については、基本、変化なしです。米国ではインフレ懸念の加速対応のため、FRBによる0.75%の利上げが3回連続で行われ、次回11月のFOMCでも0.75%の利上げが有力視されています。この状況を受け、米10年債は10月21日時点で4.25%と金利上昇が加速、これを受け一時150円台まで円安ドル高が進みました。

 日本株については、ここで紹介している高配当バリュー銘柄については。ここからは底値を固め、再度上昇に転じていく動きになると考えます。

 以下は8316三井住友FGの過去6か月の推移、株価は10月21日時点の日足です。配当権利落ち後に株価が一旦下落し、以後小動きとなる。これは高配当利回り銘柄権利落ち後の典型的な動きで、1〜2ヶ月は続き、どこかで底打ち反転する。そんな展開を予想します。

8316三井住友FG

 次に8801三井不動産買いと8802三菱地所売りのさや取りについて。 グラフをご覧ください。

8801三井不動産買いと8802三菱地所売りのさや取り

 10月7日時点での過去5日の両銘柄のさやを示したものです。やはり前回の当ブログでは「さやの動きにリズム感が出てきたように思われ」たとし、「このタイミングで地所売り・三井不買いの仕掛けを行う価値ありと判断します」と書きましたが、今回はこの逆、「三井不売り・地所買い」の仕掛けを行う良いタイミングが来ている思われ、実際、私はこの日の大引けでこの仕掛けを行いました。

8801三井不動産買いと8802三菱地所売りのさや取り

 10月21日時点での過去5日の両銘柄のさやを示したものです。両銘柄のさやは見事に縮小、利確しました。またも成功事例と言えます。現状は、次のさや取りのタイミング待ちの状況です。「さやの動きにリズム感が出てきたように思われ」たとした両銘柄の株価の動きに変化はないと考えます。

 さて、今回のテーマについて。「空売りを一部手仕舞い/全体相場はコツンとくるのか」について、考えていきたいと思います。

 前述の通り、私は現在半導体製造装置株と海運株。具体的には東京エレクトロンと日本郵船と商船三井ですが、空売り玉を半分手仕舞いしています。遺憾ながらこれら銘柄は、下げトレンドが終了しつつある可能性が出てきたと考えるからです。なお株価については、以下の日経smartchartをご覧ください。

 海運株については、以下の野村の10月14日付けレポートが示すとおり、株価がスムーズに下がらない現実があります。私は売り玉は手仕舞い方向、10月31日の商船三井の今中間期の業績発表に対する株価の反応を見極め、「行ける」と思ったら、再度空売り玉を建てようと思います。

海運株 10月14日付レポート

 東京エレクトロンについては、前回の当ブログでも書いていますが、ファンダメンタルズは悪化しています。そんな中、なぜ空売り玉を手仕舞いする方向なのか。それは、大和証券木野内さんの10月20日付けレポートの以下、ピンクのマーカー部分にヒントがあります。

中間選挙の年の安値は10月までに終えることが多い 10月20日付レポート

 米国では「Sell in May and go away」、但しこれに続けて「But remember to come back in September」とあり、9月頃には株価が底を迎える傾向があることから、そのころに再び市場に戻ってくることを忘れないように、との格言があります。木野内さんがこのレポートで書いている内容は、この格言と整合的です。

 そしてあらためて、レポートをご覧いただきたいのです。特に中間選挙の年、今年がまさにそれに当てはまるわけですが、10月以降のNYダウ・6カ月パフォーマンスを見ると、とても高くなる傾向があることがわかります。つまり現状、特に11月以降は、米国株価は上昇する可能性が高いのではないか。そうなった場合には、日本株も同様の展開となることが想定できるわけです。この場合8035東京エレクトロンは、ファンダメンタルズが悪くても、上昇に転じる可能性があります。何故か。仮に日経平均が上昇した場合、このインデックスは225銘柄の単純平均であるため、裁定買いによりパフォーマンスが最もポジテイブな影響を受けるのは9983ファストリテイリング、その次が8035東京エレクトロンなわけです。値嵩株で日経平均採用銘柄であるからですね。

 以上から、これは繰り返しになりますが。私はファンダメンタルズが悪いにもかかわらず、日経平均全体が上昇する中で、東京エレクトロンも裁定買いで上昇する可能性が否定できないと考え、売り玉は既に半分手仕舞い、相場を見ながら、場合によっては、全て手仕舞いしてしまうことも視野に入れています。 どうなることでしょうか。

 なお皆さんの株式運用は、くれぐれも自己責任でお願いします。ここは再強調させていただきます。以上です。今回はこの辺で。みなさんの株式運用の参考になれば幸いです。


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