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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/11/25 10:23,
提供元: フィスコ
高市発言に習近平はなぜここまで激怒するのか? 日本は台湾問題を口実にせず防衛力に戦略を(1)【中国問題グローバル研究所】
*10:23JST 高市発言に習近平はなぜここまで激怒するのか? 日本は台湾問題を口実にせず防衛力に戦略を(1)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)遠藤 誉所長の考察を2回に渡ってお届けする。
11月7日における高市総理の国会答弁に対して習近平が烈火の如く怒っている。そのために中国が次々にくり出す日本叩きカードに関しては広く報道されているし不愉快なので、ここでは触れない。本稿では、「習近平がなぜそこまで激怒しているのか」を考察し、もし日本がどうしても防衛力を強化したいのなら「日本は台湾問題を口実にせずに日本独自の防衛力を強化すべきなのではないか」という論を張りたい。
第二次世界大戦で敗戦国となった「日独伊」3ヵ国のうち、自国の軍隊を持っていないのは日本だけだ。それこそが逆に異様なのであって、この異様な日本の国防状況をもたらしているのは、戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の統治下(実際はアメリカの占領・統治下)で日本国憲法が作られたからに他ならない。台湾問題を口実にして安保法制を論じること自体、筋違いだ。
もっと堂々と正道を歩むべきではないのだろうか。
◆習近平は高市発言の、どの部分に怒っているのか?
高市総理は11月7日の衆議院予算委員会における立憲民主党の岡田委員の存立危機事態に関する質問に対して、「たとえば海上封鎖を解くために米軍が来援をする、それを防ぐために何らかの他の武力行使が行われる。こういった事態も想定される」と前置きした上で、中国の台湾統一に言及し、「たとえば台湾を統一、完全に中国北京政府の支配下に置くようなことの為にどのような手段を使うか、それは単なるシーレーンの封鎖であるかもしれないし、武力行使であるかもしれないし…」と答弁し、「それがやはり戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これは、どう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考えます」と続けた。
中国はこれに対して激しく反応し、留まるところを知らない。
習近平が激怒しているのは、言うまでもなく、高市答弁の
A:台湾を統一、完全に中国北京政府の支配下に置くようなことの為にどのような手段を使うか。
B.それがやはり戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これは、どう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考えます」
に対してだ。
Aに関しては、「中国にとって、台湾はあくまでも中華民国時代における国共内戦の延長戦上にあり、他国に指図される覚えはない」という大原則がある。特に1972年の国交正常化における日中共同声明(※2)で、日本国は中国(中華人民共和国)に対して
二、日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。
三、中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。
と誓い、署名捺印している。
したがって、発言Aからして、すでに内政干渉だと中国は受け止めている。
筆者自身、国共内戦中の1947年から48年にかけて中共軍による長春包囲作戦によって包囲網の中で家族を餓死で失い、国共両軍の空間地帯であった「チャーズ」に閉じ込められ」餓死体の上で野宿させられた経験を持っている。その原体験から見れば、台湾は「長春包囲作戦」で敗退した蒋介石率いる国民党軍の終着駅であって、国共内戦はまだ終わっていない。朝鮮戦争勃発により中断されたまま、こんにちに至っている。
日本は1945年8月の敗戦により関東軍司令部の関係者は一般の日本人を見捨てて日本に引き揚げ、1946年には在中国の一般の日本人も、特定の日本人技術者以外は基本的に日本に引き揚げることができたので、現在の日本政府も、中国人が持っている「台湾は国共内戦の終着駅」という大きな事実を認識することができないようになってしまっていると思う。
日本政府は、まずこの絶対的事実を深く認識した方がいいのではないだろうか。
それは日本の一般庶民の生活を守るための「戦略」として必須だと思われる。
Bに関しては、中国は台湾を統一するときに「武力攻撃」をするというのは現時点では考えにくく、「長期的大規模軍事演習」を、台湾を囲む形で行なうと考えられる。2週間ほど「軍事演習」をすれば、台湾はエネルギー源が枯渇して白旗を挙げる可能性が高い。
そのことは拙著『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り出すのはCIAだ!』で書いたし、2024年5月26日の論考<アメリカがやっと気づいた「中国は戦争をしなくても台湾統一ができる」という脅威>(※3)でも書き、また2024年10月18日の<中国、台湾包囲軍事演習 シグナルの一つは「アジア版NATO」への警告か?>(※4)でも少し触れている。
それなのに、高市総理が「それがやはり戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば」と答弁しているのは、高市総理を応援している者の一人として残念に思う。
軍事演習で飛ぶ「砲弾」は「武力行使」ではない。
日本も日米軍事演習などに参加し、その際に近代的な最先端の「砲弾」を使用するだろう。それは「武力行使」ではない。
中国は「武力行使」と非難されないようにするために「軍事演習」という手段を使うという戦略を描いている。なぜなら万一にも統一されたときに、武力攻撃などをしたら台湾の人々が中共政府に従うわけがないし、半導体産業の最先端TSMCを「傷を付けずに中国が頂く」ということもできなくなるからだ。
国際社会では「軍事演習」に対しては、いかなる他国も干渉できないのが通例だ。
高市総理周辺は、中国のこの戦略に関して高市総理に情報提供をしていないとすれば不勉強で、これでは高市総理を守ることができない。
もっとも高市総理が「戦艦」という、第二次世界大戦後、今では世界のどの国も使ってない軍艦の艦種を、これまでも何度も使って「存立危機事態」を説明しているところを見ると、防衛相も外務省も「奉仕できない」形で高市総理の独断で「国家の代表である総理として」国会答弁をした可能性がある。
それが日本の庶民生活に甚大な影響をもたらすに至ったのは、高市内閣全体の責任かもしれない。
◆なぜ中国は日本だけをターゲットにするのか?
中国はバイデン元大統領が5回も「中国が台湾を武力攻撃したら米軍は台湾を支援する(not=米軍を派遣する)と豪語していたのに、そのたびにアメリカに対して激しい抗議活動を展開していたかと言うと、そうではない。
なぜか?
それは第二次世界大戦で、アメリカは中国を侵略した国ではないので、アメリカに対して「中華民族の屈辱」を味わったとは思っていないからだ。何なら習近平は9月3日の「抗日戦争勝利80周年記念」で、アメリカを「反ファシスト戦争の仲間」として讃えたほどだ。
日本だけをターゲットにするのは、第二次世界大戦で日本が中国を侵略したからだ。
もちろん中国共産党軍を率いていた毛沢東は日中戦争中、日本軍と結託して中国人民を裏切っていた。そのことは2024年8月16日の論考<中国共産党には日本に「歴史問題を反省せよ」という資格はない 中国人民は別>(※5)で書いたし、拙著『毛沢東 日本軍と共謀した男』で詳述した。
しかし、中国人民、一般庶民の感情としては侵略されたときに受けた数多くの心の傷跡があり、少しでも火を点ければ燃え盛り始める。それも江沢民が「反日教育」を始める前までは日本に憧れる中国人が多かったが、火を点けてしまったので逆戻りは出来ない。この終戦と逆行して燃え始めた「民族の怒り」を習近平政権も受け継ぐしかないのである。そうでなければ中国を統治することができない。
だから高市発言のように「着火点」的役割をする事態が発生すれば、いつでも燃え上がる態勢でいなければならないのが、現在の中国だ。
「高市発言に習近平はなぜここまで激怒するのか? 日本は台湾問題を口実にせず防衛力に戦略を(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。
この論考はYahoo!ニュース エキスパート(※6)より転載しました。
習近平国家主席(写真:ロイター/アフロ)
(※1)https://grici.or.jp/
(※2)https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/nc_seimei.html
(※3)https://grici.or.jp/5278
(※4)https://grici.or.jp/5692
(※5)https://grici.or.jp/5541
(※6)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/40aec9b3e178b4e12608ee4c1584305415f6e95c
《CS》
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