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真っ当な株式投資

板倉雄一郎事務所 日経BP

「主旨は理解できるが、見解が異なる部分も」

 投資の本質やその本来的意味について、わかりやすい例え話なども交えながら解説した内容。基本的な立場として長期バリュー投資を推奨している。   全体に平易な言葉でわかりやすい記述がなされており、これから株式投資を始めようとする人や投資初心者は読んでおいていい内容だと思われる。株式への長期投資は「人」への投資であるといった指摘は納得しやすいもの。

 ただ、この対極にあるものとしてデイトレードについては批判的な見解が述べられているが、これについては私自身はかなり違和感があった。

 まず、デイトレードは社会への価値提供がないとされているが、そうだろうか?。無論、著者が本来の投資として説明されている内容からすれば、こうした見解も成り立つ。が、デイトレードにより売買高が増加することは、少なくとも流動性の向上という点では意味があるし、売買を行うことにより証券会社に対しては売買手数料を支払うことになる。ゼロサムゲームであること、損をする可能性が高いことは、デイトレードの特性ではあるが、問題点ではない。

 私自身、常に相当程度のポートフォリオを維持しているという点では長期投資を行っているつもりであり、その銘柄選択の視点は著者が指摘しているものに近い。が、平日、在宅している時などにまれにデイトレードを行うこともある。専業のデイトレーダーというのは安定的な収入を得るという意味では極めて厳しい仕事だと思うが、多くの個人投資家は私と似たようなものではないかと思う。長期投資とデイトレードに代表される短期投資は、どのような視点からそれを見るかによるが、一概にどちらがよくてどちらが悪いと言えるものではない。以前の売買手数料が割高であった頃と比較すればデイトレードでそれなりの利益を挙げられる可能性は高まっている。デイトレードという投資方法を取るかどうかは、個々の投資家が判断すればいいだけのことであり、そこに「真っ当」な投資の視点から批判的な見解を行うことにはあまり意味があるとは思われない。

 また、投資対象をよく知れば集中投資の方が適当であると読める記述があるが、これについても疑問がある。(但し、集中投資か分散投資かどちらが適当かについては「どちらでもない」(一概に言えない)という前提については同意するが。)いくら投資対象について正確に深く理解していたとしても、集中投資を行うことは、(無論、その程度にもよるが、)リスクを高める行為であるという面はある。私たちの明日の新聞を今日読むことはできないのだから、予期せぬできごとにより、集中投資を行った結果、大きな損失を被る可能性を排除しきることは不可能であり、そうした意味で、集中投資は分散投資よりもやはりリスクは高い。

 本書は株式投資についての考え方を知るという意味では有用であるが、著者自身の言う長期バリュー投資についての具体的な方法論はほとんど述べられていない。実際の投資手法を理解するという点で、本書はあまり役に立つとは思えない。  「爆騰」「らくらく大儲け」「○億円!」といった「とんでも」系の本は、私自身も百害あって・・・、だと思う。そうした書籍と比較すれば本書は「良心的」ではあるだろう。が、多くの投資家が求めているのは、別に「真っ当」な投資をすることではなくて、投資によって利益を得ることである。そうした意味では、著者自身の具体的な銘柄選択の方法や投資手法についての詳細な続編を期待したいところである。

(ふしみん 40代 公務員)


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