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規律とトレーダー

マーク・ダグラス, 関本博英 パンローリング

本書はマーク・ダグラス氏の1990年発刊の処女作であり、名書「ゾーン」の先行書籍です。
改めて著者の偉大さに感動しました。
本書は4部構成となっており、取り分け第3部「自分を理解するための心のあり方」は圧巻です。
「あなたの心は病んでいますよ。心の取り扱い説明書をちゃんと読みましたか。心も大人になっていますか。」と説くアルボムッレ・スマナサーラ長老のブッダの教えとだぶります。(「心は病気」「怒らないこと」など)

また、これまで語り尽くされてきた成功法則は「強く願う」「明確な将来計画を立てる」「目標を視覚化する」「前向きな発言」などですが、これらを実行することではたして成功できたでしょうか?これらをただ真似しても成功などできません。 なぜなら、成功法則とは一人ひとり皆違うのですから。 著者のいうこの「心のあり方」を見つめなおして初めて道が開けるのだと思います。

「ゾーン」ではあえて学術的な説明方法を取り、第5章認識の力学、第8章信念の役割、第9章信念の性質、第10章信念がトレードに及ぼす影響の各章が独立しているがゆえに難しい、解りにくいとの評価(少数意見かもしれませんが)につながっているのではないかと思います。 しかしよく読めば本書が先行書であり第3部を理解しているとの前提で「ゾーン」の上記内容構成になっているのだと理解できます。
相場の世界はプロもアマもありません。プロ試験がないがゆえに第1部でのトレード倒産体験を赤裸々に綴り、第2部ではマーケットを見つめなおすことが書かれています。 第4部が「ゾーン」カジノ的経営の確率に基づくトレーダー思考に昇華したものと推測します。

もし相場においてもプロ要件としてスポーツや将棋の世界のように心技体の一定の水準を明示されていたならば、本書は誕生しなかったのではないかとさえ思います。 なぜならどのプロの世界においても果てしない壁だけが存在し、プロになるための道しるべは存在しません。
著者の血のにじむような努力によって、相場のプロとしての道しるべが提示されたことで、多くの人々が「規律は重要だ」と語る要因になっているのではないかと思います。 「規律とトレーダー」「ゾーン」はタイトルこそ違いますが、上下巻のワンセットとして読まなければ価値が半減します。
また驚くべきことですが、著者のこの2冊は天才棋士7冠達成の羽生義治氏の「決断力」の内容とほぼ同じです。

知識は知恵に変えてこそ自分の力になる。
決断は、怖くても前に進もうと言う勇気が試される。
感情のコントロールができることが、実力につながる。

プロらしさとは、力を瞬間的ではなく、持続できることだ。などの章はそのままだぶります。天才が語るがゆえに読み流してしまいますが、著者の書は実践の書として大いに活用できると思います。 マーク・ダグラス氏はお釈迦様の教え、天才棋士の思考方法を示唆してくれています。 「規律とトレーダー」「ゾーン」は真理の書であることは間違いなく、相場の書・人生の書として将来に永く読み継がれるものであると思います。

(SK様 45歳 自営業)


投資、トレードについての心理学的立場からの分析は従来から興味がある分 野だったため本書を読んでみた。 全体として、具体的な事例があまりなく一般論的記述が多い印象があり、読 みこなすには、書かれている内容を自分に置き換えながら考えてみる必要が ある。そういう意味では必ずしも読みやすい内容であるとはいえないが、指 摘されている内容は興味深く、また有益なものが多いと感じた。

投資を行っていれば、自分の持ち株、あるいはショートポジジョンを取って いる銘柄の値動きが気になってしょうがない、それも利益が増大する期待感 よりも損失が出ている、それが拡大しているのではないかという不安感から、 という経験をした人は少なくないはずである。そもそも、自分自身の心がそ のような状態に支配されているのであれば、冷静な判断がとりにくくなるの は自明の事である。しかし、自明の事であっても、冷静な心理状態を保つこ とはそうたやすいことではない。

また、最初は自分でトレードの具体的な方針やプランを考えていたのに、 いざ実際にそれを実行に移す、証券会社に電話をしたりオンライントレード でキーボードを叩いたりするその瞬間にそれを変更してしまったような経験 はないだろうか。なぜこういうことになってしまうのか?。

本書の冒頭では、市場での常識と一般社会での常識の違いについてふれてい る。言われてみれば当然のことではあるが、いわば「目からうろこ」的な感じで 本書の指摘は新鮮に感じた。

つまりは一般社会での常識や感覚にとらわれたままで市場とつきあうのは、ど うしてもそうなりがちなところはあるのだが、トレードで勝つためには適切な立場、 態度ではないということである。

責任転嫁をせずに自己責任の原則を強く自覚すること、恐怖感をとりのぞい て冷静な心理状態で市場を見てトレードを行うことなど、つまりは自分とマ ーケットとの距離の取り方やその理解の仕方について、短い言葉でまとめて しまうと常識的なことになってしまうが、これと関わる心理状態の意味などにつ いて本書では示唆に富む指摘が多くあった。

本書を読みこなしながら、自分のトレードとその時の心理状態などをふりかえっ てみることは有益だろう。

(ふしみん 40代 公務員)


[オーディオブック] 規律とトレーダー 相場心理分析入門

トレードに心理的な要因で、損大利小になる事が多く。この本に書かれていた事が、実際に自分にも思い当たることが多い。

特にこの夏のサブプライムショック後のトレードでは、この本に書かれている「テクニカル的要因は、2割で心理的要因は8割」ということがひしひしと感じることがたびたびある。

通常の社会生活では、常識のことが、トレードには非常識なことが多く、そのところを改善しなければ、相場には勝てないということも大変勉強になった。

この本は、常に新しい発見があり、一度読んで終わりではなく何度も繰り返し、熟読し、自分の心に完全に把握していきたい。そうすれば、相場に負けなくなる事も不可能ではなくなるのではないかと思う。

(40代 自営業 男性)


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