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ジム・クレイマーの株式投資大作戦

ジム・クレイマー 日本経済新聞社

まず印象に残るのは、表紙にのっているジム・クレイマーの似 顔絵です。プロレスラーかと思わせるような風貌ですが、敏腕 ヘッジファンドマネージャーとしての手腕を発揮し、今では、 人気テレビ番組の司会者などとして活躍しているようです。彼 は、あの2000年のITバブルの崩壊を見事に言い当てたと、何 回も本の中で言っています。それだけでも、普通の株式評論家 などとは違っていることがわかるでしょう。

この本は、400ページ以上あり、図やグラフはありませんが、 他の分厚い投資本に比べると、読みやすいです。彼が一般市民 を相手に株式投資を手助けすることをモットーとしていること で、あまり難解な文章だと、一般市民から敬遠されてしまうと いったこともあるからでしょう。

彼の投資法は、けっこう個性的です。まず、テクニカル分析は 、くそくらえだ!といっています。彼の妻も、トレーダーだっ たのですが、妻のほうは、テクニカル分析は著者のように全否 定せず、参考にはなるといっています。著者は、妻(著者は女 神といっています)から学んだことが多いといっています。そ れだけ妻が優秀なトレーダーだったということなのでしょう。 また、資金の8割は安定した配当をだす優良な株に、あとに2割 は、大化けの可能性のある株に投資せよといった、普通とはや や趣の違ったことをいっています。それにより、著者はヘッジ ファンドで高パフォーマンスを維持してきたといっています。

彼の具体的な投資法では、企業の期待収益率とPER、借金が 多くないなどといったことが投資する上で大事だといっていま す。また、その企業が買収されるほど魅力的な価格かというこ とも大事だといっています。

また、著者の投資の失敗例もいい手本になるかもしれません。 ひとつは、好業績なのに、なぜか株価が下がっている株をピラ ミッド型にナンピンしていったが、なぜか下がり続けている。 ついには著者が「もう売ろう」といったところで、妻が全力で 買いといったのだ!結局は、その後株価は急上昇し、軍配は妻 に上がりました。もうひとつは、ヘッジファンドマネージャー として、かけだしのころの筆者が、業績が悪化した企業を空売 りしたときでした。いくら空売りしても、株価は上がり続ける 。しまいには、踏みあげられた高値で買い戻しとなってしまい ました。実は、他のトレーダーは、著者が空売りしているとい う情報を聞いて、みなでその株を買いあげていたということで した。しかし、著者は、この失敗以来、もっと安全な方法をす るようになったということです。

全体的には、参考になるところと、あまりそうではないところ があるかと思いますが、一読する価値は十分にあると思います。

(bblue 30代 会社員)


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