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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2026/07/06 12:03,
提供元: フィスコ
矢作建 Research Memo(3):建築・土木・不動産の3事業がバランス、事業間のシナジーも発揮
*12:03JST 矢作建 Research Memo(3):建築・土木・不動産の3事業がバランス、事業間のシナジーも発揮
■事業概要
1. 事業基盤と独自の強み
矢作建設工業<1870>は、東海エリアを基盤としながらも、リニア中央新幹線の開業を見据えた経済圏の拡張を推進している。同社の競争優位性は、1) 地域基盤を生かした独自のネットワークと、2) 事業間のスムーズな連携の2点に集約される。1) は、地域に根ざした活動を通じて、行政や地場企業との密接なネットワークを構築し、この基盤により、用地開発や民間プロジェクトの創出において、他のゼネコンとは異なる独自の強みを発揮している。加えて、名古屋鉄道との長年にわたる信頼関係を背景とした鉄道関連の特殊工事にも強みを持つ。2) では、設計・施工一体の提案力による高付加価値型の事業展開に加え、産業用地の造成工事(土木事業)・販売(不動産事業)から、同地での建設(建築事業)へと展開するなど、事業間のシナジーを効果的に発揮している点も強みとなっている。
2. 事業構造のバランス
2026年3月期における売上構成は、建築事業が66.3%(前期比4.8ポイント上昇)、土木事業が22.3%(同0.6ポイント低下)、不動産事業が11.4%(同4.3ポイント低下)を占めた。売上総利益の構成比は、建築事業が42.6%(同18.5ポイント上昇)、土木事業が30.1%(同1.6ポイント低下)、不動産事業が27.3%(同16.9ポイント低下)である。このように、3事業は異なる特性を持ちながらも連携し、バランスのとれた収益構造を形成している。売上構成は変動するものの、利益面ではバランスを意識した事業運営により、安定性の高い収益基盤を築いている。
3. 事業別概要
(1) 建築事業
建築事業は、同社の中核を担う事業であり、物流施設、マンション、オフィス、商業施設、工場など、多様な建築物の設計・施工を一貫して担う点を強みとする。東海地域では大手設計事務所とも比較しうる規模の設計スタッフを有し、顧客と密接に連携しながら、ともにプロジェクトを“創り”上げるスタイルを追求する。こうした取り組みにより、設計施工一括受注の比率は全体の90%を超える水準となり、同社の高い利益率の源泉となっている。設計士など技術者の採用・育成は重要な経営課題の1つとして位置付けており、社会的に注目度の高いプロジェクトや先進的な案件へも積極的に参画している。
また、連結子会社である北和建設(株)、矢作ビル&ライフ、(株)テクノサポートとの連携により、耐震補強、リニューアル、建設資材の販売などを含むトータルな建築ソリューションを提供する。耐震補強に関しては、建物の構造やニーズに合わせて様々な工法を展開しており、学校や庁舎など公共施設を中心に日本全国で4,400件を超える採用実績がある。
(2) 土木事業
土木事業では、道路・橋梁・上下水道・造成などのインフラ工事に加え、鉄道軌道や高架化などの鉄道関連工事を手掛ける。特に、名古屋鉄道向けの鉄道軌道工事は同社の専任領域であるため、毎期安定的な受注を確保している。
また、不動産事業における産業用地開発に伴う造成工事をはじめ、民間案件も多く手掛けている。そのため、官民比率がほぼ半々であることが特徴であり、経済環境に左右されにくい体質である。同社独自の「パンウォール(PW)工法」は、用地の制約がある現場でも施工性と安全性を両立させる技術として、中日本高速道路(株)(NEXCO中日本)や防衛省などでも採用実績がある。施工主にとっては用地買収が少なく済むメリットがあり、同社の技術力が反映された独自工法となっている。さらに、海昌の子会社化により、法面補強分野の商品ラインナップが拡充した。海昌が手掛ける「スタンドドライブ(SD)工法」は、営業面ではPW工法と競合せず、技術面では高い親和性があることから、両工法を組み合わせた提案力の強化や受注機会の拡大が期待される。加えて、連結子会社であるヤハギ道路(株)は舗装工事を、ヤハギ緑化(株)は緑化・環境整備工事を担当し、土木分野におけるグループの施工能力強化につながっている。
(3) 不動産事業
不動産事業では、産業用地の開発・販売及びストック活用事業を展開する。産業用地開発においては、行政との強固な関係性に加えて、製造業の集積地という地域特性が競争優位性を支えている。BCP(事業継続計画)※や災害意識の高まりを背景に行政とも連携し、郊外や内陸への移転を進める企業の需要を捉える。また、土地造成(土木事業)、宅地販売(不動産販売)、設計・施工(建築事業)まで一貫対応が可能であり、部門横断的に収益貢献が期待できる。同社にとって過去最大規模となった大府東海開発プロジェクトは、2016年から開発を開始し2026年3月期に販売を完了した。販売後も工場や物流施設などの建築施工の受注につながるため、収益貢献が継続する見通しである。このほかにも、関東圏及び中部圏において複数の産業用地開発プロジェクトが進行している。
※ 自然災害・大規模火災・テロ攻撃といった緊急事態に際し、企業が事業資産の損害を最小限に抑え、中核事業の継続または早期復旧を図るため、平時の準備と緊急時の方法を定めた計画。
ストック活用事業は、新中期経営計画における重要施策の1つである。開発した物件を一定期間自社で保有・運用した後に売却するビジネスモデルであり、小牧市本庄プロジェクトにおける物流施設JV事業が先行事例となっている。従来のフロー型(開発・売却)に加え、保有期間中の賃貸収益を織り込むことで収益の安定化とボラティリティの低減を目指す。
一方、分譲マンション事業を譲渡した。矢作地所が手掛けていたマンション開発・販売事業は名鉄都市開発へ、矢作ビル&ライフが手掛けていた管理事業は名鉄コミュニティライフへそれぞれ承継された。個人向け事業を譲渡することで、同社が強みを持つ法人・官公庁向けの建設事業及び不動産事業へ経営資源を集中し、競争力のさらなる強化を図る。なお、デベロッパー向けのマンション施工については、建築事業において引き続き継続する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
《HN》
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