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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/12/24 11:29, 提供元: フィスコ

Jオイル Research Memo(9):2026年3月期は減収減益を予想。収益回復へ短期と中長期の対応を強化(2)

*11:29JST Jオイル Research Memo(9):2026年3月期は減収減益を予想。収益回復へ短期と中長期の対応を強化(2)
■成長戦略

3. 中長期の対応
J-オイルミルズ<2613>は、戦略の見直しのなかで、外部環境に左右されない持続的に成長する企業となるため、中長期の対応も進めている。中長期対応は時間を要するが着実な実行が求められるため、従来の成長戦略を現状に合わせてブラッシュアップし、油脂事業の価値最大化、事業ポートフォリオの高度化、海外展開の加速、人的資本経営の推進などを重点分野とした。

(1) 油脂事業の価値最大化
油脂事業は、原材料価格や為替変動といった外部要因に業績が大きく左右される構造的リスクを抱えている。この外部依存度を低減し、事業価値を最大化することが、持続的成長に向けた重要課題である。

その対応策として、同社は独自技術「SUSTEC」を活用した長持ち油「長徳」に加え、ITを基盤とする「フライエコシステム(R)」の提供を開始している。「フライエコシステム」により、油脂の劣化度合を測定し、適切なフライ油の交換時期を把握することができるため、「長徳」と合わせて使うことにより、さらなる廃油量の抑制と、フライ油交換作業の低減が可能となる。このように、製品に加えてサービスを組み合わせることで、収益モデルの多様化を図っている。また、同社の強みである、あぶらとスターチによる「おいしさデザイン」を徹底的に磨き込み、ナレッジとして体系化することで、おいしさの科学的解釈を深化させる。さらに、新たな素材の組み合わせ提案を通じて潜在的な顧客課題に切り込み、サービスレベルの拡大と高度化を目指す。

(2) 事業ポートフォリオの高度化
事業ポートフォリオの高度化については、「おいしさデザイン」の磨きこみと並行し、その適用範囲を食の川上、川下、海外市場へと拡げ、新たな価値の創出と事業機会の獲得を図る。食の川上では、ミール・飼料の新用途など1次産業向けの付加価値品を検討する。食の川下では、様々な素材を生かした新たなレシピを開発する。

(3) 海外展開の加速
海外市場の加速に向けて、ASEAN・北米を中心とした成長領域において、戦略策定と戦略推進の強化を目的に人員・体制を拡充したうえで、製品ラインナップと販売網を広げ、新たな領域を開拓する。ASEANでは、子会社J-OIL MILLS (THAILAND) Co., Ltd.が現地向けスターチを中心に着実に成長している。現地社員の増員など販売体制強化によってさらなる売上拡大と成長機会を獲得する。北米では、「まめのりさん」やビタミンK2の輸出を中心とした事業を進めているが、さらなる事業強化を図るために、現地法人Ajinomoto Health & Nutrition North America, Inc.との協業体制を構築する。同社社員の派遣を通じて、製品ラインナップと販売網を拡大する。国内においても、とりわけ機動性と専門性を高めることを目的に、M&Aや業務提携などによる海外戦略の策定・推進を担う組織と、既存海外事業の成長施策の推進する組織に分担し、取り組みを加速する。

(4) 人的資本経営の推進
経営基盤の強化に向けて、DXによる組織・連携の変革と人的資本経営の推進を通じて変革の推進力を高め、ビジョン実現へのスピードを加速する。DX推進では、組織・連携変革の重要4テーマ(営業マーケティング改革、業務改革、SCM物流改革、人財育成・風土改革)に加え、新たにビジネス変革も着実に遂行する。なお、2025年11月に経済産業省が定める「DX認定事業者」の認定を取得した。人的資本経営の推進では、2025年4月に設置した人財委員会において、人財育成、意識改革・評価力向上、組織力向上、DE&I・能力発揮・挑戦の4つのテーマに着手した。特に最優先課題として成長分野をリードする人財育成を強化し、「壁を越え、共に挑み、期待を超える」チームづくりを推進する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


《MY》

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