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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/09/30 13:11, 提供元: フィスコ

積水樹脂:社会インフラを支える製品を幅広く展開、PBR0.7倍台かつ配当利回り3%超え

*13:11JST 積水樹脂:社会インフラを支える製品を幅広く展開、PBR0.7倍台かつ配当利回り3%超え
積水樹脂<4212>は、社会インフラを支える製品を幅広く展開するメーカーである。高速道路や鉄道に用いられる防音壁、道路標識やポールコーンなどの交通安全資材、景観を整える人工木材や防護柵、さらにはスポーツ施設用人工芝など、公共分野での製品群は長年の実績を誇り高い信頼性を築いてきた。一方、住宅用フェンスや外構資材、物流梱包用バンド、農業用資材などを手掛ける民間分野にも注力しており、社会インフラと民間需要をバランス良く取り込んでいる。事業セグメントでは、公共分野(2024年度売上構成比52.3%)に都市環境事業・交通・標識事業・景観事業・スポーツ施設事業、民間分野(同47.7%)に住建事業および総物・アグリ事業が含まれている。

同社の強みは、「製品企画・開発力」「複合技術力」「総合提案力」3つを活かした高シェアと、独自技術を持つ製品群である。世の中のニーズをキャッチアップして価値ある製品を創り出しており、「小型IoT水位センサ」や「長耐久ガラスコーティングアルミ枠透明板」「耐衝撃性ボラード「プロテクトボラード」」など、世界の人々の安全・安心・快適な暮らしを支え続けている。また、M&Aを積極的に進めて事業ポートフォリオを拡大しており、欧州のWEMASグループの取り込みでグローバル展開力を高めている。

2026年3月期第1四半期の連結業績は、売上高16,545百万円(前年同期比6.5%増)、営業利益608百万円(同45.1%増)と増収増益を達成した。長期ビジョン達成に向けた人財・成長への継続的な投資、M&Aに伴うのれんの償却の影響がありながらも、防雪・防風対策製品の研究開発・製造・販売等を手がける「理研興業株式会社」を連結子会社化したことと、既存事業が堅調に推移したことに加えて、前期にPPAを実施した影響もあり、増益となった。セグメント別にみると、公共分野は人財投資による利益の圧迫もあったが、特に交通・標識関連事業と関連グループ会社の日本ライナーが牽引。WEMASグループは着実な実績に加えて、PPAの影響もあり増益となった。民間分野では、総物・アグリ関連事業は好調な製品群の売上と、原価低減活動や価格改定の効果もあり、前年同期を上回る結果となった。プラメタルは防音パネルが解体工事用途の需要減少の影響を受けたものの、主力汎用製品であるアートパネルが大きく拡大した。ただ、住建関連事業、グループ会社のエクスタイルは建築着工停滞の影響を受け低調に推移した。

通期計画は売上高79,000百万円(前期比6.4%増)、営業利益6,400百万円(同27.7%増)を見込む。公共分野の売上は、4Qに売上・利益が計上される季節性を持っており、1Qは着実な進捗となっている。既存事業は、売上拡大や価格改定を着実に進め、原材料費・輸送費・エネルギーコストなどの高騰や人的資本・成長投資などの影響があるものの、堅調な利益伸長を見込む。M&Aで加わった3社の収益寄与も本格化する。

中期経営計画では、2027年3月期に売上高840億円以上(うち海外売上130億円以上)、営業利益85億円以上を目標に掲げる。基本方針は、人的資本の価値最大化、成長戦略による拡大、サステナビリティ経営の推進に加え、資本コストや株価を意識した経営の取り組みの4つとしている。重点戦略は、国内公共投資需要の取り込み、住建製品、物流や農業資材を中心とした民間分野の拡大、欧州や東南アジアを中心とした海外展開である。既存の成長戦略の施策を早期に収益化しつつ、次世代を見据えて技術に基づいた製品やサービスを開発すること、社会課題解決や環境調和への更なるニーズの高まりを捉え、サステナビリティ貢献製品の販売拡大を成長戦略の軸に据えることを重要テーマとしている。

さらに、長期ビジョン「積水樹脂グループビジョン2030」では、2030年に売上1,000億円以上、営業利益130億円以上、ROE8%を目標に据え、社会インフラを支える総合メーカーとしての進化を目指す。生産リサイクルシステムの構築など、持続可能性に配慮した事業開発も重点テーマとなっている。国内の公共分野では、インフラメンテナンス市場におけるIoT を活用した維持管理・監視システムの提案と、次世代モビリティ時代に貢献する最先端安全対策製品とサービスの開発・提供を行う。民間分野でも物流・FAの省人・省力化に寄与するIoT 対応製品の開発を推進。海外事業では、新製品開発に加えて、交通安全製品及び包装関連製品の海外展開加速や住建製品の海外進出を図っていく。

株主還元では、2026年3月期に年間72円(前期比2円増配)の配当を予定しており、17期連続増配となる見込みである。さらに、上限100万株(25億円)の自己株式取得を実施しており、2025年6月末時点で約13.6万株を取得済みである。中計の目標として、2027年3月期まで、剰余金の配当と自己株式の取得を合わせた総還元性向については100%以上の維持を目指す。また、「積水樹脂グループビジョン2030」期間中は累進配当を基本方針として実施し、連結配当性向については40%以上の維持を目指しており、株主還元姿勢は業界内でも積極的といえる。財務基盤も健全で、2025年6月末時点の自己資本比率は70.2%と高水準。現在のPBRは0.7倍台と1倍を下回っており、資本効率改善と還元強化を通じて市場評価の是正が期待される。

総じて、積水樹脂は公共投資需要の追い風とM&A効果により安定成長を続けており、財務の健全性と積極的な株主還元を背景に投資妙味のある銘柄となる。住宅市場の低迷やコスト上昇といった課題は残るが、国内はインフラ老朽化が社会問題となっており、底堅い需要は継続する。海外展開や新規事業育成によって長期的な成長余地も大きく、今後は、「積水樹脂グループビジョン2030」で掲げた数値目標の達成に向け、公共・民間双方の事業拡大と株主還元の進捗に注目したい。


《FA》

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